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安藤たい作区議 平成22年陳情第12号「『目黒駅前再開発事業』の環境と都市計画に関する陳情」に対する賛成討論

 2010.7.7 安藤 たい作 区議

区民の皆さんから提出された、「『目黒駅前再開発事業』の環境と都市計画に関する陳情」に賛成、委員長報告に反対の立場で日本共産党区議団は討論を行いました。

賛成討論全文

日本共産党を代表して、平成22年陳情第12号「『目黒駅前再開発事業』の環境と都市計画に関する陳情」に賛成、委員長報告に反対の立場で討論を行います。

本陳情は「目黒駅前地区第一種市街地再開発事業」の高層ビルによる風害を心配した周辺住民が、風害の未然防止に向けて区長が事業者を指導するよう、また指導内容を反映した都市計画が決定されるよう、区議会にもはたらきかけるよう求めたものです。

この開発は、JR目黒駅の東側、都バス跡地含む2.3ヘクタールの区域に、145M級のオフィスビル、マンションなど3棟の超高層ビルを建設する計画です。

東京都の環境アセスの対象であり、区長は、事業者が提出した環境影響評価に対しての都知事への意見照会で、風環境について「計画地に隣接した駅・バスターミナル等への影響が懸念されるため、建築物の配置・形状等について、影響が少なくなるよう考慮されたい。」との意見を述べていました。

住環境を守りたいとの地域住民の不安や願いは当然のことであるにも関わらず、本陳情は否決されました。私は、建設委員会の審査の中で出された、区側の意見で見過ごせない問題を大きく2点指摘し、意見を述べます。

1点目は、この開発による風環境は許容範囲内、風害はないとする区の認識です。

区は、「模型を作り風洞実験をし、それを村上方式で評価して、基準値の中にほぼおさまっている。一部現況のレベルよりも上がりランク2になるところもあるが、植栽とか、住環境に支障がない範囲の中でおさめるという詳細設計も今後なされる。適正な建築施設計画だと認識している」「ターミナルのバス停や駅周辺のところはオフィス街で、本来ならばランク3の強い風まで認められる、それを2まで抑えている」と述べています。今回の建築物によっての風環境の変化は、受忍限度の範囲内だ、という認識です。しかし、これは住民の感覚とも、実態ともずれている認識ではないでしょうか。

「ランク2だから風害はない」とされた武蔵小山地域の19階建てマンション周辺。突風で自転車ごと倒されたり、歩くのも困難な時・自転車に乗れない時も。あまりの風で閉めたシャッターの下から風雨が吹き込み、店の中がずぶ濡れになった事例もあります。同様に、問題なしとされた大崎駅西口周辺再開発の隣接地域でも、複数の店の看板が飛んだ、植木鉢代わりにしていた火鉢が倒れた、などの事例が報告されています。

村上方式でいう「ランク2」とは、風速10メートルの風が年間80日、風速15メートルの風が年間13日発生する風環境を指しています。風速10メートルの風とは、干し物が飛び傘が壊れ、建設現場では組立て作業等の中止を労働安全衛生法で義務付けられているような風です。風速15メートルの風とは、歩行困難になる風です。目黒駅周辺住民からは「一年のうち二ヶ月半以上が風速10メートル以上の風が吹くことになる。さんま祭りにぶつからないか。テントは大丈夫か」との心配の声が挙がっています。

このように、受忍限度の範囲内の風とはとても言えず、住民の不安は当然です。なおかつ、ランク3までは許される、という区の姿勢は論外だと言わなくてはなりません。

2点目は、環境影響調査案に対する区長意見の問題です。

都市環境事業部長は、区長意見の「計画地に隣接した駅・バスターミナル等への影響が懸念されるため」という文言を、「これは一般論」といいました。さらに、「区の意見がこのように幅広く理解をされてしまうというのは、非常に危険だと思いますので、今後誤解を与えないような表現に改めると同時に、懸念なんていう言葉は二度と使わない」とまで述べました。

これは、区は、今後、どんな再開発計画による風環境の変化にも異議を唱えない、と宣言したのに等しいものです。超高層ビル建設に対して、住環境保全の観点からブレーキをかけるべき行政が、「一般論」を述べお墨付きを与えるだけで、開発を推進する立場に立とうという態度であり、到底許されるものではありません。

区長は、この区長意見に基づいて事業者を指導してほしい、と訴える地域住民の皆さんの前で、なお「一般論だ」「誤解だ」と言えるのでしょうか。この陳情を否決した自民・公明などの委員も同様の批判をまぬがれない、と言わなくてはなりません。

高層ビルによる風害への声は、大崎や東五反田、武蔵小山など区内あちこちで挙がっています。ビルが建ってしまった後に「やっぱり大変だった」ではすまされない問題です。品川区は、再開発を何が何でも推進することはやめ、住民の不安に真摯に耳を傾け、住環境を悪化させる開発計画の中止や見直しを含めた抜本的な対策を講じるべきです。

しかも今、再開発マンションが売れない、破たんに直面しています。ヒートアイランドによるゲリラ豪雨も心配されています。莫大な税金を投入して、環境を壊す再開発は許されません。

以上で賛成討論を終わります。

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