2008年12月5日 南 恵子 区議
私は日本共産党区議団を代表し、ただいまの委員長報告の、第74号議案「品川区組織条例」と、第75号議案「品川区教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例」に反対の立場から討論をします。
第75号議案「品川区教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例」は、今年6月に「地方教育行政の組織および運営に関する法律」が改正され、これまで教育委員会の職務とされていたスポーツおよび文化に関する事務について、教育委員会の意見を聞いて区長の職務とすることができることになり区長が一元的に実施するために改正するものです。
第74号議案「品川区組織条例」は、2009年度4月1日以降の品川区の組織を基本構想に掲げる都市像に合わせて改正するというものですが、この改正にあわせて先の第75議案で区長部局に移行することができることをもって、スポーツおよび文化に関する事務を区長部局に移行するというものです。
社会教育は教育基本法の精神と学校教育法にもとづいて「すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して自ら実際生活に即する文化的教養を高めえるような環境を醸成するよう努めなければならない」と、国や自治体の責務として定めています。それは、戦前の教育は学問の自由を否定して侵略戦争推進体制を作っていきました。それを深く反省し、教育を権力から独立させて平和で民主的な社会教育を進める必要性や重要性があったからです。
今回の組織改正は、憲法で保障された人権としての教育権・学習権と教育関連法の精神から外れていくのではないかという懸念を持たざるをえなく反対です。
以下、理由を述べます。
1点目の理由は、区の長期基本計画の生涯学習・スポーツの項では、「政策の方向」に記述されている「ニーズに応じた学習内容の提供や学習成果を社会に還元する仕組みの構築」の「ニーズに応じた」と「学習成果を社会に還元」について指摘します。学習とは内発的で自発的なものですが、「ニーズに応じた」とはニーズを限定的にとらえて多様な価値観があるにもかかわらずそれが保証されなくなる心配が出てくること。また、「成果を社会に還元」については、学習した成果は、結果として社会に還元されるものであって目的ではないはずです。しかし、目的化されていきはしないかという心配が出てきます。学ぶことそのものに枠をはめたり限定的なものにさせないために多様な考え方を保障し、それがより豊かな社会を形成するものです。学習はまさに権利としてあるはずです。行政によって自由で自発的な学習が制限されたりゆがめられることはあってはなりません。
2点目は、生涯学習・生涯スポーツによるまちの活性化を推進するとして長期基本計画に位置づけ区長部局の地域振興事業部に移行するとしています。にぎわいやまちの活性化と文化・スポーツをリンクするとなると、賑わいに効果が出る出ない、あるいは目的に沿うか沿わないかで事業が取捨選択されるようになっていく心配が出てきます。また、区長の考え方で事業内容が大きく変わりうる懸念も払拭できません。止めるべきです。
最後に、社会教育関連の3法、社会教育法・博物館法・図書館法が今年6月に改訂されましたが、2年前に改悪された教育基本法の具体化です。品川区の社会教育行政は2001年以降、図書館と文化センター、歴史館の予算は目としてそれぞれ独立して計上されていたのを、社会体育費と生涯学習施設費に矮小化されました。区民のニーズが高まっていると判断をするなら、教育基本法で述べている「文化的教養を高めえるよう」な環境づくりにこそ専念するべきです。
以上で反対討論を終わります。
以上