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みやざき克俊区議 09年第2回定例会一般質問「新型インフルエンザ対策」「特養老人ホーム増設」「学校選択制の見直し」「区内中小企業に追加緊急対策」

2009.6.18 みやざき克俊 区議

一般質問項目

  1. 新型インフルエンザ? 自治体として万全の対策を求める。
  2. 「たまゆら」をくりかえしてはならない。特養老人ホーム増設を急げ。
  3. 選択制破たん、教育改革は専門家と区民の意見を聞いて真摯に検証を。
  4. 区内中小企業の営業と雇用を守るため、追加の緊急対策を。

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一般質問

日本共産党を代表し、一般質問を行います。


新型インフルエンザ 自治体として万全の対策を求める

はじめは、新型インフルエンザ対策です。

区および関係のみなさまには新型インフルエンザへの対応、たいへんご苦労さまです。品川でも修学旅行延期など影響が出ました。フェーズ6、人から人に感染がひろがる重大な段階となり、さらに、インフルエンザ流行の時期を前にしています。感染が広がった兵庫や大阪の教訓を生かし、強毒性に備えた万全な対策が必要です。

そこで、マスクなどの備蓄と電話相談や発熱外来の診断体制の整備、感染したら重症化する糖尿病や透析患者、妊婦さんなどへの対応、地域医療機関との連携、学校や保育園など福祉施設の運営、経済的打撃に対する商店街支援など、区の基本的な考え方、対応についてうかがいます。

また、東京都は、感染症指定医療機関を1種、2種あわせて130床確保する目標ですが、達成されていません。指定医療機関の体制強化を東京都に求めていただきたいと思います。


「たまゆら」をくりかえしてはならない。特養老人ホーム増設を急げ

次に、特養老人ホーム増設の質問です。

今年3月、群馬県渋川市、「静養ホームたまゆら」の火災事故で高齢者10人が亡くなりました。亡くなられた方々の冥福を心から祈るものです。「たまゆら」は、「ついの住み家」を宣伝文句にしながら「有料老人ホーム」の届け出はしていなかった。施設の基準を満たすためのコストや、行政の監視を逃れるためとみられています。正規職員は事務員と調理員だけ、認知症の方の部屋には外から「つっかい棒」、スプリンクラーも防火設備もないなど、驚くべき人命軽視の実態です。複数の近隣住民が、県や市など行政に実態を訴え改善を求めていたのに、調査さえ行われなかったといいます。

犠牲者は介護が必要で所得の少ない高齢者。このニュースに多くのお年寄りから「他人ごとではない」とショックの声が上がっています。行政には二度と悲劇を起こさない対策が求められています。

品川区も、生活保護を受け、行き場のない方数人を都外の無届施設に入所させています。今回はそのうち2か所を視察してきましたので紹介します。

二つの施設とも、入浴、介護、食事を提供していながら、施設の表示は共同住宅。有料老人ホーム設置運営指導指針に該当する施設ではありません。

1か所目は、木造2階建て民家を改修した施設、エレベーターとスプリンクラーはなし。バス停まで歩いて20分もかかる山の中。車がすれ違うことができない狭い道路を、万一の時、消防車が通れるのか。夜間、職員1人体制で、避難誘導が出来るのか素人の目でも疑問です。

もう1か所は、鉄筋5階建て一般ビルを改修した施設。ここもスプリンクラーはなく、エレベーターに車椅子がやっと2台入れる程度で、ストレッチャーは入れない。廊下は車椅子がすれ違えない。玄関のロックを解除しなければ外に出られません。二ヶ所とも職員の方は、献身的に働いていましたが、要介護高齢者の入所施設として問題があるのは一目瞭然でした。

さらに問題なのは、特養ホームを増設せず、こうした施設に肩代わりさせてきた行政の姿勢です。

低所得の要介護高齢者は、本来なら特養ホームの対象です。圧倒的に足りない特養ホームを補う形で無届施設がビジネスとして存在。民間経営の有料老人ホームは10年間で6倍に増えました。「たまゆら」の事故後の4月、厚生労働省の調査で34都道府県446施設がいまだ無届けといいます。区も、品川区民として生活保護費を支出し、要介護状態にあることを把握しながら、こうした施設に送ってきたのです。品川区は利用料が月30万円もするケアホームをつくるが、特養ホームはつくってこなかった、生活保護受給者や低所得者を差別、命を軽視してきた姿勢が厳しく問われています。

共産党の要望に、品川区は八潮団地へ80人分の特養ホームの増設を決めました。2011年開設、実に11年ぶりです。しかし、その後の具体的な計画はありません。品川区は特養ホーム整備率が0.88%と23区中22番目、待機者が500人もいるのに、です。

一方、国は、戦後ベビーブーム世代が高齢化する2015年までに特養ホーム整備率をさらに引き下げる低い目標を自治体に押し付け、基盤整備の予算も削減。さらに、石原都政は、2000年に特養ホーム運営費への都加算を廃止、今年3月には用地費補助も廃止しました。これでは特養ホームの整備促進どころか、逆方向。私は、あらためて緊急に大幅な特養ホーム建設を求めるものです。

そこで質問します。

1.特養ホームに入るべき区民を、都外の共同住宅に預け放置してきた責任をどのようにとらえているのでしょうか。該当者に対し、希望があれば安全な施設に早急に移すよう求めます。
2.無届施設の安全確保、改善をすすめるために国、都と協力して早急に対応するよう求めます。
3.特養ホーム待機者の実態をどのように把握し、対処しようとしているのでしょうか。
4.500人の特養入所待機者を解消するため、小規模も含めた特養ホーム、グループホーム増設の整備計画を一刻も早く示すよう求めます。
5.国および東京都に対し施設整備、用地取得、運営費に対する補助の復活を求めていただきたい。いかがでしょうか。


選択制破たん、教育改革は専門家と区民の意見を聞いて真摯に検証

次に、教育改革の検証について質問します。

「学校大改革 品川の挑戦」「品川区の教育改革 何がどう変わったか」など、若月教育長らが昨年から今年にかけて、相次いで教育改革について本を出版しました。私はそのなかで、品川区教育政策研究会の「検証 教育改革」に注目しました。この本は、教育改革の客観的な検証が目的で、区教委も参加した自主組織をつくり、文科省の新教育システムの検証データを使って出版したとの説明です。つまり、教育改革を推進してきた側の「検証」です。私は、学校選択制と小中一貫教育に絞って検証してみたいと思います。

選択制は、若月教育長が現場の教師や父母にも相談なく、平成12年度から導入。学校現場に大きな問題が発生しました。父母や住民、町会役員さんなどから選択制が地域と子どもたちの関係を壊すと批判が集中。わが党区議団のアンケートにも「学校の大規模化は教育にとってマイナス。地域とのつながりを大切にしてほしい」などの声が多く寄せられました。こうしたなか、区教委は一昨年「定員制」を導入。学区内を優先し、学区外からの選択を制限。選択制を方針転換したのであります。

この本で選択制の評価は「プラン21」推進委員会の責任者として品川区の教育改革をすすめた大学教授と、品川区教育委員会事務局の小中一貫教育担当課長の二人が文章を書いています。

まず、教育改革の責任者だった教授は、「学校の序列化を招く、学校に競争主義を導入するもの、学校―地域の協働関係を壊す、等々の様々な事態が生じた。それはある面で未だ続いている」と選択制による弊害を認めています。ところが一方で、「公立学校の抜本的変化を生みだした、等の点は、大きな功績として拍手喝さいも聞かれる」と反省なし。大きな功績という他人の発言を引用しているものの論証はありません。そして、「学校選択制を一方的に指弾するだけで問題が解決するようには思えないし、反面で、これまでの学校選択制のメリットだけを強調することで活路が開かれるようにも思えない」として、「問題を根本的に考え直す」と結んでいます。結局、改革をゴリ押ししてきた責任者自身が、自ら作り出した混乱に手をこまねいている姿が、浮き彫りになっているのであります。

では、小中一貫教育担当課長はどうのべているか。「選択制の目的は全ての学校のレベルアップであり、その目的は達成されつつある」として、学区外を選ぶ子が3割程度で、学区内を選ぶ子が増える傾向を根拠にしています。しかし、学区内の増加とレベルアップの関連についての論証なし。選択制で格差が生じるとの批判には「何を格差というのか」と、批判は認めないという態度です。選択制の方針転換にも説明はありません。

さらに不思議なのは、この「検証」が、学校統廃合計画にまったく触れていないことです。

昨年11月、若月教育長が設置した学事制度審議会が、荏原西、荏原東地区でそれぞれ小学校、大井地区で中学校の統廃合を答申しました。教育長は選択制を「統廃合の手段にしない」「小規模校も支援する」と説明してきましたが、今この説明が問われているのです。この本でも第T章の論点整理で選択制と統廃合の問題を挙げているのに、説明がないのです。

次に、小中一貫教育ついてです。第W章が小中一貫教育の評価ですが、「小・中を一貫させるためにはなすべき検証の作業が多く、さらに一層、長期の実践活動を積み重ね、実証的な資料を収集する必要がある」として、評価を先送りしています。何のための「検証」でしょうか。

しかし、そうしたなかでも、施設一体型と分離型それぞれについて、一定の記述があります。

一体型では、運動会など行事で時間がかかりすぎ、出番が少ない、裏方の仕事が上級生に偏るなど、全学年一斉の活動で問題が顕著、調整が課題と、大規模ゆえの問題をあげています。

一方、分離型は、小中間の交流が容易でない。小学校の教師が中学校の専門的内容を教えにくい。学校の独自性を出しながら分離型一貫教育として足並みをそろえるのは矛盾、など問題点の羅列です。しかも、この本では、教育改革の責任者だった大学教授が、小中一貫校に希望が集中する事態に直面して小中一貫教育の全校実施を決めたと、経緯をのべています。慎重な議論もせずに導入し、大混乱を引き起こしたことは明らかです。

結局、この「検証…」では、選択制の成果を語れず、「定員制」導入で破たんしたことに説明なし。学校統廃合計画にも一言もなく、小中一貫教育の評価は先送り。これでは、検証と言えません。現場の教師や住民などの意見を無視し進めてきた人たちが、成果も未来も語れない教育改革とは何だったのでしょうか。

子どもたちにとって教育はやり直しできません。強引な教育改革は立ち止まって、教育の専門家と現場の教師、父母、PTA、地域住民など直接、間接に子どもたちの教育にかかわる方々による客観的な検証こそ求められているのであります。

そこで質問します。

  1. 教育改革の検証は、自分たちだけの検証でなく専門家、父母、区民意見を聞くよう求めます。旧学区毎に公聴会の開催を求めます。
  2. 選択制と学校統廃合計画について、「検証」で触れていないのはなぜか。「定員制」の導入は選択制に逆行することになるが、検証で触れていないのはなぜか、説明を求めます。
  3. 問題が明らかになった教育改革、とりわけ選択制、小中一貫教育は、抜本的見直しを求めます。あわせて、学校統廃合計画を白紙撤回し、30人学級を導入するよう求めます。


区内中小企業の営業と雇用を守るため、追加の緊急対策を

最後に、区内中小企業への支援、仕事確保についての質問です。

今年1〜3月期、中小企業の景況調査は、いずれの業種も最悪値を更新したと指摘。区内中小企業にも厳しい状況に置かれています。

この間、品川区は緊急総合経済対策を実施。わが党も中小企業支援の追加対策などを提案してきました。今回、あらためて製造業と建設業への支援、仕事確保について提案します。

私は、先日、従業員17名で遠心分離機の部品を中心に製造している会社を訪問してきました。現在、受注の減少で操業は週3日だけ、売り上げは前年比4割にまで落ち込みました。受注に懸命ですが、「メンテナンスの仕事も少なくなった」というのが現実です。

社長は、「従業員を路頭に迷わせる訳にはいかない」と、中小企業緊急雇用安定助成金を活用して従業員には8割の給与保障をしています。受注を増やす根本的解決は、国が経済運営を転換し景気回復をはかることがカギであることは当然です。しかし、現状のなか、歯を食いしばって生き残り、雇用確保に奮闘している中小企業への支援をさらに充実させることが必要です。

緊急雇用安定助成金制度は、支給限度日数が3年で300日、一日の限度額は7700円のため、会社としても多額の持ち出しを余儀なくされています。社長は、「区が助成金を上乗せしてくれると助かる」とのべていました。あわせて、膨大な書類が要求される申請書類の簡略化も求めています。

もうひとつは、区内建設業者の仕事確保です。

「月に数日しか仕事がない」「賃金や単価が一方的に切り下げられた」という声が増え、生活に困窮して自殺に追い込まれる話も聞いています。いま、建設業者の仕事確保に本気で取り組むことが、行政に求められています

ところが、公共事業は、国も都も3環状道路など巨大開発が中心。道路では地元に仕事がこないのは明らか。区民要望の強い特養ホームや認可保育園、区営住宅の増設を早急に計画化すること。あわせて、民需拡大対策として住宅耐震化の促進。2015年までに耐震化率90%を本気でやりきる取り組みを求めるものです。

さて、内閣府は9日、消費税率を5%から12%に増税することで財政「健全化」目標を達成するとした試算を経済財政諮問会議に提出しました。15兆円の経済対策で大型公共事業と定額給付金などでバラマキ。そのツケを消費税増税で国民にまわすやり方に区民、中小業者は怒っています。

いま、イギリスをはじめEUが消費税を減税するなど、世界各国に庶民減税が広がっています。品川の「中小企業景況」でも「消費税等の税制改革」を望む事業者は22.3%にのぼります。ある商店主は年間売り上げが1千万を超えるものの粗利はわずか、国保料さえ支払えない。それでも消費税は払わなければならないといいます。区長には、こうした中小業者の願いを受け止めていただきたいと思います。

そこで、質問します。

  1. 中小企業緊急雇用安定助成金への上乗せ支援など経営と雇用を守る助成制度の創設、手続きの簡素化が必要と考えます。
  2. 高齢者施設、保育園など生活密着型公共事業を思い切って拡大すること。そのために国・都に対し、土地購入費や建設費、運営費の補助増額を求めていただきたい。
  3. 区内建設業者の仕事確保へ、耐震診断の無料化、耐震工事の補助率引き上げ。筋交いなど簡易な耐震化工事も支援の対象にするよう求めます。
  4. 食料品の消費税非課税、事業所・商店の消費税免税点の引き上げを国に求めるべきと考えます。いかがでしょうか。

以上で、一般質問を終わります。


答弁

濱野健区長

私からは、区内中小企業の営業、あるいは雇用対策等についてご質問にお答えをいたします。

まず、中小企業緊急雇用安定助成金についてのお尋ねですが、この助成金は、国が昨年12月から緊急経済対策として行っているもので、大変多くの中小企業が申請していると聞いております。区でこの助成金に対し上乗せ支援をとのことでありますが、国は平成21年度第1次補正予算の成立を受けまして、この6月から助成金の支給対象を広げるとともに、助成金額の引き上げ、支給限度日数の増加、さらには申請手続の簡素化についても対応しております。

また、区では、国からの助成金が支給されるまでの資金繰りとしても利用できる3年間無利子の融資あっせんを、ことしの1月から来年の3月まで継続実施しているところでございます。既に多くの中小企業の皆様にご利用をいただいております。したがいまして、区として、国の助成金にさらに上乗せを行うことは考えておりません。

次に、高齢者施設、保育園などの施設の整備につきましては、本年4月からスタートしております新しい長期基本計画に基づき、計画の着実な実現に努めてまいります。また、これらの施設整備等に対する国や都の補助につきましては、平成22年度の予算要望におきましても、国と都に対しまして、高齢者施設の整備や施設を含めた多様な保育環境の整備に対する支援について、区長会として働きかけを行っていく予定でございます。

次に、耐震化支援事業についてのお尋ねですが、この事業の目的は、言うまでもなく住宅など、建築物の耐震性を確保し、災害に強いまちづくりを推進するものであります。その目的のために、これまでも建築関係団体や区内建設業者と連携して取り組んできておりまして、今後もこうしたネットワークを最大限に生かして耐震化を促進してまいりたいと考えております。

一方で、耐震化は、建築物の所有者がまず主体的に取り組む意識を持つことが不可欠でございまして、これに行政の支援と関係団体との連携が加わる自助・共助・公助による取り組みを基本とすることは、品川区耐震改修促進計画にも定めているところでございます。したがいまして、耐震診断を安価で安心して受けられるよう図っている現行制度を無料化する考えはございません。

また、耐震改修や建てかえ工事の支援事業ですが、平成18年度事業開始後、19年度、20年度と、ほぼ倍々で実施件数が伸びております。いずれにいたしましても、発足後間もない事業でありまして、実施状況などのデータの蓄積もまだ多くないため、制度の見直しを実施する状況にはないと考えております。

次に消費税につきましては、我が国全体の税制のあり方に関する課題でありますから、国の責任においてさまざまな角度から検討がなされ、国政の場で論議されるべきものでありまして、自治体の首長として賛否を申し上げる考えはございません。

その他の質問につきましては、各事業部長等よりお答えを申し上げます。

若月秀夫教育長

教育に関するご質問にお答えをいたします。

初めに、教育改革の検証に関するご質問ですけど、「検証 教育改革」という出版物は、ごらんになればおわかりのとおり、専門家が主体となり、客観的・学術的な立場から取り組んだ共同研究の成果物であります。議員ご指摘のように、自分たちだけの検証というご指摘ですが、一体どこが自分たちだけの検証でしょうか。多くの研究者の名前が後ろにしっかりと連ねられているということを改めてごらんいただきたいと思います。この本には、これまでの取り組みの課題を含めて、品川区の学校教育を充実させるための実証に基づいた示唆が随所に見られ、尊重すべき内容が多いと考えております。

専門家、父母、区民意見を聞いて検証をというご指摘ですけれども、これまでも、専門家からのアドバイスや共同研究については積極的にお力をかりておりますし、また保護者、教員、児童・生徒、区民に対するアンケート調査や学校生活の観察研究など多角的な検証を続けてまいりました。今後ともこうした検証を継続し、教育の質を高めることをめざしてまいりたいと考えております。また、教科指導の実践などにつきましても、各学校での研究・検証はもとより、教員の代表が集まるカリキュラム部会などで、現場の声に基づく検証を継続的に行っているところでもございます。

次に、学校統廃合計画や選択制に関するご質問でありますが、本区教育改革の研究を目的とした「検証 教育改革」という本が、施策そのものではない学事制度審議会の答申を検証対象としていないことは当然のことと思います。なお、学事制度審議会の答申を指して学校統廃合計画ととらえていらっしゃるならば、この際、認識を改めていただきたいと思います。

学校選択制につきましては、通学区域は現存しており、通学区域内の子どもを優先するという原則に変更はございません。また、学校には、施設上の制約があることから、すべての学校について受け入れることができる学級数はおのずと限られております。定員制云々というご指摘でございますけれども、抽せんの可能性がある学校については、従来から受け入れ枠というものを公表してきてございますし、公表するそうした学校が増えたにすぎないものでございます。

最後に、30人学級についてのご質問ですが、教育の質を向上させるためには、さまざまな方策が必要でありまして、30入学級を導入すれば実現できるという単純なものではありません。従来からお答えしているように、学級編成の基準であるいわゆる標準法に基づく考え方に変更はございません。

中村清純品川区保健所長

私からは、新型インフルエンザ対策についての2点についてお答えいたします。

まず、新型インフルエンザ対策についての区の基本的な考え方、対応についてでございますが、品川区は、いち早く行動計画や事業継続計画を策定し、万全の備えをとってまいりました。今回の事態にも、区民への感染拡大防止策の徹底、および区役所の社会機能の維持を基本にこの間対策を進めてまいりました。特に感染リスクの高い小中学校・幼稚園・保育園においては、教職員、児童、園児、保護者に対してうがいや手洗い等の感染予防策を徹底させ、健康状態にも十分に注意を払い、あらかじめ緊急時の連絡体制を周知するなどの対応をとっております。また、保育園を休園する場合には、新型インフルエンザ対策や人命にかかわる業務等に従事している方々のお子さんについて、緊急に受け入れられる必要性が高くなるとの考えから、国や都からの要請を踏まえて適切に対応してまいります。

また、新型インフルエンザにより、経済的に打撃を受けた区内中小事業者に対しては、融資制度を活用し、相談・支援を行ってまいります。

次に、指定医療機関の体制強化についてでございますが、指定医療機関は、医療対策の中心的役割を担うことから、東京都に対して引き続き体制の強化を求めてまいります。

木下徹健康福祉事業部長

私からは、静養ホームたまゆらの火災に関連したご質問にお答えいたします。

まず、都外の共同住宅に関するご質問ですが、今回の事故を受け、生活福祉課では直ちに、品川区の生活保護受給者が入居する都外の高齢者向けの住宅に対し、管轄する自治体への届け出状況、消防設備や避難通報体制などについて調査を行いました。調査の結果、該当する10か所の都外施設のうち、4か所が有料老人ホームに、2か所が高齢者専用賃貸住宅となっておりました。残りの4か所の施設についても、有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅の届け出を行うと聞いております。消防設備や避難通報体制の状況は、消火器や非常用放送設備などを設置するほか、避難訓練を実施するなど対応をしているとのことでございました。

また、従前からも、施設を訪問し処遇状況を確認しておりますので、ご質問の中にありました放置ということは当たらないところです。なお、移転のご希望についても、現在お聞きしておりません。

次に、無届け施設の安全確保と改善に向けた国や東京都との連携についてですが、既に区長会として未届け施設に対する届け出の徹底と、安全確保ならびに低所得の要介護高齢者等の受け皿づくりに関する緊急要望を国と東京都に先般提出いたしました。

今後も安全・安心の確保に向け、生活福祉課では、施設訪問などの機会を活用し、入居者や施設の状況を確認するとともに、都道府県の行う指導結果にも着目し、適宜対応してまいる所存でございます。

次に、特養ホーム申込者の実態把握と対処についてのご質問ですが、心身レベルや家族環境および本人の意向などの点から、特養入所につなげることが望ましいケースをケアマネジャーや区のケースワーカーが把握しており、区内施設を希望される場合には、入所調整会議を経て優先度の高いから入所につなげ、区外でも差し支えない場合には、ケースワーカーの情報提供などをもとに家族、あるいはワーカーが入所につなげているところです。

次に、特別養護老人ホームやグループホームの増設に関するご質問ですが、特養ホームにつきましては、適地の確保や補助制度の動向などを踏まえ、今後の課題といたします。なお、ご指摘の小規模特養は運営的に厳しいものがございます。また、グループホームにつきましては、介護保険事業計画にも示しておりますが、将来的には原則、各日常生活圏域ごとに1所を目標に整備してまいります。

最後に、特養の施設整備、用地取得、運営費に対する補助の復活の点ですが、施設整備および運営費に関しましては、現在も都の一定の補助制度がございます。用地取得の補助制度につきましては、既に配置されたという経過からは、その復活は厳しいところですが、都市部においては配慮されるべき課題であると考えております。今後も機会をとらえて、国や都に要請してまいります。


再質問

みやざき克俊議員

それぞれ答弁いただきましたけども、自席から何点か要望・再質問させていただきます。

まず、インフルエンザなんですけども、今の時点は小康状態と。今の時点で何を準備していくかということが大事だというふうに思います。とりわけ、私は、神戸とか大阪での教訓を見ると、例えば、学校だけじゃなくて保育所も閉鎖して、親御さんは非常に困ったとか、商店街が経済的に打撃を受けたということがありますので、そういうところは今のうちからどういうふうにやっていくのかということを、しっかりした対応を、考え方も含めてやっていただきたいなというふうに思います。これは要望しておきたいと思います。

あと、中小企業のところですけれども、私はとりわけ今の中で、区内の公共事業をまず、大型公共事業の形じゃなくて、生活密着型に切りかえると。区内の仕事をどうつくるかということが大事だという角度で質問しました。先ほど、福祉施設等は長期計画に基づいてということでありますけれども、私はこの計画は早急に立てていただきたいと。とりわけ、今まで指摘してまいりましたけども、特養老人ホームとか、せっかくの長期計画には10年間の計画にも具体的に幾つつくるのか。そういう数が書いてありません。やっぱりこれは早急に具体化してほしいということを要望したいんですけれども、それは実際にどういうふうに具体化していくのか何いたいと思います。

もう1つ、民需拡大のところでは、耐震化のところを取り上げたんですけれども、90%というふうに掲げているけども、行政の意気込みが非常に弱いというふうに思います。きょうも区長は、本人の責任だということをかなり強調して言いましたけれども、区内の建設事業者の仕事確保という角度から取り組んでいくと。これは本人の問題だということをずっと言っていたら、私はこれは進まないと思います。ですから、そういう角度で公共事業に取り組んでいただきたい。とりわけ耐震化については、頭を切りかえていただきたいと思います。これについても考え方を伺いたいと思います。

もう1つ、次ですけれども、たまゆらのほうですけれども、今、無届け施設に入所している方、どうするんだということを言いましたけども、移す気はないという答弁だったと思います。先ほど紹介した明らかに万が一のとき、外にも出られないと。火災があったときに、これは避難するのが大変だというのが素人目でもわかります。そうすると、こういう施設にどういう状態の方を送っていたのかと。区が知らないのかということですよ。要介護にある方ですよ。火事があったときに、自分の力で歩いて、あるいは2階とか飛びおりて避難できないと。そういうことを知っていながら移す気がないというのは、人の命を預かる行政のやる仕事かと。こういう姿勢だから特養老人ホームをずっとつくらないで平気だったんじゃないかと思います。もう一回これは姿勢を変えてほしいというふうに思います。

あと、特養老人ホーム小規模は運営的に難しいんだというふうなお話をしました。確かにそういうところはあるかと思います。でも、この品川区内で、じやあ、大規模な土地を待っていたらいつになるんでしょうか。そういう余裕がないから、国もいろいろ対策をやってきているんじゃないか。ですから、私は、そういう大規模だけじゃなくても、小規模でもちゃんとやっていけるような、そういう補助を支援をしてほしいと。そういうことも含めて、早急な対策が必要だというふうに思います。ここのところをあわせて質問させていただきます。

最後の教育改革のところですけれども、教育長は、この「検証 教育改革」は研究者、学者がやっているんだというふうにおっしやいました。この「検証 教育改革」はちゃんと、要するに教育改革のシステムがどういうふうに進んでいるのか、区の教育委員会もちゃんと入ってその検証作業を進めてきているということなんですね。それで、この本の一番最初に、この本はどういう目的で出したのか、それが書いてあります。「本書は、検証作業の一部を整理し刊行することで、品川区の教育改革の実態を社会に発信し、その成果と課題を問うものである」と。社会に問うんですよ。社会に問うているんです。

ですから、私は今の、それは学者、研究者のやっていることだという理屈は通用しない。区教委自身が進めてきた教育改革そのものを今社会に問うているわけです。その本に、品川区教育委員会も協力してやってきたんだというのがはっきりしているわけです。教育長のその説明は全く説明にならないと。逃げだというふうに思います。ここのところをまず1点言っておきたい。

あともう1つ、私は公聴会の開催を求めました。これについての説明がありません。自分たちがやっているからということでは、私はもうできないと思いますね。なぜ公聴会の答弁がないのか。そのことも説明をいただきたいと思います。

学校統廃合計画に触れていない。これは今までの検証だから、これからの問題には触れていないと言いました。でも、教育長、この本の中で、まず第1章が論点整理です。この中では、選択制の結果を統廃合に利用するのではないかという疑問があったと。それを、その次の章以降で検証していくということを言っています。それなのに、論点整理しているのにこれが書かれていない。教育委員会もかかわってつくった検証なのになぜ書いていないのか。なぜ逃げているのか。ここのところはしっかり区民にわかるように説明していただきたいと思います。

あと、最後ですが、30人学級。これをやればすべてが解決する、そんなことはない。そんなのは当然だと思います。教育を進める大前提だと言っています。ここのところを改めて求めたいと思います。


再答弁

濱野健区長

追加の緊急対策をというお話でございます。品川区では、1月に臨時議会を開いていただきまして、緊急経済対策の予算を立てたところでございます。続いて、3月の第1回定例会では、21年度の本予算の中に緊急経済対策を盛り込んだものでございます。そして、さらに、今定例会におきまして、さらなる緊急経済対策の予算をご提案申し上げているところでございます。まずは、この補正予算について十分にご議論いただきまして、そして成立の暁には、これらの予算を効果的に実施をしていく、このことが先決だというふうに考えているものでございます。以上です。

若月秀夫教育長

再質問にお答えいたします。

まず、その「検証 教育改革」のことで社会に問うているということでありますけれども、品川区は現実に今結果をもって社会に問うているわけです。今、一貫教育も学校選択による学校の変化もどうなんですかと。保護者の受けとめ方というのは、選択制についても一貫教育についても、今応援をいただいているところであります。それが私たちが社会に問うていることであって、結果に対して私たちは責任を持っているわけです。この本で問うていると。これは学者の人たちが客観的にデータを集めて社会に問うたんでしょう。それについて私はとやかく言う立場ではないということです。

それから、公聴会を開いてほしいということでございますけれども、先ほども答弁の中でお答えをしました。いろいろな機会でいろいろな場面において、さまざまな保護者の方、地域の方、先生方の声を聞いております。大変多くの方々からもご意見をいただいております。したがいまして、今ここで改めて公聴会を開くといったような必要性は考えておりません。

それから、ちょっとご質問の意味がよくわからなかったんですけれども、学事制度審議会では、あるいは区は――その前に区、あるいは教育委員会は、今まで統廃合計画なるものをまとめたことなんて一度もありません。ここはまずしっかりと認識をしておいていただきたい。そして、その上で、この学事制度審議会で、もしこれから先さまざまな人口動態の変化があって、統合の検討の必要が出てきたらば、こういうところに注意してやる必要もあるだろうということで、統合というものを結論づけているということでもありませんので、もう一度、そこら辺はよく整理をしてお考えいただければと、こんなふうに思っているところでございます。

木下撤健康福祉事業部長

「たまゆら」に関連しての再質問にお答えいたします。

既に都外の施設に入っている方々については、先ほど答弁の中で申し上げましたけれども、今後も定期訪問の中でご本人のご意向、あるいは施設の安全性、あるいは施設側の考え方などについては確認をしていきたいというふうに思っております。

この間題と特養を関連づけてのお話がございましたけれども、この間題はやはり国レベル、あるいは少なくとも都道府県段階で考える必要がある大きなテーマだというふうに思っております。例えば、生活保護の方で、措置する段階で既に特養の身体レベルにある方については、さっきお話ししたように、入所調整などを経て特養につないでいるわけでありますし、自立した方については、区内のアパート等に入ることができるわけでありますが、身体レベルがある程度しっかりした方々でも、やはり一定の見守りが必要な方というのは現実におられるわけでありまして、こういう方も含めた対応ということを、無届け有料老人ホームというような枠組みで考えるのではなく、新たな枠組みも含めまして、やはり国、あるいは東京都段階で考えていく必要がある課題だというふうに思っております。この間題については、厚生部長会でもいろいろ論議をしておりますけれども、具体的なこういう方法ということが現在ありませんけれども、いろいろな角度から、国も含めて検討していく問題だというふうに思っているところでございます。


再々質問

みやざき克俊議員

自席から再々質問をさせていただきます。

まず、中小企業対策、仕事確保の点なんですけども、今までの対策いろいろ打っているから、とりあえずこれでやろうと、そういうふうな話なのかと思います。やっぱり今、中小企業、例えば建設業の人も本当に仕事がなくて、こういう事態なんだと。そこで、とりわけ建設業については、区自ら仕事を出せる、いろいろやれるじゃないかと。景気回復は、これは国のほうの対策を待たなきやいけない。しかし、私は、区自ら出せる、ここのところを言っているんです。私はそういうことの自らいろいろ考えてできる対策をぜひやってほしいと。ここのところの点を聞いておきたいと思います。

あともう1つ、今の特養老人ホームのところですけれども、具体的にどういうふうな数字がまだないんだというふうなお話なんですけども、先ほどの区長の答弁ともかかわりますけども、長期計画では全然具体的な数字が出てこない。10年間の計画でですね。じゃあ、これから実施計画をつくるんだと。実施計画のところでは具体的にどのくらいつくろうとしているのか。その考え方をぜひ聞かせていただきたいと思います。

それと、教育改革のところですけれども、1つ伺いたいと思うんですが、公聴会を開くまでもなくて、今までいろんなところで聞いているんだというふうにおっしやつていました。ぜひ公聴会をやってほしいという声が住民の中にある。要望があるんですよ。自分たちは必要ないかもしれないけども、この要望をどう受けるかということを聞きたいと思います。

あと、成果をもって社会に問うているんだと。この意味がちょっと私はわからないんです。結局、選択制でやっているじゃないかというふうに聞こえてしようがないんですね。選択制そのものが今問われている。教育改革そのものをしっかり議論するということを、自分たちの都合のいい人たちを集めていろいろ意見を聞くのではなくて、耳の痛いことでもしっかり聞くと。私は旧学区ごとに公聴会を求めましたけども、そういう声があるということも含めて、改めて公聴会に対しての見解を求めます。


再々答弁

濱野健区長

先ほどのご答弁で3回にわたり予算を計上しということをお話し申し上げましたが、3月の補正予算でも計上しておりますので、都合4回目の緊急予算の計上をしているところでございます。こうした予算の中で、今、議員がお話になりましたように、区内業者への発注の前倒し、いわゆる計申の前倒し等を含めまして、十分に取り組んでいるというふうに思っております。また、今後の経過等を見ながら物事は考えていかなければならないというふうに思っておりますが、現段階では今回ご提案の補正予算について十分ご議論をいただきたい、このように考えております。

以上です。

若月秀夫教育長

再々質問の中で、成果をもって私たちは問いかけているんだということの意味がわからないと。これは一番大事なところなんですよ。ここがわからないと困るんです。私たち学校現場も教育委員会もいろいろな施策を打って、子どもたちがそういうふうに育っているかそれをありのままに見てください。それが成果なんです。それは問いかけであって、本を出すことが成果じゃないんです。そこをまずご理解ください。それがわからないと言われちゃうと、私は大変困る。

それから2つ目、公聴会をということですけども、学校選択制、これは宮崎議員はやめろとおっしやいますけれども、学校選択ということ自体、一番保護者の意向を聞く1つの機会なんです。それをやめろということは、逆に保護者の意向は聞くなというふうな意味にもとれないことはないですね。どうもおっしやつていることの一貫性がない。私たちはそういう実践の中から保護者や地域の方の声は十分聞いている。だから、やる必要はないと、こう言っているところです。

木下徹健康福祉事業部長

特養ホームの再々質問にお答えいたします。

行政計画にのっけるべきだというお話でございますけれども、特養ホームぐらいになりますと土地の大きさもかなりございますので、そういう点では、具体的な候補地がない段階で行政計画にのせるのは無責任だと私は思っておりまして、今後、土地の状況、補助制度の動向なども見守りながら対応していきたいというふうに思っております。

本多健信議長

以上で、宮崎克俊君の質問を終わります。

以上

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