2009.06.22 いいぬま雅子 区議
6月22日文教委員会において審査、共産党とネットの賛成、自民・公明・民主・無所属の会の反対により不採択となりました。7月1日最終本会議で請願に賛成の立場で討論を行いました。討論全文をお読みください。
賛成討論文
日本共産党品川区議団を代表して、平成21年請願第11号「認可保育園の増設を求める請願」に賛成、委員長報告に反対の立場で討論を行います。
本請願は、「認可保育園に希望している全ての子どもが入園できるよう早急に認可保育園を増設してください」と願うものです。ところが文教委員会では賛成少数で不採択となり驚いています。2009年は大不況のもと、家計を支えるため、子どもを預け働かなければならない人が急増し保育園不足に拍車がかかっています。認可保育園を申し込んだ3人に1人約500人の子どもが認可保育園に入園できなかったことは大変深刻な状況であり、抜本的対策と緊急対策両面が必要です。
文教委員会の審査での問題点を2点述べます。
1点目は、区民の苦難に対し、危機感を持たない行政と議会の対応はあまりにも無責任です。区の説明は、幼保一体化施設の整備、認証保育園の開設、幼稚園の預かり保育、緊急対策の一時保育の枠を用意するなど現状の延長線上で新たな対策はありません。
区は様々な対策を取っていると述べていますが、毎年待機児も、未入園児も増え続けています。再開発が進み更に増えます。認可保育園を希望し「不承諾」通知が届いた500人は認可保育園の待機児です。しかし国は待機児を少なく見せるために待機児の定義を変え、どこの施設も利用できず4月1日現在認可保育園の申請をした人に限定しました。500人の問題としてとらえるべきです。またとりわけどうにもならない123人に対し、区はどうするのか問われますが、全く無策です。
請願に対する反対の理由の主なものは、@認可保育園だけにスポットを当てるのではなく、多様なニーズに対応しているAある程度の差異は致し方ないB認証保育所でもいいと選んでいる方もいるなど、理事者の説明を了としています。今回の署名2,784筆の重みをどのように受け止めているのでしょうか。
今すぐ対策が必要な123人に対し「ある程度の差異は致し方ない」などの発言は、あまりにも無責任と言わざるを得ません。幼保一体化施設が出来上がるまで待っていられないのです。
共産党は,国、都、区の保育園の量と質の充実を求めていますが、2009年、都は保育園の整備目標を5335人から8000人に引き上げました。23区にあっても隅田区、新宿、板橋、目黒、足立、文京、港区などで分園方式を含め公立認可保育園の増設や区有地の無償提供による私立認可保育園の増設を緊急に進めています。品川区も是非緊急策として認可保育園増設を行うべきです。
2点目、区は待機児解消の柱として認証保育所の誘致を位置付けています。しかし認証保育所は、親の願いで生まれた制度ではありません。待機児解消を認証保育所に任せるのは間違いです。
5月、0歳の男の子を連れてお母さんが控え室に相談に見えました。「長男は毎年空きがありませんと3年間、認可保育園に入れず認証保育所で待っている。二男も5月入園を断られたが、2人とも認証保育所では生活していけない。新しい認証に問い合わせたら週4日預けて68,000円、週5日預けて78,000円、生活が苦しいから保育園に預け働きたいのに、高額の認証しか選べない。長男がぜんそくで長時間働けないので、正規で働いている人と比べたら勝てるはずがない。2人共認証に預けて働くか、残業続きの夫に、もっと働いてと言い過労死を心配しなければならないのか。どうしたらよいのか、やりきれない思いだ」と訴えます。この方は待機児123人の一人です。
品川の現状では、認証保育園を経験しないと認可保育園に入れないケースが多いです。よって保護者の方は、認可保育園と認証保育園の違いを実感しています。施設設備、職員配置などの環境で言っても,庭があり、正規の専門職がしっかりと配置されている認可保育園が良い事を知っています。認証保育所保育料は応能負担ではなく応益負担のため、保育料助成制度を使っても、所得の低い方ほど重い負担がかかります。所得に応じて保育料を決める認可保育園を望むのは当然です。しかし、石原都政は「認可保育園は金がかかる」と、保育をもうけの対象とする民間企業の参入を促してきました。ところがこの間、民間参入、株式会社が経営する認証保育所の中で、補助金の不正受給、給食費1食数十円など劣悪な保育、「ハッピースマイル」では採算が合わないからと突然の廃園など、営利企業の身勝手なやり方が保護者を不安に陥れました。子育て支援に税金投入を惜しむとともに、福祉をもうけ主義の民間にゆだねた2重の誤りがあります。需要が増えれば、自治体が企業を選ぶことができなくなりチェック機能は働かなくなります。民間企業の経営する認証保育所頼みの待機児解消策はやめるべきです。
政府は、2008年を「仕事と生活の調和元年」としていますが、労働者は、不安定雇用、低賃金、劣悪な労働環境の中で、様々な困難を抱えています。とりわけ女性は、7割が妊娠・出産を契機に離職を余儀なくされ、「困難を知って欲しい。保育園を作って欲しい」と叫んでいるのです。対GDP(国内総生産)比で家族関連の支出が先進国の中でも上位を占める北欧では、「保育に欠ける」子どものすべてに保育所の入所が保障されています。貧困と格差が広がるなか、日本の未来を作る子どもたちの保育を受ける権利と女性が子どもを育てながら働き続けたいという当たり前の願いに応える施設は認可保育園であり増設は、国と自治体の責任です。区内建設業者の仕事確保の観点からも、希望する子どもがすべて入れる認可保育園の増設を求める本請願に賛成を表明し、討論を終わります。