2024年03月27日
安藤たい作区議が賛成討論を行いました
「一人ひとりの子どもが大切にされる品川区を求める請願」
「品川区立保育園の統廃合・民営化方針の撤回を求める請願」への賛成討論
2024.03.27 安藤たい作 区議
日本共産党品川区議団を代表し、令和6年請願第1号「一人ひとりの子どもが大切にされる品川区を求める請願」、ならびに請願第2号「品川区立保育園の統廃合・民営化方針の撤回を求める請願」への賛成討論を行います。
請願第1号は、全ての子どもの成長発達、健やかに育つ権利を等しく保障するため、区立保育園の公設公営での存続と区立幼稚園の拙速な閉園を中止し、区独自の保育士配置基準と定員未充足による減収に対する運営費補助を求めるもので、「品川保育問題協議会」の皆さんから1469名の署名を添えて提出されました。
請願第2号は、現在の区立保育園の統廃合・民営化方針を撤回し、保護者・職員など当事者参加と子どもの声を聴き方針を策定するよう求めるもので、「品川区立保育園の統廃合・民営化に反対する会」の皆さんから2319名の署名を添えて提出されました。
合わせて3788人もの請願署名の内容は、いずれも、保育・幼児教育における自治体の責任、公の果たす役割の重要性に着目し、その役割強化を求めている内容です。
以下、賛成理由を3点述べます。
1点目は、今ある区立保育園を減らして民営化を進め民間に売り渡すことはすべきでない、という点です。
今回、区が打ち出した「品川区内保育園等あり方基本方針」の案は、全43の区立園のうち、6つの「統括園」、13地区の「サポーター園」を決定。その他の24園を統合した上、民営化も検討、民間に譲渡するものです。「統合等のハード面にかかる方針を策定する事が必要」とし、まさに統廃合方針そのものです。
区は「2年連続待機児はゼロ」と言いますが、委員会質疑でも、希望する園の選考から漏れ不承諾となった子どもは今年の一次選考結果で740人いることが明らかになりました。うち1歳児は401人と深刻で、予算特別委員会でも入園の悩みにまつわる質疑もされていました。また、「区立で448人分、私立で985人分の定員割れがある」ことも統廃合方針策定の理由にあげますが、区の示す資料は昨年の4月1日現在のものです。たとえば、昨年10月でみればそれぞれ306人、733人に減り、しかも深刻な乳幼児クラスでみれば0歳児でわずか26人、1歳児では22人しか空きがありません。年度途中でも、出産や勤務の都合に関わらずいつでも入れる保育園の存在が、通える身近な地域に十分にあることが必要なのです。
「未就学児の人口等」、社会情勢の変化を統廃合方針の理由にもあげますが、品川の人口は全体も、年少人口も2041年まで増え続ける推定になっています。だいたい、「異次元の少子化対策」などと政権は述べていますが、少子化だからそれにあわせて保育園を減らすという発想で、少子化が克服できるわけがありません。
海外に目を向ければ、保育園の子ども一人当たりの面積基準は日本が1.65m2に対し、ドイツ3.5m2、スウェーデン7.5m2。3歳児クラスで保育士1人当たりが見る子どもの数は日本30人に対し、フランス8人です。ただでさえ貧弱な保育環境の改善を進め、地域で子育ての相談に乗れる保育園の充実、それを通して子育てしやすい環境を整備することこそ自治体の立てるべき方針です。
2点目は、統廃合方針は、住民の声を踏まえずに策定され、今後も聞く考えがないという点です。
あり方基本方針の素案を検討してきた「区内保育園等あり方検討委員会」の資料や議事録を情報公開で入手しました。具体的にどこを統括園やサポーター園にするのか、などの部分は既に検討しているにも関わらず、全て黒塗りでした。
委員会審査で検討過程の情報は公開すべきだと求めると、区は「この園が候補になるのだというような具体的な想像が誤解を生じさせてしまうところがあるので、まだ方針が確定していない段階で公表するべきではない」と公開しない考えを示しました。また、「4月の基本方針公表の後に、どの園を統合する具体的な方針をいつ発表するのか」との質問にも、区は「今後の保育需要の変化、定員の空き状況の変化を捉えて、なるべく早期に計画を立て、合わせて統合を進めていく予定」などと決して具体的に答えようとしません。具体的方針はあるのに、それは区民に隠して、大きな方針だけ定め、それを錦の御旗に統廃合を進める白紙委任を得ようとしています。住民の反対運動を抑えようという姑息なやり方です。
素案に対するパブリックコメントには129人、243件もの意見が寄せられました。賛否の数について伺うと、反対意見は、「反対」の文言が入っていただけでも60件前後ありました。「一方で賛成の声も頂戴しているところ」と言いますが、数は明らかにできませんでした。これだけの意見が寄せられたのは、区立保育園を統廃合して民間に売り渡すという区の重大方針に対して、運動がまきおこり、それを許さないという区民世論があるからに他ならないことは明白です。にも関わらず、区はパブコメの数を「過去のほかの計画に比べ多数の意見を頂いており、十分に内容が伝わっていると考えている」と請願が求める住民説明会開催を拒否する理由にあげました。あげくに「策定後の基本方針については、頂いた意見を活かしながら具体化に向けた検討を進めていきたい」と述べ、方針具体化に突き進む姿勢を示しました。「方針を決めるのは案の段階から区である。住民の声を聴くのは、あくまで形だけ」という区の姿勢がここでもはっきりしました。
3点目は、保育・子育て支援、子どもにこそ税金は使うべきだということです。
方針を検討した委員会には、企画から政策推進担当課長と施設整備課長の幹部職員も参加していました。国が公共施設の延床面積を減らす計画を立てるよう自治体に迫り、品川区でも2017年度に策定、この4月に改定が予定されているのが「公共施設等総合整備計画」です。委員会審査でこれと今回の区立保育園統廃合方針との関係をたずねると、「公共施設等総合計画と整合は取るように図っている」「区の行政資源は無限にあるわけではない」と答えました。更に「財政効率からの検討だとはっきりした」と述べると、区は「あくまで子ども未来部、保育課として考えた方針だ」と答えました。私は、子どもの育ちに最も責任を持つ保育部門が率先して財政効率を優先し、財政部門に忖度し、保育園の統廃合する方針をつくってしまうことに事の深刻さを感じざるを得ませんでした。だから請願が指摘するように、「あり方方針」とうたいながら、現実の子どもや保育園が直面する実態や改善要望などの記述や分析・方策は一切なく、数に終始する方針になっているのです。
不要不急の超高層再開発へは一事業に数十億円から100億円を大きく超える税金が投じられます。また、軍事費は2倍化に向け増額されています。その分、他の福祉や子育て支援の予算、防災予算は削減されたり抑制されたりしています。開発や軍事費は聖域にする一方で、子どもや福祉に関わる予算だけ「財源はどうするのか」と問われる政治状況は間違っています。
以上、2本の請願を採択し、一人ひとりの子どもを大切にする品川区をご一緒につくりあげることを呼びかけまして、私の賛成討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。