2010.11.16 いいぬま雅子区議
第3回定例区議会、最終本会議(11月16日)にて、新日本婦人の会から提出された請願に対し、いいぬま雅子区議が、賛成討論を行いました。先の文教委員会では、共産党のみの賛成、賛成少数のため不採択となりました。本会議場で改めて採択を主張し訴えました。
日本共産党品川区議団を代表して、平成22年請願第17号「来年4月に開設する2園にとどまらず待機児解消を目指しさらに認可保育園の増設を求める請願」に賛成、委員長報告に反対の立場で討論を行います。
本請願は、保育園への入園希望が急増している中、希望者全員が入れるように認可保育園の大幅増設などを求めています。品川区は様々な対策で待機児を減らすとのべていますが、多くの子どもたちが認可保育園に入れない、深刻な保育園不足は改善されていません。認可保育園増設の願いは当然です。この思いを区議会が受け止め、請願を採択するよう呼びかけるものです。
私は、この間の文教委員会、決算特別委員会で明らかになった2つの問題点について述べたいと思います。
1点目は、認可保育園を増設せず、詰め込みで対応しようという区の施策が破たんしている点です。
はじめに、認可保育園を希望し、入れなかった未入園児をあらためて確認しておきたいと思います。共産党がこれまで示してきた494人は不承諾通知が届いた速報値です。ここから転居などで資格を失った7名を除いた487人が、4月1日現在の未入園児の人数です。
4月入園できなかった487人のうち、区の答弁では、フルタイム共働きでも入れなかった人は47人。うち育児休暇明けでも入れない34人。就職活動をしていた人は内定者も含め138人が入れていない事が明らかになりました。また大崎・五反田激戦区では、入所基準がフルタイム共働き満点の父母合計20点でも入れませんでした。保育に欠け、保育園入所の資格がある人が排除される「狭き門」の異常な事態が浮き彫りになりました。
区は、保育需要は将来ピークがくるので、認可保育園を増設するのは財政上問題だと、新たな認可保育園増設は拒否し、既存施設への詰め込みと、認証保育所などの民間誘致、民間頼みで解決しようとしてきました。区は今年390人の受け入れ枠を増やしたとのべましたが、保育園に入れない事態がさらに深刻化しています。
児童福祉法第24条には、保育に欠ける場合、保護者から申し込みがあった時、児童を保育しなければならないと自治体の保育実施責任が明記されています。保育に欠ける子が増え、父母が子育て困難な中、安心して預けることができる認可保育園を求めているのです。多くの子どもが申し込みながら入れない事態を常態化させていることは、児童福祉法24条違反といわざるを得ません。
品川区は、民間の認証保育所を誘致する考えですが、東五反田再開発ビルにできた認証保育所は30人定員に11月現在待機児が100名。他の認証保育所も30人から40人もの待機児がいます。民間頼みでは解決しません。
さらに、詰め込み保育も問題です。5歳児だけ学校で保育し、定数増を行った西品川と中延保育園は2園で50名も増員されました。保育室の面積が増えないのに、1園で25人も増えた保育園に5歳児の居場所がありません。子どもの成長発達の権利が侵害されています。
2点目は、待機児童数を矮小化し、少なく見せている問題です。
待機児童の実態を隠し、66人と矮小化している問題が決算委員会で明らかになりました。私はこれを「品川方式」と呼びますが、これが、待機児解消を遅らせているのではないでしょうか。
区は、この間、待機児童は66人と発表しています。4月1日現在487人の中から、転園希望者、区外申し込み者、認証保育所に預けられた人などを差し引いた数が66人だとのべてきました。487人がなぜ66人に減少するのか。それは、厚生労働省が待機児の基準日を4月1日としていることによりますが、その運用で品川区の問題が明らかになりました。
他区では、保育園の入園申請を6か月から1年間は有効とし、4月入園できなかった子どもは、そのまま待機児としてカウントしているのに、品川区は3月末で申請を「ご破算」にします。4月1日に申請した248人だけを待機児の基礎数とし、そこから認証保育園に入っている人数などを差し引く。これが品川区で487人が入れなかったのに、待機児が66人に減ってしまう「からくり」です。保育園に入れず、対策に追われて4月1日再申請できなかったり、子どもが熱を出して役所に来れず再申請できなかった人、4月2日以降に再申請した人は全て、待機児としてカウントされないのです。待機児は、もっと多い。母親は仕事か子育てかの選択を迫られているのです。
なぜ、3月末で申請をご破算にする必要があるのか、なぜ、4月1日だけの申請しか待機児にカウントしないのか、品川のやり方は、あまりに思いやりのないやり方、実態を隠すやり方ではないでしょうか。
いずれ保育需要は減るとか、保育園は財政負担になるとか言っている場合ではありません。世田谷区は、認可保育園の大幅増設に踏み出しました。品川区は十分な財源があります。認可保育園の大幅増設に踏み出すよう強く求め、本請願に対する賛成討論を終わります。