2007.12.07 いいぬま 雅子 区議
日本共産党品川区議団を代表して議員提出第17号議案、「品川区出産祝い金条例」に賛成の立場から討論を行います。
本条例の目的は、子どもの誕生を祝福し、あわせて健やかな成長を願い経済的支援をするものです。祝い金の額は、出産時にかかった額から健康保険で支給される出産育児一時金35万円を引いた額(上限15万円)を支給し、原則として出産費用を無料にするものです。
区は、これまでは「地域から要望がない限り学校統廃合はしない」と説明していました。ところが濱野区長は、コスト削減を理由に小規模校は統廃合する方針へと転換。本条例は、この方針を初めて具体化するものです。
厚生委員会で出された反対意見に対し見解を述べます。
まず第一に国全体でやるべきことであり、一自治体でやることでの効果に疑問がある。国の動向を見るので反対という意見です。
国は2003年少子化社会対策基本法を作りましたが、成果が上がっていないことは明らかです。11月2日決定「2007年版少子化白書」には、新人口推計に基づき、2055年には日本の総人口が9千万人を下回り、国民の2.5人に1人が65歳以上の高齢者になる。6年ぶりに増加に転じた出生数も、今年に入り減少傾向にあり、楽観できない状況。人口減が地域維持の危機にあると警鐘を鳴らしています。少子化対策、子育て支援は待ったなしです。ところが政府は有効な手立てを取らないばかりか、労働法制の改悪、庶民大増税と、子育て環境を次々に悪化させてきました。だからこそ今、自治体には区民の願いに応え、安心して子どもを産み育てられる社会を作るための積極的な施策が求められています。
一自治体の努力で改善しているところを紹介します。出生率を2.12まで改善した長野県下条村ですが、NHKテレビ「奇跡の村」で放映されました。財源を工夫し、福祉・医療・子育て支援を充実し、人口増、若者定住促進を成功させています。
出産祝い金関連の制度を見ると、23区では、最近二年間で一気に広がり9区が実施しています。港区では本提案の内容ですでに2006年4月から出産費用助成事業を実施しています。国に本気の少子化対策を求めていくと共に、住民にもっとも身近な自治体が、住民の要求を実現させる自治体本来の役割が今求められています。
第二、限りある予算の中では、全体のバランスを考えなければならないので反対すると言う意見です。
新しい施策を提案する時には、いつもこのような意見が出されます。子ども医療費無料化も、0歳児から始まり現在では中学3年生まで拡大され、予算は年間12億2千万円余。3万3千人余の子ども達が安心の医療を享受しています。
品川区は2006年度積立金を150億円積み増ししました。2005年度は100億円もの積立金を積み増ししています。今回の予算は最大で4億円です。子どもの誕生は社会全体の喜びとなり税金が生かされることになります。
第三には低負担高福祉と言うわけには行かないので反対と言う意見です。
国民が国や地方で払った税金のうち社会保障の公費負担として国民に戻ってくる比率は日本29%、イギリス43%、ドイツ44%です。税金の使い方をヨーロッパのように「社会保障主役」の予算に切り替えるべきです。
少子化を克服しているヨーロッパの家族施策を紹介すると、ヨーロッパは、消費税など高い税負担をしているから高福祉を受けられるという意見が出されますが、数字上と実際はちがいます。例えばイギリスですが付加価値税は17.5%と高いですが、家庭用の光熱費は5%に軽減され、食料品・水道・家賃・書籍・旅行費用など完全非課税となっています。高い買い物をしなければ消費税はかからないのです。またヨーロッパでは社会保障の財源は消費税ではなく企業の負担が大きな割合を占めています。日本の大企業は様々な優遇税制を受け、減税に次ぐ減税です。ヨーロッパと比較すると7割から8割の負担であり企業責任を果たしていません。空前の大もうけをしている大企業が応分の税負担をすれば、庶民増税無くとも、社会保障の充実は可能です。
子育て支援に必要なことは、今子育てをしている方々の声に耳を傾け、困難を一つ一つ取り除くことです。どの調査でも、経済的支援を求めています。共産党は子育てに特別な費用がかからない社会をめざし、妊婦健診の無料化などとあわせ、出産祝い金制度を提案したものです。ご賛同をいただきますよう重ねて訴えをさせていただき「品川区出産祝い金条例」の賛成討論を終わります。