2024年03月27日
のだて稔史区議が反対討論を行いました
「品川区役所の位置を定める条例」に対する反対討論
2024.03.27 のだて稔史 区議
日本共産党品川区議団を代表して第35号議案品川区役所の位置を定める条例に反対の立場で討論を行います。
本条例は品川区役所を土地区画整理事業中である広町2丁目2番5号へ区役所の住所を移転し、新庁舎の場所を条例上位置付け、新庁舎建設を進めるためのものです。
区は新庁舎の着工予定は来年、2025年度の半ばと説明。つまりはあと1年半ありますが、着工前でよいのに今回条例が提出されました。議会運営委員会で桑村副区長は「行政とすれば、安心して設計に入りたい」と説明しました。新庁舎の位置を決め、建設工事に突き進もうとしています。
しかし、本当に今、新庁舎建設を進めるべきなのでしょうか。区も説明しているように資材の高騰や職人の労務単価の引き上げなどで想定事業費が400億円から560億円へと160億円もの増額です。つまりは区民負担が増えることになります。区民生活が大変な今、新庁舎の建設費用に多額の税金を投入するのではなく物価高騰などで苦しい区民生活への支援を優先すべきです。また区は現庁舎の老朽化を理由にあげ進めようとしていますが、本庁舎は2011年に36億円をかけて耐震改修工事を行ったのであと少なくとも12年もちます。建て替えを急ぐ必要はありません。第二庁舎も築30年であり、壊して建て替えるのは無駄使いであり、環境にもよくありません。
現在の計画は14階建て、約62m屋上設備などを含めれば75mの超高層新庁舎計画が示されています。それは現在の敷地の約6割の狭い敷地ありきで進めてきたことと、敷地の約1/3が地下にりんかい線が通っているため重い荷重をかけられず必要な床面積を確保するためには必然的に超高層にならざるを得なかったのです。超高層は区民や職員が利用する際、水平移動でなく上下移動が多くなり使いにくいものになります。災害時も問題です。エレベーターは震度5弱以上の地震で止まります。首都直下型地震の場合、停電も予想され、被害も広範囲に渡りいつ復旧できるのか見通しが立ちません。特に、中高層に配置された部署は災害時にその役割を発揮することが困難になり、防災拠点としての区役所機能が発揮できません。
区役所建て替えを行っている世田谷区ではエレベーター等が停止した場合でも活動しやすい災害対策本部、上下移動が少ない、来庁者が訪れやすく利用しやすいなどを上げ低層型庁舎にする方針としました。品川でも現庁舎敷地とJR東日本と交換した新庁舎敷地を併せれば低層型庁舎とした世田谷区と同等の敷地面積を確保できます。現庁舎敷地とJRと交換した新庁舎敷地を活用し、中低層で特養や障害者施設など区民要望を併設した計画とすべきです。
そもそも、新庁舎建替えの検討は1987年大井プレイス構想以来の大井町開発をすすめるために行われてきました。土地区画整理事業で駅前一等地をJRに差し出し、超高層を立てやすいように道路や駅前広場まで作って、さらに現庁舎を解体し、跡地に賑わい施設をつくるという便宜を図ることで利益を最大限保証しJRの重い腰を上げさせました。どれもこれも数十年すすまなかった大井町開発を進めるためです。区はJR開発を起爆剤にC地区、E地区など大井町駅周辺の再開発まで進めようとしています。区民のための庁舎を開発利益のために使うことは間違っています。
この検討をJR東日本と日建設計、品川区が共同・密室で進めてきました。2004年から足掛け14年間で5億円もかけた検討報告書はJRの利益を守るために、99%黒塗り・非公開とされました。住民に隠したまま、JR開発のために検討されてきた新庁舎計画をこのまま進めるべきではありません。
区役所は住民サービスや住民自治、防災などの拠点であり、区民の財産です。しかし、新庁舎の場所や建物計画について区民は決まったことの説明を受けるだけで、検討段階から多くの区民の声を聴いて進められて来たわけではありません。さらに検討委員会では第二庁舎を残す方針でしたが、答申の直後、第二庁舎存続の記述は削除されました。わずかな外部意見を取り入れる場である検討委員会さえも形骸化しています。品川とは逆に情報公開と住民参加を位置づけて進められてきたのが世田谷区です。検討開始時から区民説明会を繰り返し行い、検討会への公募・抽出による区民参加、ワークショップ、シンポジウム、設計者選定公開プレゼンなど、あらゆる場面で情報公開と区民参加が貫かれています。品川区でも情報公開と区民参加を位置づけて再検討すべきです。
以上のことから品川区役所の位置を定める条例には反対です。
一度立ち止まって住民サービスや住民自治、防災などの拠点となる区役所を区民とともにつくることを求めて、反対討論とします。