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第86号議案 「大崎駅西口南地区関連歩行者デッキ整備工事委託契約」に対する反対討論

日本共産党品川区議団を代表して、第86号議案「大崎駅西口南地区関連歩行者デッキ整備工事委託契約」に反対する討論を行います。

本契約は、大崎駅西口周辺の再開発地域において、現在整備中の大崎駅西口C地区、いわゆるソニー地区の歩行者専用デッキを、さらに大崎駅西口南地区へと56メートル延長する整備工事を委託するもの。契約金額は5億223万6,000円。国が補助金の対象として認める標準的な仕様での工事費用は2億6880万円。うち、2分の1の1億3,440万円が国から補助金として支出されます。

反対の理由を以下、2点述べます。

1点目は、税金投入の是非です。大崎駅周辺の開発地域全体の付加価値を上げるため、ひさしをつける、仕上げの素材にいいものを使う、などの歩行者デッキのグレードアップ仕様のために、標準仕様に上乗せして負担した工事費は3億7,000万円にのぼります。国の認める標準仕様の工事費をはるかに上回る負担ができる開発業者に、なぜ私たちの血税、補助金を投入する必要があるのか。やめるべきです。

2点目は、歩行者デッキが伸ばされる先の本体計画、大崎駅西口南地区開発そのものの問題点です。

この開発は、総事業費270億円、マンション280戸やオフィスビルを建設する計画ですが、いまだ権利変換も完了せず、着工にも入っていません。しかし、そこをつなぐ歩行者デッキの工事契約だけが先行するとは納得いきません。

そもそもこの南地区開発では、地価の下落等で権利変換が頓挫。地元説明会では、隣の中地区でのマンション販売不振の事態を受け「幽霊屋敷になるのでは」との声も住民から上がるなど、作ったマンションが売れるかどうかの見通しもありません。権利変換と保留床の売却、再開発の心臓部とも言える中心部分で破たんに直面し、着工が大幅に遅れる事態になっているのです。

区はこの事態を、当初の補助金額27億円を35億円へ、8億円も増額することで乗り切る考えを示しました。その手法は、補助金の対象となる「補償費」を見積もる際、これまで計上していなかった建物の中の工作物、機械等まで調査して補助金の対象として追加する、などです。補助金を増額するためには、なんでもありの実態も明らかになっています。

仮に、こうして補助金の引き上げで無理やり建物を建てたとしても、周辺地域と同様、高級開発マンションが売れる保障はあるのでしょうか。区民の暮らしがこれだけ厳しい中、莫大な税金投入で人が住まない高層マンション、テナントが入らないオフィスビルをつくることは必要ありません。一方で濱野区長が、認可保育園の増設を「将来の財政負担になる」などと、税金の無駄遣いだといわんばかりの態度をとっていることと対比しても、理不尽極まりない政治だと言わなくてはなりません。

破たんしている開発計画を進めるためにつなぐ今回の歩行者デッキ工事委託は認められない。大型開発は見直し、福祉・暮らし最優先の区政へこそ転換を求め、反対討論といたします。

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