南 恵子 区議
日本共産党区議団を代表して、第55号議案「品川区立品川荘条例を廃止する条例」に反対する立場から討論します。
本条例は、 (株)東京ケータリングに運営委託してきた区民保養所・品川荘を契約期間満了になる今年度末を以って管理運営委託から民間貸付方式に変更することを理由に、品川区立品川荘条例を廃止するものです。民間貸付方式に変更しても区民利用は6ヶ月前から予約できるといいますが、保養所条例をなくすこと自体が区民サービスを否定した姿勢です。
伊豆の伊東市にある品川荘は区民保養所として昭和34年以来区民に親しまれてきました。区は条例をつくり、その設置目的を「区民の健康増進および保養のための施設」として区民に利用を図り、親しまれ利用されてきました。保養所は区民にとって必要です。保養所に行き普段とは違う時間をすごすことで生活に潤いが生まれるだけでなくリフレッシュされて、前向きに暮らそうという気持ちを引き出し、豊かな生活をして行く力になるからです。以下、反対の理由を3点述べます。
第一に、区民の健康増進および保養のための施設という目的で保養所を設置し、区民が利用できるよう提供してきましたが、条例を廃止して民間貸付にすることは、区は区民利用ができるようにするといいますが、区の責任をなくすことであり保養所の目的を否定することになります。
第二は、条例を廃止し民間貸付方式にすると、議会の関与はほとんど及ばなくなりますので、議会がチェックする機会が失われます。
第三は、利用率の低下を理由にしていますが、管理運営委託にしてなぜ利用率が下がったのか、その原因を明らかにしないまま民間貸付方式にするというのはあまりにも拙速です。平成8年当時、品川荘を改装して、施設の運営を直営から管理運営委託に変更しました。当時、変更した理由を「ホテル業は直営より、ノウハウのある民間がふさわしい」と主張しましたが、民間委託しても利用率は低下してしまいました。利用者にアンケートをとるなど、サービスについての見直しをおこなうなど利用率引き上げの努力こそするべきです。
区は、区民保養所のあり方を検討してきたと説明しますが、検討は費用対効果の視点で、区民が安心して利用できる施設や喜んでもらえるサービスのあり方などの視点があったとは思えません。保養所条例を廃止してしまえば、区民の健康や豊かな生活を支援する区の責任はなくなるだけでなく、更なる財政効率がどんどん優先されて「民間貸付方式」も費用対効果がみられなくなればなくすことになるでしょう。また、「民間貸付方式」に移行させるとすべての問題が解決するかのようにいいますが、それは間違いです。湯河原、熱海、伊豆長岡などの民間借り上げ施設も含めると6ヶ所の保養所が2ヶ所に削減されてしまいます。区民が6ヶ所の中から選べたのに、選択肢が激減してしまいます。区は保養所事業からことごとく撤退するのではないかと心配です。
小泉構造改革以来、規制緩和で大企業には利益を誘導する一方、社会保障は次々に後退、地方自治体も財政効率優先を強いて住民の暮らしを守る立場を投げ捨てたために区民生活は厳しくなるばかりです。行政サービスは収益が上がることを第一にするのではなく区民サービスこそ優先させるべきです。不況の時だからこそ、区民は安心して安価に利用できる保養所を強く願っています。財政効率だけの視点で条例をなくすことは止めるべきです。
よって、第55号議案は反対です。
以上