2009.2.26 菊地 貞二 区議
一般質問 >> 答弁 >> 再質問 >> 再答弁 >> 再々質問 >> 再々答弁 >>
日本共産党を代表し、一般質問を行います。
はじめに、「区営住宅の入居収入基準改悪はやめ、住宅増設で区民の願いに応えよ」の質問です。
いま、多くの区民が小泉構造改革で進められた庶民増税、社会保障の負担増、そして急増する大企業を中心とした雇用破壊のもとで、住まいを確保することすら困難になろうとしています。家賃が払えず、ネットカフェに寝泊りする若者、食費を削って家賃に充てている年金生活者など、住宅難民が増加するなかで区営住宅の必要性が拡大しています。
こうした現状をふまえ、大きく3点について指摘し改善を求めるものです。
一点目の問題は、公営住宅法施行令が改定され、家賃の値上げと入居収入基準の引き下げが決定し、区営住宅もこれに準拠し改定が行われようとしています。
総務庁による全国貯蓄動向調査の結果に基づいて、収入順位に並べ、何%の範囲に位置しているかを示した分位表があります。これによると現在の1分位は12万3000円までとなっていますが、改定後は10万4000円。10万4001円から12万3000円までの方は、これまでの1分位から2分位となり家賃は値上げされます。区の資料によると439世帯のうち60世帯が4600円、36世帯で1万1500円、22世帯が収入超過で計131世帯の家賃が上昇。さらに、区営住宅への入居基準となる所得金額を、現行の月20万円から15万8000円としました。区では「応募資格の喪失世帯は約3.3%」としていますが、昨年の8月、11月、12月の応募者だけ見ても、従来申し込むことのできた約50世帯が申し込むことさえ出来なくなります。
生活困窮者を増加させ、現在入居している世帯の追い出し、家賃値上げにつながる制度改悪です。仕事も住まいも追われる人々が増加する状況から考えれば、基準をあげるのではなく、むしろ緩和してこそ地方自治体の役割りを果たすことが出来るのではないでしょうか。
そこで質問します。
二点目の問題です。
品川区内では昨年8月の都営住宅ポイント方式による募集と、11月の一般家族むけ、定期および一般の若年ファミリー世帯の募集、12月の地元割り当てなどで募集された空き戸数はわずかの31戸。ここに1492世帯が申し込みを行い、平均48倍というすさまじい倍率となりました。最高倍率は東品川第二都営の304倍。定期若年ファミリー募集は3戸の募集に203世帯が申し込み、68倍という結果となりました。また、区営住宅の入居者は20年度の一年間で11戸にとどまっています。区はこの問題点について「安い家賃の公的住宅に申し込みが殺到するのはあたりまえ」とした旨の発言をおこないますが、前提は低い収入で申し込み基準を満たす世帯が多いことを示すものであり、住宅供給をおこたる理由にはなりません。
そこで質問です。
三点目には、こうした中で緊急に何が求められるのかという問題です。
第一に減免制度の改善を求めます。
品川区営住宅施行規則では世帯の収入合計額に5段階の基準を設け、最大5割減額の措置がこうじられています。区の説明では4割の世帯が一般減免を受けているとしています。しかし、受けることの出来ない第2分位の政令月額は新制度で12万3000円。きびしい生活を強いられる収入であることはまぎれもない事実です。
そこで質問です。
第二に家賃助成制度の創設を求めます。
目標を持って懸命に努力する青年はたくさんいます。パテシェをめざして専門学校に学んだある青年は、3月に卒業予定で区内に就職先が決まりましたが、初任給は手取りで14万円。技術を磨くために練習ができるキッチンの広いアパート探したところ、家賃は7万円。暮らしていけるだろうかと今から不安の日々です。
そこで質問します。
第三に区営住宅の増設を求めます。
緊急措置としての家賃助成の提案を行いましたが、本質的には新規建設が必要です。
区内には高額家賃の区民住宅が1056戸ありますが、東京23区で1000戸を超えるのは品川区のみです。一方、低家賃で入居出来る区営住宅はわずかに439戸。世田谷区は品川についで902戸の区民住宅を有していますが、区営住宅を1384戸配置しています。長期基本計画では、「区内の空き室は3万戸をこえ、量的確保はなされている」として区営住宅増設の方針はもっていませんが、そこが入居可能な家賃なのかは別問題です。品川区の住宅政策は、どう考えても低所得者が居住することの出来ない公的住宅の配置です。党区議団がいただいた区民アンケートでは、収入に占める居住費の割合が3割以上という方が35%。また、80%の方が区営や高齢者住宅を望んでいるという結果です。
中堅ファミリー層の定住化促進も必要でしょう。しかし、品川区が本来果たすべき役割りは、きびしい暮らしを余儀なくされている区民への支援こそ一義とすべきです。
そこで提案します。
次に、「防災の名による再開発地域拡大は見直し、住宅耐震化・不燃化に力を注ぐよう求める」質問にうつります。
防災対策事業は緊急性を要し、区民の安全と命を守る上で重要な課題となっています。こうした中、東京都の防災街区整備方針に沿って整備地区を拡大する方針が決定され、木造密集地域では「大規模な市街地火災等から、人々の生命とくらしを守るために災害に強いまちづくりを進めることが重要」と位置づけられています。
これだけをとらえれば、その必要性を否定するものではありません。
私が疑問をいだかざるをえないのは、整備方針が防災再開発促進地区と防災公共施設を定めることでなりたっていますが、これを品川区がどのように活用するのかという問題です。
そこで防災街区整備方針まちづくりの関連についてお尋ねします。
防災再開発促進地区の指定が拡大されましたが、この地域について2号地区との整合をはかるとしています。2号地区は「一体的かつ総合的に市街地の再開発を促進すべき相当規模の地区」と規定され、その選定にあたっては再開発促進地区か都市再生地区のいずれかに該当するものとしています。つまり民間事業者や一部の大手地権者が自由に再開発を進めることが出来る地域を行政が設定し拡大したことになります。2号地区は現在の設定で642ヘクタール。これに再開発事業の完了した2号地区や臨海部を含めると、品川区総面積の約30%が再開発地域となります。
個人住宅で不燃化のために建て替えをすることになれば、制度活用によって建築費用の平均7%から8%、耐震工事では木造住宅で限度額75万円の助成がありますが、再開発ともなれば20%近い補助金。本当に区民の安全を考えるなら、再開発に相当する財政投入で耐震化、不燃化を進めてこそ防災力強化がはかれるのではないでしょうか。
補助金とあわせて、資金調達が容易なデベロッパーが、投入した資金をはるかに上回る膨大な保留床を得る一方で、小さな権利しか持たない住民はその地を離れざるをえない、そうした事態がなお一層進むことになります。
区の試算では、拡大された防災再開発促進地区に11万6200名が居住していますが、この広大な地域で再開発が進む前提がつくられたことになります。品川区は「この設定によってすべてが再開発となるものではない。地区計画が必要。」あるいは「上位計画を活用しやすくなる。」旨の答弁をおこないますが、区内の実体を見れば、区民生活には必要のない開発が続けられていることは明白です。
今回のあらたな設定地域内となった武蔵小山駅周辺では、土地の高度利用を促進するとして、都心共同住宅供給事業の制度を利用して補助金をえた超高層ビルを建設。この計画によって借家住まいの住民や商店が追い出され、ビル風被害が発生。04年に動き出した3.1haの開発は、周辺56haの地域にまで拡大されようとしています。大崎駅周辺の再開発地区では、日野学園は三方が100mを超える超高層ビルに囲まれます。区は「文教施設といえども都心部での日照確保は不可能だ」とした旨の発言。最初から環境被害を受けることを承知で東洋製罐の土地を買い、日野学園を建設することに疑問もなかったとするなら、その良識を疑わざるをえません。文科省が平成8年に発表した「環境を考慮した学校施設の整備について」の中で「施設計画に際しては、児童・生徒が日常的な学校生活をとおして自然環境と関わり、その理解を深められるよう配慮すること。児童・生徒にやさしい環境を造る計画が必要だ」として環境に親しめる建築空間、室内環境を良好に保つ、などの計画とするよう提起し、この中で日照の重要性にもふれています。代表質問でも指摘していますが、御殿山小は北品川開発で日陰となり、敷地内移転を余儀なくされています。昨日の答弁では施設の老朽化をあげていますが、区が認可した再開発で日照被害が起き、文教施設が移転せざるを得ないなど前代未聞の出来事です。大崎駅西口ソニー地区には、敷地中心部に区道があったにも関わらず再開発を認可。巨大企業であるソニーが、この地域であげた利潤からすればわずかな占用料で長年にわたって貸し付け、再開発するとなれば譲りわたし巨大ビル建設の後ろ押しをする、こうした問題点をあげれば枚挙に暇がありません。
そこで質問します。
最後に「東京港湾計画で車を呼び込む中央環状品川線計画は中止を」の質問です。
日本共産党区議団は、中央環状品川線建設計画について財源や環境といった問題点を指摘しつつ、幾度かにわたって質問をしてきました。今回は、東京港湾計画と品川線との関連を中心にお聞きしてまいります。
「東京構想2000」を基本にしてつくられた「都市づくりビジョン」は、石原慎太郎東京都知事が「国際都市東京を創造する」「都市再生を迅速、確実に進める」として策定されました。この中で大井埠頭を国際的な港湾物流基地として機能強化を進めると位置付けています。この具体化として東京都都市整備局作成の「総合物流ビジョン」では、東京港を貨物量の増加に対応した倉庫、生産地・消費地にいたる円滑な貨物輸送の確保、官民一体となった物流サービスの向上と港湾コスト低減の取り組みなど、総合的な物流の効率化が求められると位置づけました。この中で、大井埠頭に陸揚げされた貨物を全国に輸送、地方港湾や空港から海外に輸送するための高機能道路として中央環状線を位置づけ、ビジョンには「中央環状品川線完成に合わせ、中央環状線への大型貨物車の誘導方策などをおこない過度な都心部走行を抑制」と記述され、中央環状品川線に車両を集中させるとしています。「国際海上コンテナの陸上輸送に関する基礎的考察」とする文書では、「大井埠頭を出発する大型コンテナトレーラーのうち最大56%が環状七号線に集中している。これは首都高速道路が湾岸線以外通行出来ず、通行可能な道路は環状七号線と国道15、17 号線のみであり、特に環状七号線に通行を依存する傾向が強い」としています。ビジョンによれば、大井埠頭を使う大型車両や横浜港から出発し環状七号線を利用していた車両も加えて、東西方向については品川線に誘導されることになります。
品川線の交通量予測では、現在の山手どおりを通過するのが日量36000台。品川線が開通すると51000台。現在、山手どおりを通行する車両の一部は品川線を利用するため山手通りで28000台となり、計79000台で2.2倍化。この交通量予測に港湾計画による大型車両の増加は見込まれているのでしょうか。東京港整備について、2005年に開催された「港湾問題都区連絡協議会」では、「大井埠頭を利用する大型車は増加するが、品川区部を通過することはない」としていました。しかし、「総合物流ビジョン」を見る限り、港湾計画で増大する大型車両は品川線を利用し、品川区内の換気塔から汚染物質を撒き散らすことになるのではないでしょうか。
区が実施したアンケートには、「空気の汚れ」についての質問に、「やや悪い」「悪い」と応えた区民は38.4%に昇り、「特に力を入れてほしい施策」に「環境問題」があげられています。また、「環境が良いので品川に住み続けたい」という区民はわずかに2割台で学校統計調査でも喘息児童が増加していることは周知の事実です。
9兆円もの税金を投入し、都市再生を図るとして行われているのが東京港整備であり、品川線建設です。社会保障やくらしにかかる費用が高額になる一方で収入は減少し、雇用や営業への不安、医療や介護への不安、暮らしていけるのかという数々の不安が渦巻く中で、2000億円もの税金を投入する品川線建設はゆるされるものではありません。
そこで質問します。
以上で私の一般質問を終わります。
私からは、東京港港湾計画と中央環状品川線についてのご質問にお答えを申し上げます。
港湾計画は、港湾管理者が港湾法に基づき定めるマスタープランでありまして、一定の水域と陸域から成る港湾の空間につきまして、開発、利用および保全の姿などを中長期的な視点から描いた計画のことでございます。
東京都では、平成18年に東京港第7次改訂港湾計画を策定しております。内容は、東京港の国際競争力を強化するとともに、物流・交流・環境・安全の4つの機能が融合した魅力ある「みなと」を実現するとしたものであります。
物流機能が強化され、増加する交通量とのお尋ねでありますけれども、この計画の中で東京都は具体的な数字を示してはおりませんが、物流強化に当たり、港内交通の利便性を向上させ、港湾と背後圏とを円滑に結ぶ動線を確保するために、広域的な幹線道路網との連携に配慮し、また、効率的、体系的な臨港道路ネットワークを形成するとしております。これらさまざまな道路ネットワークの構築によりまして、第7次改訂港湾計画では、計画区域内の大気質の影響は軽微と伺っているところでございます。
次に、東京港の物流機能は大型車両ではなく、鉄道輸送に切りかえるべきとのご質問ですが、国土交通省の輸送距離別の輸送機関によりますと、貨物鉄道は主に1,000キロメートル以上の長距離で利用されております。東京港の貨物は関東近県の輸送が主でありますから、当然のことながら車両による貨物輸送が主流となっております。したがいまして、鉄道輸送への切りかえを働きかける考えはございません。
最後に、中央環状品川線は東京港にとって必要な基盤整備なのかというご質問でありますけれども、中央環状品川線は東京港のみならず、首都圏の物流を支える骨格的な道路ネットワークの1つであります。都は、中央環状線が完成しますと、首都高速道路全体のネットワークが効率よく機能し、首都高速道路および周辺道路の交通の流れがスムーズとなり、慢性的な渋滞が緩和されるとしております。その結果、沿道の環境も改善されるとしており、区も同様に品川線は必要なものと考えているところでございます。
その他の質問につきましては、担当の部長よりお答えさせていただきます。
私からは、区営住宅に関するご質問と防災再開発促進地区の拡大に関するご質問にお答え申し上げます。
まず、区営住宅の入居収入基準の改定のご質問ですが、国は、公営住宅に入居できる世帯の所得基準が収入分位25%以下となるよう、公営住宅法施行令第28条で定めておりますが、平成8年以降、この基準が改定されず、現実には収入分位36%までの世帯までが申し込みができる現状を見直すもので、公営住宅法施行令の改正に伴い、全国の公営住宅に反映されるものであります。したがいまして、区として国に基準改正の撤回を求める考えはございません。
なお、区は区営住宅に入居されている世帯に対し、東京都と同様に現況家賃を据え置くということで経済的負担を軽減する取り扱いを行います。
次に、区内の公営住宅の入居倍率に関しての考えと公営住宅の申し込み基準を満たす世帯に住宅を供給するということについてですが、公営住宅の入居倍率は地価水準、利便性と比例する関係にあり、都心区ほど高く、港区などでは1,000倍を超える団地がある一方、周辺区、多摩地区では二、三倍に満たない団地が数多く存在しております。区内の公営住宅の入居倍率の高さは、品川区が都心化し、極めて生活の利便性が高いことのあらわれと理解をしております。
また、公営住宅法は国と地方公共団体が協力して低額所得者に対して低廉な住宅を提供することを目的としておりますが、申し込み基準を満たす世帯は、標準世帯の給与収入で447万円までが対象となるものであり、すべての対象世帯に住宅を提供することが個々の地方公共団体の責務になるとは考えておりません。
次に、区営住宅の減免制度ですが、区営住宅が低所得者層を対象としたものであることから、家賃が家計の負担とならないよう制度化したもので、区は都営住宅の減額制度に準じ、生活保護受給者との均衡を図りつつ、適切に運用しておりますので、減免率と収入合計額を拡大する考えはございません。
また、家賃助成制度の創設についてですが、区内に定住人口が着実に増加し、バランスのとれた人口構成が図られつつあるため、住宅政策として低所得者層を中心とした助成制度を創設する考えはございません。
最後に、区営住宅の増設についてですが、区内には約4,000戸の公営住宅があり、区営住宅の戸数は、23区のうち9番目の住宅ストックを確保しております。区内の定住人口が着実に増加する一方、住宅の総数が世帯の総数を上回っている社会動態から、区営住宅を増設する状況にはございません。
次に、東京都市計画防災街区整備方針および防災再開発促進地区に関してのご質問にお答えいたします。
東京都市計画防災街区整備方針は、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律、いわゆる密集法に基づき、東京都が防災上の整備を促進するために定める方針でございます。昨年、この方針で定める防災再開発促進地区の見直しが行われ、品川区の防災再開発促進地区は522・5ヘクタールに拡大いたしました。この見直しは、東京都防災都市づくり推進計画で指定する重点整備地域との整合性を図る趣旨で行われたものでございます。
したがいまして、この防災再開発促進地区は防災性の向上を目的とした市街地整備を前提としており、例えば密集市街地における細街路の整備や、小規模な建物の共同化・不燃化を含むものでございます。
再開発は、地域の特性に応じて行われるもので、防災再開発促進地区の指定のみをもって、住民への影響を一律に論じることはできませんが、そもそも再開発によって、住民を追い出す、住民に被害をもたらすとのお話は、何をもってご指摘されているのか理解に苦しむところです。
次に、都市計画に対する見解をとのご質問ですが、まず品川区の都市計画は、国土計画、首都圏整備計画、東京都市計画など、より広範囲の全体計画等の整合を図るべきものと心得ております。その上で、個々の地域にふさわしい都市計画の目標を設定し、その実現に向けて具体的な規制や誘導を定めるものでございます。
品川区内には、従来の町並みを保全すべき地域や、積極的に土地利用転換を図り、新しい町並みにつくりかえることが望ましい地域もございます。こうしたそれぞれの地域の特徴を生かす、あるいは改めることによって、「住み続けたいまち しながわ」の実現を図ることは、都市計画の役割であると認識しております。
また、都市計画を定めるに当たって、さまざまな方々の意見を集約すべきであることは言うまでもございません。ただし、法定再開発事業や地区計画などは、個人の財産に対して法律に基づく拘束力が及ぶものですから、意見集約、あるいは合意形成において、他の方々に先んじて土地・建物に権利をお持ちの方々のご意向を確認しているものでございます。
次に、認可事業は生活再建や日照・風害・騒音などについて、区が率先して解決を図るべきとのご指摘でございますが、都市計画に基づく認可事業は、生活再建はもとより、日照など周辺環境への影響の軽減など、事業全般にわたって内容の適否を判断し、適当であると認められる事業のみを認可しているものでございます。事業に起因するさまざまな課題は事業者が解決すべきものですので、品川区は東京都と連携を図りながら適切に指導してまいりましたし、今後もこれまでどおり指導してまいります。
次に、耐震化年次計画の策定ならびに耐震化・不燃化の助成金増額についてのご質問ですが、耐震化年次計画の策定は、区では平成19年12月に耐震改修促進計画を策定し、耐震化の目標値を定め、耐震化支援策の強化・拡充を行って、災害に強いまちづくりを進めていることは周知のとおりでございます。
その中で、区有建築物は順次計画的に耐震化を進めておりますが、民間建築物は、区民が耐震化の必要性を自らの問題として受けとめて、自主的に取り組むことにより耐震化がなされるもので、年次計画にはなじまなく、計画策定の考えはございません。
また、耐震化や不燃化は、自助・共助・公助が基本となり、公共的な観点から必要がある場合に財政的な支援を行うものでございまして、単なる補助金増額についての考えはございません。
次に、防災街区整備方針の住民説明会についてですが、防災街区整備方針は東京都が決定する都市計画であり、昨年の都市計画変更は、都市計画法に基づく公告・縦覧などの手続を経て決定されたものでございます。また、これは防災上の整備方針を定めるもので、区民の方々の権利や財産に直接影響を及ぼすものではございません。したがいまして、区として説明会を行う考えはございません。
自席から再質問させていただきます。
まず、区長が最初に答弁を下さった東京港と品川線の関係でありますけれども、ご答弁の中で、大気質の汚染は軽微なものだという話がありました。実際にビジョンを見ますと、このように書かれているんですね。都心部走行の抑制に向けた仕掛けづくり、国際都市としての魅力を向上させる、そのため品川線が必要なんだというふうに書かれています。要は、都心部に集中している車両を、品川線を使ってそちらに迂回させるという流れをこの中でつくり出そうとしているわけですけれども、国際都市東京としての魅力を向上させるために、品川区、品川線を通過させるんだというふうになれば、結局は大企業が今集中している東京都心、ここの魅力向上のために、環境改善のために、品川線沿線の住民は我慢をしてほしい、こう言っているのと同じことなんですね。このことに品川区として問題を感じないのか、そのことについて答弁をいただきたいというふうに思います。
それから、住宅の問題ですけれども、住宅について言うと、基準を満たす世帯への考え方として、自治体の責任に関する答弁は、責任はないんだということでした。これまでも何度か基準が切りかえられて、例えば年齢の引き上げなんかもありましたけれども、実際に申し込みできる基準をずっと狭めてきたわけですよね。それでも基準を満たす世帯というのが、毎回の募集で50世帯だ、100世帯だ、こういう倍率です。
長期基本計画で言う住宅困窮者、住宅確保の要配慮者ですか、こういう皆さんというのは、申し込み資格をすべての方たちが持つ世帯だというふうに私は考えています。区は長期基本計画の中で、住宅確保要配慮者、この言葉を使っていますけれども、どのように認識されているのか、先ほどの答弁では責任はないんだというふうに言っていますけれども、長計の中ではこの言葉が使われている。この辺の認識をお聞かせ願いたいというふうに思います。
それから、2号地の問題です。なぜ住民を追い出したというのか理解に苦しむというお話がありました。これは先ほども述べましたけれども、あらゆる形で品川区内で開発が行われて、わずかな権利しか持たないような皆さんはその場所を出ざるを得ない。こういう状況というのは、中地区でもありました。
問題なのは、肝心な開発によってつくりかえられた住民の生活空間に関する評価がこれまで全く行われていない、このことは大きな問題だというふうに思います。そうした開発に関する、生活空間に関する評価、これをどのように考えておられるのか、この点についてもお聞かせ願いたいと思います。
中央環状品川線の問題ですけれども、東京港との関係でお尋ねが始まっておりますので、まず港のことについてお話をさせていただきますが、資源のない日本では、やはり貿易によって国が成り立っているんだというふうに思います。私どもの着るものとか食べるものすべて、もちろん国産にこしたことはないわけですけれども、国産では賄い切れませんから、ほとんどのものが海外から輸入される。輸入されるだけでは成り立ちませんから、その代金を支払うために輸出をするということで、輸出入によって日本の国が、そして我々の生活が成り立っているんだろうと思います。輸出入の主な輸送手段というのは船でありますから、つまり港というのは、私たちの生活が成り立つための重要な拠点だというふうに私は思います。
その港が、日本の港が世界の港の中で非常に地盤沈下してきていて、アジアでもほかの港によって、そこで荷物を小分けして日本にまた持ってくるという、輸送コストがなおさらにかかっているのが現状であります。日本人はそういう意味では高い買い物をさせられつつあるというのが、今、港の置かれている状況だというふうに思います。そういう意味では、日本の港をもっと整備していかなくちやいけない。
港というのは、港だけばぽつんとあるわけではありませんで、その荷物を出し入れするための道路が必要であります。したがって、港を充実するということは、港の周辺を整備する、あるいは道路を整備するということが不可欠であります。そういう意味で、東京港の港湾の計画と環状線というのは関係がありますし、また、そのことは必要なことだというふうに思うわけであります。
一方で、この道路でありますけれども、道路も地上の道路と地下の道路がございます。地上の道路というのは、自動車の排気ガスがそのまま大気中にまき散らされるという道路でありますけれども、地下道の場合は、そこで排出される排気ガスは一たんろ過され、浄化されて地上に出されるという性質の道路でありますから、単なる地上の道路が拡幅される、あるいは新設されるのとはわけが違うというふうに思います。そういう意味で、先ほどもお話し申し上げましたけれども、こうした大気質の関係のことについては軽微なものであるというふうに思っているところでございます。
また、再質にありましたように、中央環状品川線ができることで、地上を走る道路が減少しているということもあるわけでありますから、これも大気質にとってはいい影響だというふうに考えるべきだというふうに思っております。高速道路、あるいは地上の環状線を走っていた道路が、地下の道路を通るということは、先ほども申しましたように、大気質の影響についても逆にプラスだというふうに私は思っております。
以上です。
住宅問題と再開発の再質問にお答えいたします。
まず住宅問題ですけれども、先ほどご説明しましたように、今回の政令改正の目的は、全体の収入分位のうち、政令ではもともと下位から25%の低所得者の方が公営住宅に申し込めますよという規定なんです。それが政令改正をずっとしていないから、現在では現実に下位から36%の方々までも公営住宅に申し込むことができるというふうになってしまっているので、法の本旨に基づいて、本当に低額の所得者の方が申し込めるようにというふうに適正化をする、こういう趣旨で改正がなされているものでございます。決して枠を狭めるとか、そういう意味ではございません。
それから、区営住宅の件でございますけれども、先ほど申し上げましたように、品川区は23区の中でも区営住宅としての住宅ストックも9番目のストックを保有しているわけで、現状の全体のバランスからいって、増設する時期ではない、こういうふうにお答えしたものでございます。
次に、再開発の関係でございますが、議員もよくご案内のとおり、昭和40年代に工場立地法が大規模に改正になって、区内で今後最も土地利用変換がなされるであろう地区が、いわゆる東五反田地区と東品川地区だったわけです。一刻も早く乱開発を防ぐために、区としては望ましい土地利用転換のあり方という上位計画、市街地整備基本構想というものを昭和60年に制定いたしまして、秩序ある土地利用転換を指導してきたわけでございまして、その一つの事業手法が都市再開発法に基づく再開発事業、こういうものでございます。
一方、西大井や大崎駅の西口、今、中地区のようなところのように、いわゆる住宅の密集地域、それも老朽化が進んでいる地域で、このまま何もしなければ、町がどんどん衰退化して危険度が増していく地域、こういうところを防災上、スクラップ・アンド・ビルドをして安全な町に変えていかなければいけないという再開発の手法で使う地区もございます。ともに町の近代化と発展のために、地権者の方々が努力をなされて法定再開発事業を達成されている、こういうふうに考えております。
再々質問ですので、簡潔にお願いいたします。
区長から答弁がありました。港湾、これは生活に必要なものなんだということでしたけれども、都のビジョンの中で国際競争力の強化、これをいの一番に挙げているんですよね。生活じやないんですよ。実際にこの港湾を整備して、中央環状線に大型車両を誘導していくということになれば、国際競争力の強化をいの一番に挙げている以上、喜ぶのは関係業界だけなんじやないですか。問題は、この道路が一体だれにとって必要なのかということが大事なんだと思いますよね。生活関連の事業に優先して整備する必要が一体どこにあるのか。先ほどの区長の答弁では、この辺は全く見えてきませんので、ぜひその点についてもお聞かせ願いたいというふうに思います。
それから、住宅のほうですけれども、要は収入の低い方が増加をしてきているんだということなんだと思いますけれども、これまで区のほうは3万戸のストックがあるんだというふうに言ってきますけれども、実際にそのストックが活用できるのかどうか、そうした制度をきちんと示さない限り、その3万戸のストックというのは単なる言葉の上、文字の上だけで遊ばれているものだというふうに思います。
ですから、その辺の考え方についてもきちんと示していただければと思います。
以上です。
再々質問でありますけれども、再質問の答弁を繰り返させていただきます。
先ほども申しましたように、日本の潅が国際的に地盤沈下をするということは、日本に直接物が運ばれないで、シンガポールだとか、ほかの港に一たんつけて、それをまた日本に運んでくるという事態になるわげであります。そうしますと、日本の輸入のコストというのがよけいにかかってくる、つまり、日本人は高い買い物をして、外国から物を買うということになります0ですから、港の国際競争力を上げるということは、直接に日本に物が入ってくる、その間の輸送コストがカットされるということで、我々の生活にとってもプラスなことでございます。
それから、喜ぶのは関係業界だというふうにおっしやいますが、同じ物を運ぶにしても、そうした形でよけいな経路を通らずに物が入ってくるわけですから、別に関係機関が喜ばなくても、日本人の生活が喜ぶということになるというふうに思っております。
以上です。
住宅関連のことなんですが、区内には議員ご指摘のように3万戸弱の民間が中心としたアパート、あるいはマンションの空き室がある、これは事実でございます。それを経営されている事業主の方は、なかなかお客さんが入らないので、現実には非常に苦しんでおられる。こういう空き住宅もいろんなタイプがございまして、木造モルタルのアパートから、鉄筋コンクリートのアパートまであることは事実であります。家賃も安いものから高いものまで、3万戸の中は種々雑多でございます。
収入が少ない方がどういう住宅を望まれて、どれぐらいの家賃のところにお入りになりたいかというのは、その人の希望でありますから、一律にこういう住宅が低所得者向けの住宅であり、そういうところを紹介するというようなことにはなじまないと私は思っております。したがって、行政で行っておりますのは、高齢者の方とか、あるいは低所得者の方が住宅にお困りになったときに、そういった空き情報なんかをいかにお伝えできるか、こういう工夫については今までもやってまいりましたけれども、今後も住情報センターの検討の中で、効果のあるそういう情報の提供の仕方等については検討してまいりたいと思っております。
以上で、菊地貞二君の質問を終わります。
以上