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2024.06.27

のだて稔史区議令和6年第2回定例会一般質問
「気候変動の危機、区としてもカーボンゼロへ実効ある具体策を」
「能登半島地震の教訓に学び、災害関連死を出さない避難所環境の改善を」
「庁舎建て替えを開発推進に使うな、情報公開と住民参加で白紙から検討を」
「子どもの権利条約を活かして、子どもがのびのびと学べる学校に」
「安全より効率最優先の羽田新ルートは中止を、区はアンケートに寄せられた被害の実態調査を」

質問項目

  1. 「気候変動の危機、区としてもカーボンゼロへ実効ある具体策を」
  2. 「能登半島地震の教訓に学び、災害関連死を出さない避難所環境の改善を」
  3. 「庁舎建て替えを開発推進に使うな、情報公開と住民参加で白紙から検討を」
  4. 「子どもの権利条約を活かして、子どもがのびのびと学べる学校に」
  5. 「安全より効率最優先の羽田新ルートは中止を、区はアンケートに寄せられた被害の実態調査を」

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質問

「気候変動の危機、区としてもカーボンゼロへ実効ある具体策を」

 日本共産党を代表して一般質問を行います。 初めに、切迫する気候変動の危機、区としてもカーボンゼロへ実効ある具体策をです。世界気象機関によれば、2023年の世界の平均気温は史上最高、産業革命前の1850年比1.45度前後上昇したと発表、世界各地で異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇など大問題になっています。IPCCや科学雑誌「サイエンス」は、地球環境そのものが制御できない状況になる転換点、ティッピングポイントの危険性を指摘します。少なくとも1.5度上昇で止めなければ、現状でも深刻な事態が加速度的に進行し、永久凍土融解による大量のメタンガス噴出や海水温上昇によるサンゴの白化と衰退、森林火災による大量のCO2発生と緑の消失など、ドミノ倒しのように負の連鎖が始まり、取り返しのつかない事態を迎えると警告しています。  

 気候変動がティッピングポイントに達しかねない危機的な事態に対する区長の認識を伺います。2030年までのCO2削減に人類の未来がかかっています。2030年カーボンハーフ、2050年カーボンゼロ実現へ決意を伺います。1.5度目標の実現が厳しさを増す中、国連は行動の飛躍を呼びかけ、これまで温室効果ガスを大量に排出してきた先進国に、できるだけ2050年よりも早く排出量正味ゼロの実現、化石燃料の廃止を強く訴えています。今年4月、G7が初めて2030年代前半と期限を明示して、既存の石炭火力の段階的廃止を合意文書に盛り込みました。ところが、日本政府は、唯一廃止期限を示さず、アンモニア混焼など世界では削減対策と認められない手段を使って延命を図ろうとしています。また、原発をベースロード電源に位置づけ、再エネ予算の3倍を投じ推進、原発を優先するために再エネを出力制御し、人口100万人の年間消費量を捨てています。原発事故を経験し、さらに能登半島地震では、各地で数メートルもの地盤の隆起や沈降が起きたように、自然災害が頻発する日本で原発に頼ることはやめるべきです。国に対して、原発ゼロ、化石燃料からの脱却へ方針転換を求めていただきたい。いかがでしょうか。区長としても、原発ゼロ、化石燃料からの脱却を宣言、発信することを求めます。いかがでしょうか。品川区は、昨年6月、ゼロカーボンシティしながわ宣言で、2050年度までにCO2排出量ゼロを表明しました。実効ある本気の取組が求められます。しかし、実績は、2013年から2021年度までの8年間の CO2削減量は目標の約2割、あと6年で2030年です。区の環境基本計画ではどう目標達成するかが見えません。まずは、カーボンハーフへ、年度ごと、部門別の削減目標と達成するための具体策を示すロードマップを明確にするよう求めます。CO2排出削減目標だけでなく、エネルギー消費量の削減目標と再生可能エネルギーでの電力供給目標も立てるべきと考えますが、いかがでしょうか。国は、第6次エネルギー基本計画で、2030年度に新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設置、2050年には導入が合理的な住宅・建築物には太陽光発電導入が一般的となることを目指すとしています。区は太陽光発電を最大限活用するとの方針を掲げています。その1つである区有施設の太陽光発電は現在52か所、461キロワットです。区有施設の太陽光発電について、現在のCO2削減量、2030年までの設置目標のキロワット数とそれによるCO2削減量を伺います。一般住宅への太陽光発電設置助成は、1キロワット当たり3万円、上限9万円と他区と比べて低額、港区では、1キロワット20万円、上限80万円など、15区が品川区を上回っています。現在の区内の太陽光発電設置棟数と合計キロワット数、設置目標について伺います。設置助成の増額を求めます。いかがでしょうか。 建築物省エネ法が改正され、2025年から一定の断熱性能の義務化がスタートします。高気密高断熱の住宅は省エネに最も効果的ですが、日本ではまだ遅れた状況です。高気密・高断熱の住宅の省エネ効果 の認識を伺います。より高い省エネ性能を選択できるよう、新築時と既存住宅への支援を求めます。い かがでしょうか。

「能登半島地震の教訓に学び、災害関連死を出さない避難所環境の改善を」

 次に、能登半島地震の教訓に学び、災害関連死を出さない避難所環境の改善をです。1月に発生した能登半島地震では、いまだに倒壊した建物はそのまま、5か月たってようやく公費解体が進み出しましたが、まだまだ手つかずの状態が広がっています。暮らしていく希望が見えません。災害対応は、決して施しや思いやりではなく、被災者には尊厳ある生活を営む権利、援助を受ける権利があります。これは国際的な常識であり、基準です。復旧・復興・生活再建は、一人ひとりに人権を回復することです。しかし、政府は能登支援を改善できず、自己責任を押しつけています。防災関係予算はここ10年で7割以上も削減されました。 区は、能登に職員を派遣してきました。能登半島地震支援に派遣した職員の人数や期間、支援内容を伺います。派遣して得た今後の震災対策に生かすべき教訓は何か伺います。 能登の教訓を生かし、建物の耐震化・感震ブレーカーの設置など予防策の強化を求めるとともに、今 回は主に避難所環境の改善について質問します。災害関連死はまさに人災です。能登では30人が認定され、ほかにも100人超の遺族が申請しており、関連死は今後も増える見込みです。主な要因は、不便なトイレと体を伸ばして眠ることもままならなかった生活環境です。人災を繰り返してはなりません。能登の避難所は難民キャンプ以下と言われる体育館に雑魚寝という29年前の阪神・淡路大震災と変わらないありさまでした。それと対照的に報じられたのが4月の台湾地震の対応です。発生から数時間後には、避難所にはプライバシーに配慮したテントが並び、温水シャワーや選べる食事、マッサージも提供されました。台湾では、過去の巨大地震の教訓に学び態勢を整えてきました。 またイタリアは、地震や洪水、土砂災害が多発している国、災害の発生から48時間以内にトイレ、キッチン、ベッドを避難所に設置する取組が最も進んだ国の1つです。災害当日に、避難所で調理したてのおいしい料理が振る舞われます。 世界の基準となっているスフィア基準は最低基準です。1日に必要な水は1人15リットル、トイレは 20人に1基など決められています。日本の現状では、災害関連死を必ず生み出すことになります。トイレ、食事、ベッドの改善が重要です。区民避難所のトイレは、マンホールトイレを含めスフィア基準に沿って20人に1基整備するよう求めます。いかがでしょうか。温かい食事の提供へ家庭科室の活用と調理代行業者と協定を結び、給食室の設備も活用できるようにすることを求めます。いかがでしょうか。ベッドの備蓄を求めると、区は保管する場所がないと説明します。ですが、過去の地震対応を見ると、段ボールベッドが整備されるには3週間程度もかかります。エコノミークラス症候群や感染症を防ぐにはすぐ必要です。区民避難所ごとに間仕切りと段ボールベッド等を備蓄する倉庫を設置すること、その1つに補助29号線などの道路買収用地も活用すべきです。いかがでしょうか。 女性は、災害時、自分たちの要望を伝えることを我慢しがちです。避難所では、夜中に知らない男性が隣に寝ていて体を触られる深刻な被害も出ています。防災会議の委員に、学識経験者や防災活動に取り組む団体などから女性を追加し、女性の割合を抜本的に高めることを求めます。いかがでしょうか。トイレや物干し場、更衣室、就寝場所など、女性専用スペースを避難所に設けることを求めます。いかがでしょうか。

「庁舎建て替えを開発推進に使うな、情報公開と住民参加で白紙から検討を」

 次に、区民の財産である庁舎建て替えを開発推進に使うな、情報公開と住民参加で白紙から検討をで す。 新庁舎建設は実施設計に入り、来年の工事着工が狙われていますが、費用は当初の400億から560億円へと膨張、しかも、本庁舎は2011年に耐震化し、最低でもあと12年はもち、第二庁舎は築30年でまだまだもちます。物価高で区民生活が苦しい中、なぜ巨額な費用を投じ、緊急性のない新庁舎を進めるのか。それは、新庁舎は区民の要求や必要性でなく、大井町開発推進のために検討されてきたからです。出発点は、1987年に区が策定した大井プレイス構想、広町のJRと区の土地を一体的に整備し、五反田・大崎・大井町を結ぶ都市軸の形成を目指す巨大開発構想です。区は、2004年から日建設計に、2013年からはJR東日本も加わり、5億円超の税金を費やし、密室でまちづくりを検討、検討報告書は99%黒塗り・非公開、唯一読める目次には、現庁舎の課題と整備の必要性、新庁舎の在り方、にぎわい施設の基本的条件の整理とあり、タイトルは、広町地区開発構想に向けた施設活用に関する検討業務委託、まさに庁舎は開発のために活用する施設との位置づけでした。密室検討はさらに続きます。庁舎を建て替え後の跡地活用について、森澤区長は、区長選で、官民連携手法の導入で、区役所建て替え費用に要する区民負担を実質200億円軽減と公約、民間企業に活用させる検討を始めました。活用方法を民間企業に直接聞く対話型市場調査は、参加事業者名すら非公表、情報公開請求し、もともと公開されていた質問項目以外は100%黒塗りでした。区は、これらの非公開の理由を正否の見通しが何ら担保されていない検討案を公開することによって 区民の間に憶測が生じる、意思決定に向けての各種調査、検討の内容であり、議論を喚起せしめる計画案として体裁をなしておらず、公にすることにより不当に区民に混乱を生じさせるおそれがあるなどと説明してきました。検討報告書はいつ公開されるのか、正否の見通しが立てば公開するのか伺います。意思決定に向けて調査した内容を非公開とするのは、政策決定過程における住民参加を否定するものではないのか。区長公約、区政を見える化、徹底した情報公開とも反するのではないか、それぞれ伺います。区民に情報開示できないのは、区がJRに便宜を図る検討を行ってきたからです。実際に、駅前一等地の区有地とJRの土地交換でJRの開発敷地は整形となり、道路整備と併せて大型開発が可能に、容積率は930%まで上げられました。さらに道路整備により、その北側に接するJR敷地の大型開発も可能となりました。一方で、区が引き受けた土地は地下に臨海線があり、4階程度しか建てられず、そこを新庁舎建設用地にしたために、残りの狭い敷地に超高層とならざるを得なくなりました。区画道路整備はJR広町開発の容積率アップに加え、北側に接するJRの敷地の新たな開発ポテンシャルにつながります。この事実は認めますか、伺います。  

 対話型市場調査では、庁舎跡地の購入意向まで企業に聞いていました。区民の財産を何だと思ってい るのでしょうか。対話型市場調査で、議会にも諮らず庁舎跡地の購入意向をデベロッパー等に聞くのは、区民と議会をないがしろにするものではないか、伺います。区はなぜ庁舎跡地を売却することについて質問したのか伺います。庁舎、区有地は区民の財産です。国立市では、市民の批判を受け、竣工したマンションの解体を事業者が決めました。五反田のTOCは、建築費急騰を受け建て替えを10年後に延期、環境や景観、税金の使い方なども厳しく問われる情勢です。必要性も緊急性も区民理解もなく、開発推進が目的の新庁舎計画は白紙にし、徹底した情報公開と区民参加で一から再検討すべきです。いかがでしょうか。

「子どもの権利条約を活かして、子どもがのびのびと学べる学校に」

 次に、子どもの権利条約を活かして、子どもがのびのびと学べる学校にです。日本が子どもの権利条約を批准して今年で30年、国連子どもの権利委員会は日本政府に4回も勧告を出し、学校環境が非常に競争的で成長発展を保障する子ども期を奪っていると指摘、ストレスフルな学校環境から子どもを解放することを求めました。品川でも増えている不登校やいじめ重大事態などに表れています。早稲田大学名誉教授、増山氏は、学校教育が多くの子どもにとって居場所になれていない大きな要因は、休み、遊び、文化・芸術への参加の権利、つまずき失敗してもやり直せる更生権、子どもたちのことは自分で決め諸活動に参加できる自治と参加の権利が非常に軽視されているからと指摘します。 5日本財団の子ども1万人意識調査では、子どもの権利条約について聞いたことはないが59%、30年たっても子どもが自らの権利について知らされていません。子どもの権利を守るためにあるとよい仕組みの1位は、子どもにもっと学校で教えるでした。さきの代表質問で条約の内容を記したパンフレットの配布を求めると、区は東京都子ども基本条例のパンフレットの配布で周知したいと答弁、しかし、調べると、学校に2冊ずつ置いてあるだけでした。改めて子どもの権利条約の内容を記したパンフレットを 子どもと保護者に配布することを求めます。いかがでしょうか。毎年全ての子どもが子ども権利条約を学ぶ機会を設けるべきです。いかがでしょうか。教育の懇談会に参加し、品川区の子どもたちの声を聞きました。休み時間に外に絶対全員出なきゃいけないんだよね、何で休み時間さえ自由を奪うの、もう塾のテストや宿題があって土日なんて来てほしくないと話していることを保護者から聞きました。また教員からは、休み時間にぞろぞろとトイレに行ってもいいですかと許可を取りにくる。落ちた鉛筆を拾うのにも手を上げて許可を求める子がいますという様子が語られ驚きました。休み時間も自由に過ごせず、土日も休めない。自分の意思で自由に行動できない。これらの実態は、子どもの権利条約31条の子どもが休み、遊び、文化・芸術活動に参加する権利や、12条の意見表明権などに照らして改善が必要だと思いますが、いかがでしょうか。生徒指導提要には、教職員や保護者等に子どもの権利条約の理解が求められています。全ての教職員へ子どもの権利条約の研修を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。全ての学校で保護者が子どもの権利条約について学ぶ機会をつくることを求めますが、いかがでしょうか。先生たちが忙し過ぎます。ある小学校では、朝6時過ぎに来る先生もおり、7時半になれば8割が出勤、午後3時45分からの休憩時間もゆっくりと取れず会議が入る。4時45分には勤務時間終了のはずが、 テストの採点、学級通信を書いて印刷、不登校児や保護者への連絡、明日の授業の準備と、9時過ぎまでいる先生も多い状況です。教員の長時間労働の慢性化は、子どもたちが学び育つ権利を保障するために改善が必要です。子どもと向き合えるゆとりをつくるために教職員を増やすことを東京都に求めるとともに、区独自教員を増やすことを求めます。いかがでしょうか。

 学ぶ権利の保障には教育費の負担軽減も重要、区長が憲法26条にも触れ学用品の無償化を実施したことは大きな一歩です。義務教育の無償化へさらに踏み出すべきです。制服など入学時に必要な一式をそろえると10万円程度かかり、大きな負担です。また修学旅行は教育として行われていますが、金額の大きさが保護者への負担となっています。制服や体操着等必要なものや修学旅行費は無料にすべきと考えますが、いかがでしょうか。

「安全より効率最優先の羽田新ルートは中止を、区はアンケートに寄せられた被害の実態調査を」

 最後に、安全より効率最優先の羽田新ルートは中止を、区はアンケートに寄せられた被害の実態調査をです。昨年夏に実施された羽田新ルートに関する全区民アンケートの自由意見が全て公開されました。被害は、騒音や落下物に加えて、大気汚染126件、電波障害126件、資産価値の下落251件もの声が寄せられています。アンケートで明らかになった大気汚染、電波障害、資産価値の下落等の被害について、聞きっ放しではなく実態調査を行う責任が区にはあると思いますが、いかがでしょうか。国交省は、5月27日、日本航空JALに対し、指示を得ず滑走路に侵入や機体接触など、5件の運航に関する安全上のトラブルが相次いでいるとして厳重注意しました。この問題について航空評論家の杉江弘氏に話を伺いました。今の航空業界は安全第一になっていない。運航ポリシーの優先順位は、安全、 定時、快適、しかし、実態は、安全よりもコスト削減と効率が優先されている。相次ぐトラブルもハリ ーアップ症候群などによる問題と指摘します。JAL自身も報告書で、タイムプレッシャーを感じてい た可能性を認めています。また、杉江氏は、羽田新ルートは滑走路全体の使い方を変更するため、管制 官はものすごい負担になる。さらに海上ルートより遠回りになるため、時間も燃料も使い、パイロット にプレッシャーがかかると話します。さらに落下物も、羽田空港で報告された部品欠落が直近の4年間 で1,798件にもなっています。安全よりコスト削減、効率優先で相次ぐ事故やトラブル、大量の部品脱落、これで都心の上を飛ばす新ルートが安全と言えるのか認識を伺います。

 以上で私の質問を終わります。

答弁

森澤区長

 のだて稔史議員の一般質問にお答えします。 私からは、気候危機への認識とゼロカーボンの実現に向けた決意についてお答えします。地球温暖化に起因すると見られる世界各地での深刻な気象災害の発生は当区においても例外ではなく、 夏の異常な暑さや集中豪雨、大型台風など、今まで経験したことのない気象災害が私たちの生命や健康、生活を脅かしています。2015年に合意されたパリ協定では、世界的な平均気温上昇を1.5度に抑える努力を追求するという目標が掲げられました。そして、これを達成するためには、2018年に公表されたIPCC、気候変動に関する政府間パネルの特別報告書において、2050年までに二酸化炭素の実質排出量をゼロにすることが必要とされています。今日、地球温暖化対策は、今を生きる私たちの社会的責務であり、脱炭素へ向けた待ったなしの取組が求められていると認識しています。そうした中で、区では、昨年6月にゼロカーボンシティしながわ宣言を行い、改めて国際社会の一員として、脱炭素エネルギーの促進や省エネ活動など、果敢に取り組んでいくことを宣言いたしました。品川区を環境先進都市として将来の世代にその環境を引き継いでいくために、区民、事業者と一体となり、脱炭素への積極的な取組を進めてまいります。

都市環境部長

 私からは、気候危機のうち、環境施策に関するご質問と、羽田新飛行ルートに関 するご質問についてお答えいたします。 初めに、原発ゼロ、化石燃料からの脱却についてですが、エネルギー施策は国策であり、判断については国の責任により行われるべきものと考えます。

 次に、ロードマップについてですが、区総合実施計画において、2030年に向けたCO2排出量の削減目標を定めており、区環境基本計画に掲げる取組を進めているところです。また、区有施設への再生可能エネルギー導入の目標も掲げ、現在57施設まで進めており、さらなる拡大に努めてまいります。 次に、区有施設の太陽光パネルについてですが、現在見込まれるCO2削減量は224トンCO2となっております。また、目標として、2030年度までに既存27施設での設置を検討しており、今後とも設置の可否やパネル容量などを精査し設置を進めてまいります。 次に、一般住宅への太陽光パネルについてですが、国が公表している区内の設置件数は1,330件、合計で7.16メガワットとなっております。区では、令和6年度から助成件数を倍増するとともに省エネ家電助成を開始するなど、高効率給湯器の助成と併せ住宅への省エネの取組を促進しているところです。太陽光パネルの助成の増額については、住宅への省エネ助成全体の利用状況などを検証するとともに、都の施策の動向なども含め研究してまいります。次に、高断熱住宅についてですが、外気温の変化による影響が少ない省エネ効果の高いものと認識しております。新築住宅への断熱化助成につきましては現在普及も進んでおり、また、建築物省エネ法が 改正され、令和7年度より全ての新築住宅に断熱性能の義務化がスタートすることから、区として実施する考えはありません。区では、既存住宅への断熱化などエコに関する工事助成を実施しており、太陽光パネルや蓄電池、高効率給湯器の設置助成と併せ引き続き省エネ住宅の普及に取り組んでまいります。

 次に、羽田新飛行ルートについてです。 令和5年8月に実施した区民アンケートでは、羽田新飛行ルートに関する自由記述において2万 7,922件の様々なご意見を頂いており、とりわけ騒音に関するご意見が顕著に見受けられました。区は、アンケート結果を踏まえ、令和6年3月に、2回目となる国土交通省への訪問を行い、全ての自由記述意見を含むアンケート結果を国に届けるとともに、国土交通大臣宛て要望書を提出いたしました。要望書では、国に対し、区民の声をしっかりと受け止め、固定化回避検討会を含む区民負担軽減につながる取組を提示し実施するよう求めたところです。区としましては、引き続き国に対し区民負担軽減につながる方策の実施を強く求めてまいります。

次に、航空安全についてですが、区としましても、航空機の運航は安全性を最優先に実施されるべきものと認識しているところです。令和6年5月27日付国土交通省による日本航空株式会社への厳重注意を受け、区は直ちに国に対し再発防止の取組を進めるとともに、航空安全の向上に引き続き取り組むよう求めたところです。区としましては、今後も再発防止や落下物対策を含めた安全対策の徹底について国へ強く求めてまいります。

災害対策担当部長

 私からは、災害対策についてお答えをいたします。初めに、能登半島地震の被災地支援についてです。支援に派遣した職員数は、5月末までに、住家被害認定や罹災証明書の発行、健康管理、公費解体などの被災地での支援業務に19人、また5回の物資支援において10人の職員を派遣しました。これらの支援を通じて職員が感じ取った被災者の生活環境上の課題を教訓として、令和6年度当初予算において、携帯トイレの全区民への配布やエレベーター用防災 チェアの配布事業を行うこととしました。今後はこれらに加え、復旧・復興に向けて明らかになった課題についても、区の災害対策に取り入れてまいります。次に、区民避難所のトイレについてですが、防災広場などへのマンホールトイレの整備や簡易トイレの備蓄等により、可能な限り災害時のトイレ確保に努めております。次に、温かい食事の提供についてですが、区民避難所では、家庭科室を給湯・調理スペースとして活用するほか、区内の事業者と災害時の炊き出しに協力いただく協定を締結しております。次に、段ボールベッドなどの備蓄についてですが、避難所開設時に設置できるよう、各区民避難所の倉庫に間仕切りとエアマットを備蓄しております。段ボールベッドは、備蓄に際してのスペースや湿度管理の問題から、災害時協力協定に基づき民間業者から供給される体制を取っております。備蓄倉庫につきましては、恒久的な倉庫として確保する観点から、区有施設の整備などに合わせて増設を検討してまいります。次に、女性視点についてですが、災害対策に女性の視点を取り入れることは重要であります。このため、区では防災会議委員への女性の登用を進めるため、防災会議を構成する関係機関と調整をしているところであります。また、避難所における女性スペースの設置についてですが、これまで女性専用の更衣室や授乳室など、女性職員からの提案を受けて避難所運営マニュアルに記載するなど、より安全で安心な避難所生活を過ごせる環境の整備に努めてまいりました。今後も様々な避難者に配慮した避難所運営が行われるよう、よりよい生活環境の整備に努めてまいります。

広町事業担当部長

 私からは、庁舎の建て替え等に関する質問にお答えいたします。 初めに、質問にあります検討報告書の情報公開については、請求があった段階で条例等に基づき適切に判断してまいります。次に、政策決定過程における区民参加についてですが、これまでも広町地区のまちづくりについては、計画がまとまった段階で議会報告や住民説明会を開催し、段階的に計画を公表してまいりました。また、庁舎跡地等活用検討に関してもワークショップやアンケートを開催し、幅広く意見を聞いており、今後も区民と共にまちづくりを進めてまいります。

 次に、区画道路整備についてですが、区画道路は広町地区の円滑な交通処理を確保するために整備を進めていくものであり、必ずしも容積率を割増しさせることを主眼としたものではありません。
次に、対話型市場調査についてですが、庁舎跡地等に関する民間事業者の幅広い意見や事業提案などを把握するために行ったもので、事業手法に関しても条件を限定せず実施したものでございます。よって、庁舎跡地の売却を前提として考えているものではありません。

 最後に、新庁舎の整備については、老朽化など現庁舎の課題に対応するため、引き続き滞りなく進めてまいります。

教育次長

 私からは、教育の質問についてお答えします。 次代の社会を担う全ての子どもが権利の擁護が図られ、ウェルビーイングな社会を目指すために、子どもの権利に関する条約や法令の理解を進めることは大変大切なことと捉えています。今後、1人1台端末から東京都こども基本条例のハンドブックを閲覧できるようにするなど工夫してまいります。次に、条約を学ぶ機会についてです。本区の教育目標の第1に人権教育の推進を掲げており、全学年で発達段階に応じた人権教育を実践しております。社会科では子どもの権利条約について学習し、市民科においても5年生以上が教科書で学んでいます。今後はこども基本法や都の条例を併せて学習できる よう検討してまいります。

 次に、休み時間等の子どもたちの過ごし方についてです。子どもたちが心身ともに健康な生活を送るには、知・徳・体のバランスが大切であり、休み時間に外遊びを促すことも必要と考えますが、強制にならぬよう学校に周知してまいります。休日については、家庭や地域において充実した時間を過ごせるよう過度な宿題は課さないように引き続き周知徹底してまいります。

 次に、条約についての教職員に対する研修についてです。若手教員育成研修や生活指導主任会等で、より多くの教員が条約の趣旨について理解を深めることができるよう努めてまいります。  

 次に、保護者につきましては、年度当初の保護者会等で、いじめ防止や虐待防止等についての説明を行い、子どもの権利に関する理解が進むよう努めております。また、市民科授業地区公開講座では、保護者も交えて、子どもたちがよりよく生きるための意見交換会を行っており、条約の趣旨につながるものと考えております。

 次に、教員の増員につきましては、人員体制の強化等を実現するため、不登校巡回教員の配置など、東京都と密に連携を図っております。また、区固有教員については、品川区の教育施策のより一層の推進のため、段階的な増員を計画してまいります。

 最後に、標準服や修学旅行費等の無償化についてです。区では、国に先駆け給食費や補助教材費の無償化を区独自事業として実施しておりますが、本来、義務教育に関わる経費負担については国において実施するものと考えております。

再質問

のだて議員

 自席より再質問させていただきます。気候危機です。エネルギーは国策だと、国には何も言わないということでした。日本が世界から遅れているから言っているんです。一方、杉並区長は、原発は安全性に大きな問題があるとして、原発ではなく再エネに転換すべきと首長としてはっきり述べています。区長も国にはっきり述べるべきです。いかがでしょうか。ロードマップの具体化も見えませんでした。再エネと省エネの目標を立てることを求めましたが、答弁がありません。お答えください。次、防災です。トイレを可能な限り確保するとのご答弁だったと思いますけれども、災害関連死を防ぐのにトイレは決定的です。可能な限りでは済まされません。ベッドも数週間後では遅いんです。現状で災害関連死を出さないようにできるのかどうか、そこを伺います。また、現状で段ボールベッドはいつ届くのかも伺います。

 次に庁舎です。庁舎の情報公開は請求時に判断するということで、あまりにひどい答弁でした。建て替え後も公開しないということなのか伺います。区長公約の徹底した情報公開に反するものではないかと思いますが、伺います。対話型市場調査で、答弁は現庁舎跡地の売却も排除しないというものだったと思います。そうなると、売るということもあり得るのかということを伺います。

 次に教育です。様々な場面で学んでいるような答弁でしたけれども、子どもの調査では、6割の子が聞いたこともないという結果なんです。これで周知がされていると何で言えるのか伺いたいと思います。

 最後に羽田です。固定化回避では解決になりません。私が伺ったのは、実態調査を行う責任が区にはあるんじゃないですかということです。これを改めて伺いたいと思います。以上です。

再答弁

都市環境部長

 私からは、気候危機および羽田新ルートに関する再質問にお答えいたします。初めに、エネルギー政策についてですが、脱炭素社会の実現も見据えながら、今後の電力需要や安定供給、燃料の価格変動に対する対応など、将来のエネルギー需要の想定や必要な供給力の検討など、様々な要因を踏まえながら、国全体の取組として検討されるものであり、国策として国の責任判断により行われるべきと考えております。また、ロードマップの策定についてですが、部門別の削減量につきましては、毎年過年度の区内部門別の削減量の実績がオール東京共同事業として公表されてございます。先ほどもご答弁申し上げましたが、区では、環境基本計画や総合実施計画の中で示す目標に対して、過年度の削減状況の実績を検証し、強化すべき取組として、令和6年度には削減量が鈍化している家庭部門に向け助成制度の拡充をしたところでございます。今後も、現状をしっかりと検証しながら、引き続き積極的な取組を進めてまいります。 次に、羽田新飛行ルートについてでございます。区民アンケートでございますが、羽田新飛行ルートに関する自由記述2万7,922件、様々な意見を頂いたところでございます。区のほうでは2回にわたり国土交通省を訪問しまして、国に結果と区民の声を直接届けてございます。区民アンケートでは、ルート直下も含めて、騒音に関する影響が大きかったという結果が出てございます。区としましては、固定化回避を含む区民負担の軽減について国に求めたところでございますが、引き続き固定化回避を含む区民負担軽減につながる取組を国に対し強く求めてまいります。

災害対策担当部長

 私からは、災害関連死関連と段ボールベッドの再質問についてお答えをします。まず初めに、避難所の生活環境に関する質問でございますけれども、区民避難所では約920基の耐震化トイレ、マンホールトイレにつきましては約420基ということで、現在70人に1基という割合で最低限準備が進んでいるところです。これは阪神・淡路のときに75人に1基で苦情が出ない状況でありましたので、9万人の被災者に対して最低限の状況を確保できるものという認識を持っております。また、ベッド関係につきましても、エアマット等各避難所に100枚を準備するほか、倉庫に集中保管をしておりまして、必要な避難所に届けられる体制を確保しているところでございます。最後に、段ボールベッドの設置の時期でございますけれども、これは数と状況にはよりますけれども、基本的には、今品川区では物流体制をしっかり整えておりますので、供給元の供給ができれば滞りなく受け入れて、仕分けをして配送できる体制を確立しているところでございます。

広町事業担当部長

 私からは、検討報告書の公表に関してお答えいたします。 広町地区のまちづくりに関しては、それぞれまとまった段階で議会報告も行い、意見も伺いながら計 画などを取りまとめてまいりました。また、区民の説明につきましても、段階的に検討状況についてご説明し、区民の意見を聴取しながら進めてきております。ご質問にあります検討報告書の全ての内容を 個別に公表する考えはございません。

 次に、対話型市場調査についてでございますが、こちらも現在事業手法について様々な意見を伺っている段階でございます。庁舎跡地の売却を前提として考えているものではございません。

教育次長

 教育についての再質問にお答えを申し上げます。ご紹介のありました調査につきましては、品川区の中で調査されたものというふうには受け止めてはおりませんけれども、ある財団が行ったということでの全国的な傾向ということで受け止めさせていただければと存じます。その中で、区の中におきましては、市民科等の教科書の中で子どもの権利条約について触れたり、あるいは調べ学習を促したりという場面もございます。引き続き子どもの権利条約、その他基本法、都の条例等を併せて学習できるよう検討を図ってまいります。

再々質問

のだて議員

 再々質問をさせていただきます。気候危機です。国の姿勢を容認していてはカーボンハーフ・ゼロも実現できません。同じ答弁を繰り返されました。国に転換を求めずにカーボンゼロを実現できると思っているのか伺います。このティッピングポイントを超えたら取り返しのつかない事態になってしまうんです。そのためにも国に転換を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、ロードマップについては、聞いても具体化が示されませんでした。ロードマップをつくらずに実現できるという根拠は何なのか伺います。

 次に防災です。安心してトイレに行くには今の数では足りないと思います。ベッドが整備されるのも遅いと、滞りなく配置できると言いますけれども、それがいつなのかも具体的に述べていただきたいと思います。トイレやベッドなどが避難所の環境改善、命に関わる問題なんです。それを徹底的に対策を尽くしていくということが必要です。災害関連死を絶対に出さない立場で対策を具体化することを求めますけれども、いかがでしょうか。  

 次に庁舎です。建て替え後とかいう問題ではなく、公表しないというご答弁でした。区長の言う徹底した情報公開ではないと思いますが、いかがでしょうか。現庁舎跡地の売却も否定しなかったと思います。区民の財産を民間に売り渡すということは許されません。きっぱりと売却しないとお答えください。

 次に教育です。区の教育関係の計画には子どもの権利条約の文言はありません。だからこそ、条約そのものをぜひ学習していただきたいと求めています。子どもはもちろん教員や保護者なども条約の学習をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 最後に羽田です。区長自らが行ったアンケートで実態が出されていますので、なぜ実態調査をやらないのか理由を伺います。

再々答弁

都市環境部長

 私からは、気候危機および羽田新ルートに関する再々質問についてお答えいたします。初めに、気候危機への認識でございますが、先ほど区長もご答弁しましたとおり、また、ゼロカーボ ン都市と宣言したとおりでございますが、国際社会の一員として改めてカーボンハーフ、ゼロカーボンに向けた取組を区としてもしっかり行っていかなければいけないというところでございます。区のほうでは、これまでも太陽光パネルですとか高効率の給湯器あるいは蓄電池、そうしたところを含めて、総合的な様々な脱炭素に向けた取組を現在進めているところでございます。重ねてロードマップについてでございますが、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、区の実施計画で年度ごとの削減量についてはお示しをして、過年度で公表されております部門別の削減量、それを検証して、今後どういった取組が必要かというところをしっかり検証しながら、今しっかり取組を進めているところでございます。引き続きカーボンハーフ、ゼロカーボンに向けた積極的な取組を区としては 今後も行っていきたいというところでございます。  

 続きまして羽田新ルートについてでございますが、アンケート結果、自由記述も含む様々な意見を頂いてございます。こうした声、区のほうではしっかり今回国に届けてございます。区のほうでは、実態調査につきましては、これまでも国によって大気環境に関する影響調査、あるいは運航開始前になりますが、不動産価値に関する調査が国により行われ、これは公表されているというところでございます。今回区民アンケートでは、騒音に関する影響が非常に大きい、区民負担としての影響が大きいという結果でございました。区としましては、こうした声をしっかり国に届け、騒音環境軽減に向けた取組を国に対して強く求めたところでございます。区としましては、引き続き国に対し必要な取組とともに区民負担軽減につながる方策の実施を強く求めてまいります。

都市環境部長

 実態調査につきましては、先ほどもご答弁申し上げましたが、大気環境に対する影響調査、不動産価値に対する調査、これは国によって行われてございます。そうしたところは引き続き必要な取組については国のほうに求めていきたいというところでございます。

災害対策担当部長

 私からは、避難所の生活環境と段ボールベッドについての再々質問にお答えいたします。避難所の生活環境、特にトイレのお話をされましたけれども、現在学校に設置をされている常設トイレとマンホールトイレで計算した場合には約3,500基ということで、おおむね二十数名に1基の割合で整備ができるという概算になっております。これは、人口密集地の品川において、区としても現在の国の避難所運営のガイドラインに沿って精いっぱい努力をしているところでありまして、引き続き発災当初、長期化した場合に分けて、それぞれ適切な対応ができるよう、ガイドラインに沿いながらの生活環境の整備については整えていきたいというふうに考えております。段ボールベッドはいつなのかという話がございました。明確にいつということを言うことは不可能でございまして、ベッドは段ボールベッドのみではございません。区では、簡易ベッドであるとか、エアベッド等複数を準備しながら、複合的にそれぞれ協定を結びながら、納入がされれば速やかに配送のできる体制が整っておりますので、その物流体制を生かしながら、しっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えております。

広町事業担当部長

 私からは、検討報告書および対話型市場調査の関係についてご説明申し上げます。広町地区のまちづくりにつきましては、まとまった段階で議会報告を行い、区民の意見を聴取しながら、必要な時期に必要な情報を法令等に基づき適時適切に公表を行い、区民参加の下で進めてまいりたい、このように思っております。

教育次長

 教育についての再々質問にお答え申し上げます。児童・生徒の条約を学ぶ機会、あるいは教職員に対する理解促進のための研修、それから保護者への周知および理解、それぞれ先ほど述べましたとおり、それぞれにつきまして様々工夫をしながら今後も進めてまいります。