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みやざき克俊区議 08年第3回定例会一般質問「長期基本計画」「再開発」「住宅耐震化」「商店街対策」

2008.09.25 みやざき 克俊 区議

一般質問項目

  1. 「構造改革」路線改め、貧困・格差から暮らし守る長期基本計画に
  2. ゲリラ豪雨を生みだす超高層ビル建設の再開発は中止を
  3. 「防災」口実の29号線ゴリ押しを止め、住宅耐震化9割達成に本腰を
  4. 商店街が切望する装飾灯電気代の補助増額を

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一般質問

日本共産党品川区議団を代表し一般質問を行ないます。


「構造改革」路線改め、貧困・格差から暮らし守る長期基本計画に

はじめは、貧困、格差の広がりから暮らしを守る長期計画を求め質問します。

現在、第4次長期計画の策定へ議論がすすめられています。今後10年間の計画ですが、「国際都市」を看板に大規模開発を推進する一方、貧困・格差が拡がるなかでも区民のくらしについて認識はなく、福祉充実の方向性も目標もありません。保育園や学童保育など福祉系を中心に職員を1200名も削減し、低賃金の非正規雇用に置き換えて官製ワーキングプアをつくってきた「行革」を推進するという、まさに品川版「構造改革」路線です。長期計画がこれでいいのでしょうか。

いま、自民、公明政権がくらしを破壊しているなかでこそ、区民要望に応え、福祉を守り営業を支援する長期計画が求められています。以下、二点、区長にうかがいます。

一点目は、福祉の具体的目標を設定することです。

わが党議員団は今年の春アンケートを実施、1200人から回答が寄せられました。要望の第一位は高齢者福祉。区が昨年実施したアンケートでも高齢者福祉がトップです。区のアンケートは長期計画に区民の声を反映させるために実施したものです。この要望をどう実現していくのか目標を具体的に掲げるべきです。

私は、とりわけ要望の強いと区営住宅、高齢者住宅についてのべたいと思います。区のアンケートでも「品川区に住み続けたい」との要望は9割にも上っていますが、長期計画案には区営住宅の増設計画はありません。高齢者住宅は、高齢者優良賃貸住宅制度による住宅建設が盛り込まれていますが、この制度は近隣アパートの家賃に合わせるため、低所得者は入れません。これでは「品川に住み続けたい」という願いは「お金があれば」ということになってしまいます。大規模開発で高級マンション建設には税金で応援するが低所得者のための住宅はつくらないというのでは、区民の理解は得られません。区営住宅と高齢者住宅の増設へ切り替えるべきです。

そこで質問します。

  1. 長期計画は福祉充実へ抜本的に切り替え、冒頭に福祉を位置づけるよう求めます。
  2. 長期計画に、区営住宅と高齢者住宅の増設を盛り込むこと。さらに、特養老人ホーム増設の具体的な目標設定。認可保育園の増設を求めます。いかがでしょうか。

二点目は、パブリックコメント=区民意見の公募についてうかがいます。

パブリックコメントは、区民生活に影響を及ぼす基本的計画等を決定するときに区民の意見を聞く制度です。しかし、昨年の基本構想素案に対するパブリックコメントの応募は114件、意見は95件の225項目でした。品川区政の基本構想に対するパブリックコメントとしてはあまりに少ない、不十分だったといわざるを得ません。

私は、区民意見に対する品川区の姿勢が問われていると思います。区が昨年実施したアンケートでは高齢者福祉だけでなく、低所得者福祉、子育て支援の声も多かった。ところが、長期計画案では福祉は後景に追いやられ、特養老人ホームは増設を掲げたものの目標はなし。認可保育園や区営住宅増設の要望は無視されたではありませんか。

第4次長期計画案のパブリックコメントは10月中旬から1ヶ月間を予定しています。このパブリックコメントを含めて、パブリックコメントはより多くの意見を寄せてもらうための改善が必要です。そして、寄せられた意見を真摯に生かすよう求めるものです。

そこで質問します。

  1. パブリックコメントに、より多くの意見を寄せていただくため、計画案の周知の工夫が必要です。第4次長期計画を含めて、意見募集の期間を延長すべきです。
  2. 「広報」は新聞折り込みだけでなく全戸配布。全文を希望する方には無料配布すること。また、地区毎に計画案の説明会開催など求めますがいかがでしょうか。

ゲリラ豪雨を生みだす超高層ビル建設の再開発は中止を

次に、ゲリラ豪雨を生み出す超高層ビル建設についてうかがいます。

8月5日、豊島区の下水管工事現場の地下マンホール内で作業員5人が水に流される死亡事故が発生しました。いま、狭い範囲で短時間に猛烈な雨が降る、予測が困難なゲリラ豪雨による被害が大問題になっています。最近の研究で都心部のゲリラ豪雨と巨大ビル群の関係が明らかになってきました。首都大学東京の高橋教授らが今年5月、都内の豪雨が超高層ビルに起因すると発表。ヒートアイランド現象のなかで高層ビルにぶつかった風が上昇気流を発生、短時間で積乱雲を形成し集中豪雨になるというのです。今後、臨海部開発により風下の品川区で豪雨が多発する恐れがあると指摘しています。都内でも千代田区などがCO2規制など環境問題に取り組んでいます。品川区もヒートアイランド対策を抜本的に強化すべきです。そこで二点、提案します。

第一は、巨大ビルつくりの大規模開発の見直しです。

2006年度資料によると23区内の高層建築物は884棟。うち品川区内は62棟にのぼります。一方、気象庁は、東京の平均気温は100年間で3度上昇、中小都市の三倍の速さでヒートアイランド現象が加速していると報告しています。

長期計画案は、集中豪雨などの水害対策を掲げているものの、大規模開発と超高層ビル建設の推進です。これでは明らかに矛盾しています。人口排熱と、車の流入増加でCO2を増加させ、ゲリラ豪雨の原因と指摘される大規模開発をこのまま続けることは許されません。

第二は、緑化を抜本的に強化することです。

基本計画案は「地球温暖化、オゾン層の破壊、森林の減少など人類の活動に起因する未曾有の危機」として「都市部でのヒートアイランド対策」の必要性を強調しているにもかかわらず、「緑比率の顕著な増加は困難」だと対策は最初から消極的。今後の課題を「区民や企業の自主的な取組を支援」に矮小化しています。これで環境対策がすすむのでしょうか。実際に、大崎駅西口の明電舎ビル敷地の緑地は、開発規模から見れば無きに等しいといわざるを得ません。長期計画に現在12.7%の緑比率の拡大目標を掲げ、実効ある緑化対策をすすめていかなければなりません。

そこで質問します。

  1. 民間の単独事業を含め、現時点での超高層ビル建築の計画および構想、再開発の計画および構想について、敷地面積、高さと棟数をお聞かせください。
  2. このまま再開発を進めればヒートアイランド現象や地球温暖化への負荷をいっそう高め、取返しのつかない状態になると考えますが区長の認識をうかがいします。また、再開発地での人口排熱の抑制は、高層化の中止が必要と考えますがいかがでしょうか。
  3. 建築物、再開発地区、高度利用地区での緑化率を引き上げること。また、屋上緑化の保全状況の調査を求めます。いかがでしょうか。
  4. 区内で緑比率拡大の目標と具体策を明確にすべきです。いかがでしょうか。

「防災」口実の29号線ゴリ押しを止め、住宅耐震化9割達成に本腰を

次に、都市計画道路補助29号線と地震対策についてうかがいます。

震度7クラスの首都直下の大地震の発生確率は今後30年の間に70%、地震対策は焦眉の課題です。ところが、長期計画案には住宅耐震化の方針はなく、前面に出ているのが29号線と31号線です。

長期計画案では29号線を「豊町四、五、六丁目密集市街地の整備にあわせ防災まちづくりの観点から早期の整備を促進」と明記。「延焼遮断帯」と説明しています。補助29号線は山の手通り大崎警察脇から大田区南馬込で国道1号線に合流する延長5.4キロメートル、幅20メートルの都市計画道路で、住民が30年前から反対運動を取り組んできたものです。「防災」を口実に29号線ゴリ押しは許されません。

区は29号線を防災目的といいますが実際はどうでしょうか。いま、山手通り地下に首都高速中央環状品川線が工事中。5年後に完成すると五反田に出入り口が設置され国道1号線には車が集中、29号線は混雑緩和のバイパスになってしまいます。大量の車が入ってくるため避難路、延焼遮断帯とするのは危険極まりないといわざるをえません。

そこで質問します。

  1. 補助29号線の交通量予測、五反田に出入り口をつくる中央環状高速品川線が完成した場合の予測についてうかがいます。
  2. 東京都は、29号線は住民合意を前提にしていますが、区は住民には反対意見はなく、建設に合意していると考えているのでしょうか。
  3. 29号線の総事業費はいくらと見込まれているのでしょうか。

次に住宅の耐震化についてうかがいます。火災が多発して大変な被害となった阪神大震災の教訓は住宅の耐震化です。神戸市兵庫区では出火率は1万世帯あたり2・5件でした。この出火率を単純に品川区に当てはめると44・5件、2町会〜3町会で1件の出火という計算です。品川区は、現在62%の住宅耐震化率を2015年までに90%に引き上げる計画ですが、耐震化がすすめば出火が少なくなることは明らかです。

いま、品川区は「耐震改修促進計画」を策定し、2015年度までに住宅の耐震化率を90%に引き上げる計画です。これには年間1100棟の耐震化が必要ですが、これまで、耐震診断が平成16年度40件、17年度60件。18年度49件。19年度62件。耐震補強工事は18年7月以降で合計17件。目標にはほど遠い状態です。

住宅耐震化をすすめるには何が必要なのでしょうか。今年2月から4月、品川区が戸別訪問で実施したアンケートでは、地震に対する備えについて、最も多い回答が「特に何もしていない」30%。耐震改修したのはわずか10%でした。また、住宅の改修は「年金暮らしなので無理」。「地震がきたら、その時はその時」といった諦めが多くの高齢者の声です。こうした住民感情にかみ合った啓発と制度の整備が必要です。

そこで質問します。

  1. 住宅耐震化90%達成した場合、区内の出火率、出火件数は現状からどう変化するかうかがいます。
  2. 品川区は住宅耐震化90%にむけて、何を、どのように事業強化を図る考えなのかうかがいます。また、長期計画に住宅耐震化目標を明記し、具体策を示すべきと思いますがいかがでしょうか。
  3. 住民の理解、防災意識の向上へ、体制を強化して住民説明会の開催や戸別訪問のスピードアップ、わかりやすいPR紙への改善、品川ケーブルテレビの活用など、住民の啓発の抜本的強化をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
  4. 住宅耐震化の促進へ、耐震診断の無料化と助成制度の充実、とりわけ低所得者や高齢者、障害者に対する助成額引き上げ、相談体制の強化を求めますがいかがでしょうか。

商店街が切望する装飾灯電気代の補助増額を

最後は、商店街の装飾等電気代の補助についてうかがいます。

いま、多くの商店街が装飾灯電気代補助の引き上げを願っています。商店街連合会も要望しています。区の助成を受けても、設置・改修費用の3割、電気代などランニングコストの7割は商店街もちで、負担が大きいと訴えています。実際に聞き取りした、二葉町のある商店街は年間の支出のうち装飾灯の電気代が半分を占めています。西品川のある商店街は支出の40%が電気代です。

また、電気代に占める補助金の割合は全体として30%程度ですが、五反田のある商店会は15本の装飾灯で電気代は年間約40万円、助成率は19.5%。中延のある商店街は17%程度など低くなっているところもあります。商店街は、長引く不況に加えチェーン店の未加入、燃油高・物価高が追い討ち。厳しい現実に直面しています。

品川区の装飾灯電気代補助は一本あたり5600円。中央区は15000円、大田区は8300円です。また、補助率でみると、品川は平均約3割という水準ですが、練馬は3分の2、足立と江東、荒川は4分の3、江戸川区は全額補助です。助成額または補助率いずれかで品川を上回っている区は13区。品川区は決して高くありません。

ある商店会長は「ここではひったくりも発生していない」と装飾灯が、防犯や安全性の向上に大きく寄与していると強調しています。長期計画案では、商店街を「地域コミュニティの核」と位置づけ、「安定的に存続していることが重要」とのべていますが、それにふさわしい支援が必要です。電気代を全額補助している江戸川区は「商店街の環境整備、安全・安心にも結果としてつながる。管理を商店街にお願いしている代わりに、電気料は区で全額持つ」と、昭和60年度から全額助成しています。品川区も装飾灯電気代補助の大幅な引き上げを行うべきです。

また、消費電力が少ないLEDへの交換、ソーラー・ハイブリッド型などへの切り替えは環境対策にもなります。東京都の助成は予算枠を超えるほどの申し込みがあると聞いています。品川区も積極的に支援していくべきではないでしょうか。

そこで質問します。

  1. 装飾灯の電気代の補助を、全ての商店街で50%以上となるようにただちに引き上げを求めます。また、江戸川区のように全額補助も検討すべきと思いますがいかがでしょうか。
  2. LEDへの交換、ソーラー・ハイブリッド型への切り替え、ソーラーパネル等の設置を進めるべきだと思いますが、いかがかでしょうか。

以上で、一般質問を終わります。


答弁

区長(濱野健君)

私からは、長期基本計画についてお答えをいたします。

初めに、福祉の位置づけでございますが、区は福祉施策の推進を極めて重要な政策課題と考えておりまして、これまでさまざまな施策を総合的に展開してまいりました。しかし、これは、他の政策分野においても同様でございまして、局面に応じた緩急、軽重はあろうかと思いますが、防災・防犯や環境、教育、子育て、地域や産業の振興、再開発やインフラ整備などの推進もまた区民の皆様にとって甲乙つけがたい重要な課題であると考えております。したがいまして、長期基本計画におきまして、特定の政策課題に特別の位置づけを付与することは考えておりません。

次に、区営住宅の増設などを計画に盛り込むことと、特別養護老人ホームの増設目標を明示することについてでございますが、長期基本計画は、区の事務事業をすべて網羅的に盛り込むものではございませんし、今後区営住宅の増設を推進することは特に考えておりませんが、特別養護老人ホームの増設目標につきましては、実施計画上の課題と考えております。

最後に、パブリックコメントのあり方と素案の周知方法について一括してお答えいたします。

近く公表を予定しております長期基本計画の素案は、基本構想の素案同様、区がこれまで蓄積してまいりました議会でのご意見やご要望をはじめ、区政協力委員会、タウンミーティング、「区民の声」などにおける広範な区民の皆様との意見交換などを踏まえ、さらに策定委員会のお考えを詳しく伺った上でパブリックコメントに付すものでございます。したがいまして、配布方法を含めて、基本構想と同様の考えで区民の皆様にお知らせすることとしております。

その他の質問につきまして、各事業部長等よりお答えを申し上げます。

まちづくり事業部長(岩田俊雄君)

私からは、ゲリラ豪雨に関するご質問と補助29号線等に関するご質問にお答えいたします。

最初に、ゲリラ豪雨に関するご質問についてですが、まず、区内の60メートルを超える超高層ビル建築の件数ですが、民間単独企業では、現在建築中の建物は3件と把握しております。このほか建築計画が明らかになっているものが2件で、敷地面積は合計で約3.8ヘクタールございます。また、市街地再開発事業では、施行中の2地区のほか3地区で計画が進んでおり、合計7棟、敷地面積の合計は約6ヘクタールでございます。構想中のものにつきましては、民間単独事業および市街地再開発事業の内容は未確定でございます。

次に、再開発を進めることについての認識でございますが、明治の近代化以降、一貫して続いてきた都市化が密集市街地の形成やヒートアイランド現象といった今日的な問題を生んだと考えており、無秩序に広がった密集市街地を計画的に再開発し、再生することこそが次世代につながる環境都市づくりであると認識しております。また、人工排熱の抑制という点では、市街地に風を呼び込むことも重要ですので、風の道を創出するような共同化や高層化により、道路や空地を生み出していくことは効果的な手法であると考えております。

次に、再開発地区や高度利用地区などで緑化率の引き上げをというご提案でございますが、ご指摘のとおり、大規模建築物に対しては既に敷地や屋上等の緑化を一般建築物以上に義務づけ、強化しており、区の算定基準による3割という緑化基準は現実的な水準であると判断しております。なお、屋上緑化の保全状況につきましては、これまでも把握に努めてまいりましたが、今後ともその精度を高めていきたいと考えております。

また、区内全体での緑化率拡大の目標と具体策を明確にすべきとのお尋ねですが、区ではこれまで緑被率という観点で、その向上のために緑化施策を進めてまいりましたが、昨年度策定しました新・水とみどりのネットワーク構想において、緑に水面を加えたみどり率という考え方を今後の指針にすることとしており、現在策定中の長期基本計画の中で、将来の目標と具体策をお示ししてまいります。

次に、都市計画道路補助29号線と住宅耐震化についてのご質問にお答えいたします。

まず、補助29号線についてですが、この計画は、ご指摘のとおり、昭和21年に都市計画決定されておりますが、現在東京都の第三次事業化計画の優先整備路線としては指定されておりません。一方、ことし2月に東京都が発表した地域危険度測定調査では、この補助29号線沿いの地域の危険度は極めて高くなっております。幅員20メートル級の都市計画道路による延焼速断効果については、都府県が共同開発しました防災まちづくり支援システムによるシミュレーションでも明らかになっており、この道路は防災上極めて重要なものとなっております。お尋ねの補助29号線の交通予測についてですが、都市計画道路は、社会経済状況や自動車保有台数などをもとに、東京都全体の広域的な道路ネットワークとして完成予定年次での交通量を試算することとなっております。そのため、完成予定年次の設定ができていない29号線につきましては、東京都は将来交通量の試算を行っておりません。したがいまして、中央環状品川線完成後の資料もございません。

次に、住民合意についてですが、補助29号線沿線の戸越・豊町にお住まいの方々で組織する戸越公園駅と周辺まちづくり協議会などでは、当該道路の整備を前提としたまちづくりを現在検討しておられます。区としてもこの活動を支援するとともに、引き続き地域の皆さんに、その必要性について十分説明してまいります。

次に、整備にかかる総事業費ですが、補助29号線は、さきにお答えしたとおり、現在、事業化のめどは立っておりません。したがいまして、区として総事業費についてお示しする資料はございません。

次に、住宅の耐震化についてのご質問にお答えいたします。

まず、住宅耐震化の目標値を達成した場合の出火率、出火件数の変化についてですが、平成18年5月に東京都が策定した「首都圏直下地震による東京の被害想定」によれば、出火率や出火件数は木造、非木造の構造種別の違いや、地域別の火気器具等の分布状況、人口分布をもとに、発災時間などを踏まえて算定されるもので、耐震化率は考慮されておりません。また、補強による耐震化では構造種別も変わらないことから、耐震化率の変化では出火率および出火件数は変化するものではございません。

次に、耐震化率90%向けた事業強化についてですが、まずは耐震化の必要性を周知し、支援策を広く活用していただくことが重要と考えます。また、耐震化目標の長期計画への記載についてですが、促進計画は長期計画の下位計画に位置づけられておりますので、改めて目標値を長期計画に記載する考えはございません。

なお、目標達成に向けた具体策を示すべきとのお尋ねですが、個別の事業は、予算編成と結びついた事業計画として総合実施計画に位置づけてまいります。

次に、耐震化に向けた啓発の抜本的強化についてですが、区は耐震化が進まない原因として、支援制度の周知が十分でないこと、区民が震災を身近なこととしてとらえにくいことなどから、支援事業をわかりやすく紹介したチラシを作成し、地域の防災まちづくり懇談会での周知や戸別訪問により普及啓発を図っております。また、耐震改修された方の感想を収録したビデオを作成しまして、ケーブルテレビで紹介するなど、啓発に努めており、引き続きさまざまな機会をとらえて普及啓発をする考えでございます。

次に、住宅の耐震診断無料化や耐震化助成制度の充実等についてですが、住宅の耐震診断は、その結果を踏まえて耐震化につなげることが重要であり、どこを補強したらよいかなど、改修に向けたデータ収集も目的の1つでございます。区は実施する診断が詳細なものであること、有料であるため、診断を受ける方の意識も高まり改修につながる例もあることから、一定額で安心して診断が受けられるこれまでの制度を無料化する考えはございません。

また、低所得者等への助成制度の充実につきましては、現在は考えておりませんが、命を守るための対策として、別途、高齢者世帯等で低所得者の方を対象に、耐震シェルター等の設置支援を行っているものでございます。相談体制につきましても、現在、建築士事務所協会の協力を得て無料相談を行っており、引き続き建築関係団体との連携を強化し、区民の相談にこたえてまいります。

区民生活事業部長(宮地恵美子君)

私からは、商店街の装飾灯に関するご質問にお答えいたします。

まず、装飾灯の電気代についてのお尋ねでございます。商店街は、防犯・防災、安全なまちづくりなどの機能におきまして地域に欠かせないものであり、また、地域の活性化にも大きく貢献していることにつきましては十分認識しております。そこで、商店街の装飾灯は、集客効果とともに道路の街路灯としての代替機能も有していることから、区といたしまして、電気代に要した額の−部を補助してきたところでございます。装飾灯の補助額は、街路灯の電気代を基準として単価方式を採用しておりまして、この方式によりますと、比較的小規模な商店街ほど補助率が高くなり、また、単価、総額とも近隣区と比較して遜色ございません。

次に、東京都の特定施策推進型商店街事業を活用したLED電球への交換等の促進に関するお尋ねでございますが、区といたしましても、環境に配慮した器具等については検討をしております。LED電球を採用した場合、周辺の照度が低下するなど技術的な課題がございまして、現段階では、まずこうした課題の解決が必要と考えております。


再質問

みやざき克俊君

それぞれ答弁ありがとうございました。自席から何点か再質問をさせていただきます。

初めに区長のほうから答弁がありまして、長期計画の件ですけれども、区長は福祉を重要と考えているけれども、ほかとの関係で優先できないと、そういう趣旨の答弁だったかと思います。しかし、そうであれば、昨年長期計画に反映させるためにと言って実施したアンケートは一体何だったのかということを問いたいと思います。

昨年7月、企画部のアンケート調査の報告書では、ここでは、基本構想を改定するに当たり、区民ニーズや意識を把握し、新たに策定する基本構想に反映することを目的に実施したと。このアンケートの結果、一番トップが高齢者福祉、そして低所得者福祉などが続いているんですね。この住民要望を何のために調査したのか、この目的が問われると思います。私は、長期計画ということであれば、今、区民の願っているこの内容こそしっかり位置づけるということが必要だと思いますけども、今の答弁では、調査の意味、アンケートの意味そのものが問われると思いますけども、説明をいただきたいと思います。

それと、今からでもこの要望をしっかり把握するということが必要。我が党区議団がことし調査したところでも、高齢者福祉はトップでした。具体的な中身としては、何かというと、やっぱりその中のトップは特養老人ホーム、それで次はヘルパーの派遣回数の問題、そして認知症のグループホームの設置、こういうところが非常に要望が高いと。せっかくアンケートをやっても、こうした区民の願いが具体的なところでつかまれていないんじゃないかというふうに思います。今からでもしっかりつかんで反映させるということを求めたいと思います。

それと、住宅のところですけれども、やっぱり一番望んでいるものの1つが住宅だと思います。今まで品川区は、ほかの区と比べて区営住宅、高齢者住宅の建設は遜色ないというふうに言ってきましたけれども、これは比較するのはほかの区との関係ではなくて、住民要望との関係で、比較するのであればここだと思うんですよね。この考え方はどうなのかということと、そして、例えばほかの区ということであれば、大田区は区営住宅を増設しています。高齢者住宅も増設していますけども、ほかの区の都合のいいところだけ持ってくるということでは、私は区民も納得できないと思います。

それともう1つ、パブリックコメントのところですが、結局、基本構想のときと同じなんだということを言いました。私はこれは本当に不誠実だと思います。これから区の長期計画を決めるわけですからより多くの声を集めるということが必要。とりわけ、私が指摘した広報、新聞折り込みだけじやなくて全戸に配布したらどうか。議会でもほかの人も出ていますけども、今、新聞をとれない方が非常に多い。とりわけ高齢者は多いです。こういう方に、駅や区の施設に広報が置いてあるから、それを見なさいと。これはあまりにも実態を見ていないと思います。低所得の高齢者がこうした情報から阻害されるということになってしまうんですね。新聞の折り込みということであれば、区の必要な情報を得るのにお金が必要ということになるわけですよ。区はこれまでいろんな申し込みを広報でお知らせすると。だから、一斉に新聞折り込みでやるんだというふうに言いましたけれども、では、それはお金があればという、ここでもお金があればということになるわけですよね。お金がない人、今、新聞もとれない人にどう区の計画を届け、そういう方々の声を聞くのかと。そこの姿勢が全く見られないと。再答弁をお願いしたいと思います。

あと、ゲリラ豪雨との関係ですけども、高層化をすれば風が通るから対策になるんだと。私は、何ていいますか、あいた口がふさがらないというふうに思いました。超高層ビルがゲリラ豪雨になってきている。こういう研究が進んできているわけですよね。やっぱり、これから10年間の長期の計画をつくるときに、これを外してつくっていいのかと思います。今まだ確定していないと。定説化になっていないからと目をつむっていけるものなんでしょうか。しっかり今の研究の到達点を踏まえた長期計画にして、やっぱり開発のところは抜本的に見直すということを求めたいと思います。改めて、研究がここまで来ているという関係でどうなのか伺いたいと思います。

あと、29号線のところですけども、まず交通量の予測、していないというふうに言いました。私は、首都高速中央環状品川線ができると五反田に出入り口をつくることになる。車が集中する。こういう道路が避難路として適当なのかということを言いました。そういう質問にもかかわらず、予測していないと。では、予測していないんだったら、避難路だとか、防災だとかということが言えるのかということですね。なぜ、避難路としていいのかという根拠がないじゃないかということを言いたいと思います。何といってもこの29号線は住宅地、商店街を分断するということで、住民が反対しているんですよ。この反対を踏まえた地震対策というのがなぜできないのか、これを聞きたいと思います。

あと、住宅の耐震化のほうですけども、これから実施計画で位置づけるということでありますが、長期計画の中にも、品川区が掲げている耐震化、これに基づいてやっていくんだという文言がないんですよ。せっかく品川区が2015年までに90%耐震化という目標を掲げているんだったら、これを長期計画の前面で掲げるべきだというふうに言っているわけでありまして、実施計画でさらに具体化するのは当然ですけれども、長期計画、これからの10年間の計画として、私は非常に不十分ではないかということを指摘したいと思います。これも再答弁をお願いしたいと思います。

住宅の耐震化のところではなかなか進まないと。私はもっと力を入れるべきだと。耐震化の支援に踏み込んだけれども、腰が引けているというふうに思えて仕方ありません。耐震シェルターをやるからということでありますけれども、住宅が倒れれば、道がふさがれたりそういうこともあるわけですから、やっぱり耐震化を進めていっていただきたいと思います。

あと、装飾灯のところですけども、結局、増額という話が聞けておりません。今、商店街が非常に苦しい状況です。中には消灯時間を早めてきているという商店街も現実にあります。区の商店街連合会も、省エネで点灯時間を短縮すれば夜間の歩行者の安全性を損なうことも考えられると、非常に心配しています。私はこのまましていったら、どんどん消灯時間が早まるということが加速しかねないと思います。装飾灯がどんどん消えていくということでいいと思っているのかどうなのか、何か対策を考えなきやいけないと思っているのかどうなのか、ここのところを聞きたいと思います。


再答弁

区長(濱野健君)

膨大な再質問でありますので、簡略にお答えをさせていただきたいと思います。

長期計画で福祉をとりわけて重要視するような、そういう位置づけはできないかという再度のお尋ねであります。その際に、いわゆるアンケートをとってニーズとしては福祉が上位ではないかというお話でございますが、あくまでこのアンケート調査というのは区民ニーズの把握でございます。ニーズがそのまま政策になるということではございません。したがいまして、ニーズをどのように政策として形成し、そこに税金を投入していくかというのは、これはまた政策判断の場面でございます。そういった意味で、長期基本計画の中で、福祉だけを他の施策に突出させて浮かび上がらせるということはできないものというふうに考えております。

それから、公的住宅についてのお尋ねでございます。これも今のご答弁と同じことになりますが、要望があるから、それについてすぐおこたえをしなければならないということではない。やはり、いただいた税金をどのように配分し、どのように効果的に使うことで、区民の皆様に必要なサービス提供を行っていくかという総合的な観点から施策というものは行うべきでありまして、要望即政策ということではないということをお考えいただきたいと思います。

それからパブコメ、あるいは長期基本計画の周知方法についてでありますが、先ほどご答弁申し上げましたように、基本構想と同様の方法をとっていくつもりでございます。ただ、分量的にかなりなものになりますので、独立した号として発行できないかどうか、今、検討をしているところでございます。以上でございます。

まちづくり事業部長(岩田俊雄君)

私からは、29号線、耐震化、ゲリラ豪雨の再質問にお答えいたします。

まず、耐震化の促進でございますけれども、これは議員ご指摘のさらに推進していくという姿勢は、当然品川区も同様でございます。昨年12月に品川区の耐震改修促進計画を策定し、区長の英断で、年度途中ではありますけれども、区議会のご協力を得て補正予算を組んで、一刻も早く耐震化に踏み込んだわけでございまして、まだ半年ちょっとでございますけれども、鋭意努力をしているところでございます。ただ、まだまだ進捗率は思ったほど行っていないのは事実でございますので、問題点をきちっと洗い出しながら、さらに促進していくよう、あらゆる手段を今後講じてまいりたいと考えております。

次に、補助29号線でございますけれども、いわゆる東京都の広域避難、広域避難場所、広域避難道路の基本的な考え方は、東京直下でも大陸型の大地震でもそうですけれども、環八以内については、即交通どめにする。現在、品川区で広域避難道路に指定されておりますのは幹線道路でございます。南北道路では第一京浜、第二京浜、中原街道。現在も通常は相当の交通量で車が走っております。こういう中でも、地震発災時には速やかに車をとめ、縁のほうに車をよけて、中心部分は避難と。そして援助の緊急車両の通行帯として速やかに確保するという、こういう計画のもとにこの広幅員の道路というのは位置づけられておるわけでございますので、先ほどご指摘の29号線のみが広域避難道路とならないというご指摘は、現計画を否定してしまうものだろうと思います。

それから、ゲリラ豪雨の件でございますけれども、首都大学東京のもともと気象学研究グループのあそこの研究の主張というのは、東京23区内でゲリラ的な豪雨が発生する1つの大きな要因が、千葉の九十九里浜から茨城県あたり、いわゆる鹿島灘から東京都心に向けてかなり強い風が夏場吹いてきます。それと東京湾に沿って南から海風が入ってきます。それと、静岡県の若狭湾からもう1つの風が夏場には入ってくると。たまたまそれが、この3つの方向から来る風が、練馬、中野、板橋あたり、ここら辺がちょうど合流点になっていて、そこでぶっかって上昇気流を発生し、あのあたりでここ数年、大きな集中豪雨が何度も発生しているという主張が首都大学東京の研究グループの主張なんですね。

今回の教授が発表したのは、高層ビルに―これが高層ビルとしますと、これに対して風が当たって、これがいわゆる積乱雲―積乱雲というのは、通常上昇の数千メートルから10キロぐらいの間に発生するわけですけれども、果たして、このビルに当たった風がそこまでのエネルギーがあるかどうかというのは、少なくとも私があの発表の資料を見た限りでは、力学的な解析はどうもまだこれからのようでございまして、あくまでも過去11年間の雨の降った実績から統計的に算定した数値がそうなるだろうと。こういうことでございますので、これはもう少しよく研究の進み方を私としても注目をしていく必要があると思っております。ただ、一般的には、こういう高層の建物、100メーター前後の建物をつくるときは風洞実験等を行います。一方向から風を送った場合に、煙を出すわけですけれども、はね返ったものが普通は横に逃げていきます。建物の反対では気圧が低くなりますので、こちら側に巻き込みます。上昇気流もそうです。ぶつかった風はこう巻き込まれるということですから、100メーターとか140メーターのせいぜい高さの建物が、果たして積乱雲を巻き起こすほどのエネルギーが発生するかというのは、これは私見ですけれども、非常に疑問を持っているところでございます。

区民生活事業部長(宮地恵美子君)

商店街の装飾灯に関する再質問にお答えいたします。

商店街の活性化につきましては、装飾灯に限らず、総合的な観点から取り組んでまいりたいと考えております。


再々質問

みやざき克俊君

まず、区長さんの答弁ですけども、ニーズがそのまま政策になるわけじゃないんだと、政策判断は別なんだという話ですけども、私は先ほども言いましたけども一体だれの代表でそこに座っているのかというふうに言いたいと思います。住民の願いが実現するのが行政の責任じやないんでしようか。そこのトップの要望がなぜ、要望は要望と。自分たちがやるのは別ですよというふうになるというのは、私は、区長としての答弁として本当に驚く答弁だと思います。私はこれは納得できません。もう一回この真意を聞かせていただければと思います。

あと、住宅もこれは同じなんだというふうに言いますけども、結局、今、指摘してきたのは、お金があれば住めるよと。じやあ、貧乏人はどうするのかと。今まで−生懸命働いて区に税金を納めても、現にもう仕事がなくなった。年金しか収入がなくなったとなれば、もうどこにでも行ってくださいというのが品川区の姿勢ですか。そこの姿勢をしっかり聞きたいと思います。

あと、ゲリラ豪雨のところですけども、部長さんは今後の研究も注目していくんだというふうに言いました。そして、部長さんの私見をいろいろおっしゃいましたけれども、研究に注目していくというのであれば、今どんどん研究が進んでいる中で、長期計画にどう反映するんですか。10年たってもう取り返しのつかないということになったらどうするのかというふうに思います。注目するというのであれば、その姿勢を長期計画にどう反映するのか伺いたいと思います。

あと、装飾灯のほうですけれども、装飾灯だけじゃないんだと。それはそのとおりだと思います。でも、とりわけ今望んでいるのが装飾灯なんです。非常に高い要望についてどう要望を受けとめるんですかということを聞きたいと思います。


再々答弁

区長(漬野健君)

区が仕事をしていくにつきまして、区民の方々の要望というのは非常に重要な要素であります。しかし、それだけではございません。区民の方々がお気づきにはならないけれども、やらなければならない重要な仕事というのもたくさんあるわけでございます。例えば、今ちょっと名前をど忘れしましたが、品川女子学院のわきから御殿山のほうにかけて小さな陸橋がございます。この落橋防止の改修、こういったものは区民の皆様の要望という点からいえば、恐らくかなり下のほうだろうというふうに思いますが、下を通っている新幹線、東海道線、山手線、横須賀線、こういったものに対する影響を考えれば、これは喫緊の課題として改修をしなければならない。それと同じようなたぐいの政策というのはかなりございます。区民の要望だけですべての税金を使い果たしてしまっては、こうした仕事をすることがかないません。したがいまして、世の中に必要な仕事というのをしっかりと見きわめて、それを政策としてまとめ上げて税金を投入していく、これが区政だというふうに考えております。以上です。

まちづくり事業部長(岩田俊雄君)

豪雨の再々質問ですけれども、委員がご指摘になった特定の方の研究発表、いわゆる専門家の方というのは、それぞれの研究されたことをそれぞれの場でそれぞれの立場で発表されるわけですから、そういったものがいわゆる学会なり、あるいは気象庁をはじめとした研究グループによってオーソライズされることによって、当然のことながら行政が施策にそれを転換していくという、こういうことになるわけですね。一人ひとりの研究者の方が発表されたからといって、現時点で品川区で独自に気象学の専門的なものを解析して長期計画にうたうということは、これはできることではございません。私が先ほど私見と申し上げましたのは、超高層ビル群というのは何も東京だけではございませんで、アメリカのニューヨークのマンハッタン地区なんていうのは、もっと超高層ビル群が林立している地区ですけれども、このような現象というのは私は聞いたことがございませんし、やはりこの発表というのは、専門家の発表ですから、私のような素人が云々というコメントをすることは本当はおかしいんですけれども、注目をしながらいろいろ研究をしていくと。もちろん、品川区としては、品川区の水防対策というのは、今までも進めてまいりましたけれども、これからもきちっと進めていくということを最後に言わせていただいて、終わらせていただきます。

区民生活事業部長(宮地恵美子君)

再々質問にお答えいたします。

先ほども申し上げましたとおり、商店街によっても要望はそれぞれございますし、やはり総合的な親点から活性化に取り組んでまいりたいと、このように考えております。

議長(伊藤昌宏君)

以上で、みやざき克俊君の一般質問を終わります。

以上

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