さる、6月13日、保育課長名で「保護者の皆様へ」なるお知らせが各園に掲示されました。内容は、共産党区議団が発行した「区議会報告」の保育園関連記事に対して、保護者からの問い合わせに対して区側の見解となっていますが、事実上、私どもの「区議会報告」への反論となっています。
品川区は、今年度、新たに延長夜間保育、病後児保育、休日保育などの拡大を進める一方で、職員を大幅削減し、給食の民間委託などを進めており、現場の職員や父母たちから不安の声が寄せられています。
課長名での回答の中で「(職員削減により)保育園運営に影響が出ているがごとく報じられている」「民間委託により安全で質の高い給食が提供できるようになった」「一方的な主張…」など共産党があたかも事実をねじ曲げて報道したとの内容となっています。党議員団は関係者の意見、現地調査を踏まえて報告したものであり、こうした内容は、見過ごすことはできません。同時に事実を明らかにすることは、社会的要請となっている保育事業を前進させる上でも欠かすことができないと考えます。
あらためて、貴職に対して、問題点を指摘し、解明を求めていきたいと考えています。
区民の皆さんにもお知らせし、区民の前で、積極的に大いに議論を行うため、公開質問状という形式を取りました。忙しい状況の中ですが、下記の質問項目について、8月3日までにご回答をいただくようお願い致します。
区は、多数の職員が調理師の資格を自主的に取得してきたことに対し、「採用するに当たり調理資格を要件としていない」「中にはたまたま資格取得者がいたり」と人ごとのように述べています。調理師は、調理方法や食品の安全性などについて学ぶものであり、おいしく安全な給食を作る上で果たす役割は大きなものがあります。だからこそ、園長などは資格取得を奨励し、希望する職員には積極的な支援を行ったのではないでしょうか。
そこで質問します。
区は、「パート社員であろうと、契約内容を十分満足する仕事ぶりであり、且つ前向きに取り組んでいる…」「調理従事者は細心の注意と愛情を持って調理に当たっています」と述べています。わが党は、保育園で働いているパート、非常勤の皆さんの果たしている役割は評価するものです。問題にしているのは大事な仕事に従事するのにふさわしい処遇や労働条件になっているのか、という点です。
例えば、給食のパートの場合、1時間850円で募集しました。夏には室温40度にもなるため、昼休みは横になって体を休めないと午後の仕事ができないといいます。冬は逆に寒くきつい労働です。過酷な労働のわりに低賃金や低水準の労働条件では安定した勤務は望めません。保育園の仕事は、1人1人の子どもの性格や特長を熟知することが求められ安定した雇用は不可欠です。
そこで質問します。
(3)職員間のチームプレーと職員と父母との連携について
区は、「チームプレーが弱まっているかのような内容がありますが、従前と比較した場合、むしろ園長、保育士、調理従事者が一丸となって今まで以上にきめ細かな対応にあたっている」「指示系統が一元化したことにより、今まで以上に職員間の連携が密になり」と述べています。指示系統の一元化は当然ですが、保育にとって大事なことは職員間の協力でありチームプレーではないでしょうか。委託内容は調理業務に限定されるため、委託職員と区職員はもちろん、委託職員と保護者の連携が弱まらざるをえません。
とりわけ生命にかかわるアレルギー食づくりはチームプレーが不可欠です。栄養士、調理師、保育士、保護者が一緒になって、1人1人の子供にあったきめ細かい対応が求められます。調理従事者は、子どもの顔や状態がわかるようにと調理室に1人1人の写真を貼り健康状態を把握しようと努力してきました。
そこで質問します。
区は、「平成12年2月14日付けで実施園の保護者に対し契約業者の業務内容や、従前となんら変わりなく子どもたちに給食の提供が出来ることなどの説明文書を配布した」「導入園の5園では、保護者会等で説明するとともに、各保護者の疑問に対し個別に対応するなど理解して頂くために充分時間を取りました」と述べています。しかし、「区主催の説明会はまったく持たれず、保護者会での父母の質問が出されてはじめて形ばかりの答えがあった」との声が出されています。
区の対応は、平成12年2月14日付けの説明文書を配布しただけで、「給食のレベルは本当に維持できるのか」「代行業者になった場合、行事食など子どもたちのリクエストにこたえられるのか」「アレルギー食は大丈夫なのか」などの質問は解明されませんでした。
だからこそ、説明文書を配布した3日後の平成12年2月17日に、父母の会連絡会が区議会に「利用者や区民に十分な説明がないまま、品川区立保育園給食を民間委託にすることに反対します。品川区立保育園での高い水準の給食を引き続き実施して頂くことを求める請願」を5,239名もの署名を集めて提出しています。父母会が求めたのは、形ばかりの一方通行の説明ではなく、やり取りのできる説明会の開催でした。
なお、新事業を始めるに当たってはどこの部署でも説明会を開き、関係者に周知させ質問や疑問に回答しています。例えば、区が進める公園の整備や改修計画、公共施設の建設計画はもちろんのこと、民間業者が進める再開発事業やマンション建設などにあたり関係住民に対し、説明会の開催、資料の提出などを指導しています。ところが保育行政だけは説明会などは実施していません。
そこで質問します。
区は「正規保育士の定数は、国基準の1、5倍、都基準の1、2倍の数を確保しており、園運営上なんら支障がないもの」と国の基準よりも高くしているので、職員配置は十分であると主張していますが、国の基準は、51年前の戦後の混乱期に最低基準として示されたものです。区で行ってきた産休明け保育、障害児等保育、延長夜間保育などは位置づけられておらず、現在の保育要求に応えられるものではありません。だからこそ、これまで、当区は、たびたび、国に対して、基準の引き上げや各種事業拡大についても予算要望を繰り返して改善を求めてきたところです。
そこで質問します。
区は、職員を大幅に削減する一方で、延長夜間保育、年末保育、休日保育、病後児保育などの新規事業を拡大しています。なんら問題はないと強調していますが、7月5日の読売新聞では、区内保育園で「一人で帰った園児に気づかず」という事件発生が報道されました。同記事では「職員の質や数について、もう一度見直して欲しい」との関係者の紹介されています。
そこで質問します。
区は「1歳3ヶ月未満の乳児の保育に当たっては、特定の保育士と乳児の関係を多くもてるよう心がけて保育している。しかし、保育園での保育は家庭での保育とは違いいろいろな大人とのかかわりを持つことも集団保育のメリットである」とのべています。大人が10人も入れ替わり立ち代りかかわることを「問題なし」としています。
乳児期では、特定な大人との関係を重視した生活環境が必要なことはいうまでもありません。子どもの立場にたち、正規職員を増員し安定した保育体制を作るべき、と考えます。
そこで質問します。
区の説明では、「職員が削減されて行事が減っているのは一方的な考えである」「子どもの最善の利益を考慮し行事等の見直しを始めている園もある」「保護者会についても子どもの負担の軽減やできるだけ多くの保護者の方に参加して頂くため、試行的に平日の夜を土曜日の午前中に実施している」と述べています。
しかし、これまで区は、子どもたちが楽しみにしていた「お泊まり保育」を全園で中止しました。園によっては、「親子遠足」「運動会」など中止や変更をしてきています。特に、運動会は、今まで、土曜、日曜を中心に父母、地域が参加しておこなわれてきましたが、平日に変更し、内容も保育参観とするなどこれまでの行事の在り方が著しく変わってきています。父母には説明がされず、これまでの協力、参加の仕方も大きく変えようとしているもとで不満の声が寄せられています。
そこで質問します。