2024年07月10日
鈴木ひろ子区議が賛成討論を行いました
陳情第26号「国民健康保険料に関する陳情」、陳情第27号「国民健康保険料の督促に関する陳情」の2本の陳情に対して、一括して賛成討論を行いました。
2024.07.10 鈴木ひろ子 区議
日本共産党区議団を代表して令和6年陳情第26号「国民健康保険料に関する陳情」、陳情第27号「国民健康保険料の督促に関する陳情」の2本の陳情に対して、一括して賛成討論を行います。
本陳情は、品川フリーランスの会から出されたもので、国保料に関する陳情は、国保料の値下げと18歳以下の保険料の無料化を求めるもの、国保料の督促に関する陳情では督促時の赤い封筒をやめるよう求めるものです。
「国保料が高すぎる」これは国も品川区も認める大きな社会問題です。にもかかわらず、今年度過去最大の値上げが強行され、国保加入者をますます追い詰めています。
今回の厚生委員会で、区は、「国保料の負担が重い」との認識を森沢区政になって初めて示しました。国も、区も国保の構造的な問題が「年齢構成が高く、医療費水準が高いこと、所得水準が組合健保の半分以下と低く、保険料負担が大変重い」との認識で一致しているのです。だからこそ、23区区長会も初めて国に提言を出し、国保の危機的な状況を訴え、➀国庫負担割合の引き上げ、②低所得者の負担軽減、③子どもの均等割り額の減額措置の拡大を求めたのではないでしょうか。しかし、国からは何ら改善策が示されませんでした。これだけ、負担が重いことを認めておきながら、国は何ら対策を取らない、そして品川区も対策を取らない。それどころか、過去最大の値上げを強行したのです。これでは区民はますます追い詰められることになります。
3月議会で議決された国保料の支払いの請求がいよいよ6月から始まり、区民生活を直撃しています。その負担がどれほど重いものか、例えば、40代夫婦・未就学の子ども2人の4人暮らし・年収300万円の場合、国保料は年間40万4000円です。月25万円の収入から4万円の国保料が消えていく。これは協会けんぽ・組合健保の2倍以上です。低所得の世帯から2倍超の保険料、これが国保の構造的問題です。物価高は2020年から4年間で平均8%以上の上昇です。そこに国保料の支払いです。
第1回定例議会の陳情で訴えられていた「払いたくても払えない状況で、ただでさえ後ろめたい気持ちでいるのに区からの取り立てに心が苦しくなった。これでは自殺する人も出るのではないか」との切実な声に応えることこそ区議会の私たちに求められているのではないでしょうか。
子どもの国保料については、そもそも徴収すべきではありません。一人生まれるたびに6万5600円もの国保料を取り立てるやり方は、人類史上もっとも原始的で過酷な税とされる古代の人頭税のやり方であり、子どもを持つことに対してペナルティを課すものです。子どもの保険料を徴収するのは国保だけであり、組合健保も協会けんぽも子どもの保険料は取りません。東京都の出生率が0.99、品川の出生率も下がり続け(2022年1.11)少子化が加速する中、子育て支援の観点からも無料化すべきです。
しかも品川区の子どもの国保料:均等割6万5600円という額は、今や全国でも江戸川区の69000円に次ぐ2番目に高い国保料の額になっています。10年前の1.5倍、20年前の2倍超と全国でも安かった均等割額がすさまじい勢いで値上げされ続け、今や全国トップレベルとなったのです。子どもの国保料では23区の親たちに全国1の負担を強いているということです。議会としてこれを見過ごしていいのかが問われていると思います。
区が独自に子どもの国保料無料化をする場合に必要な額は、1億5000万円です。区の一般会計2036億円、基金900億円超という財政からは十分実現できるものです。制度的にも国保法77条で自治体独自の減免制度はできる規定になっています。それを活用し、今年、全国でも70の自治体で子どもの国保料減免制度を実施し、茨城県取手市、群馬県渋川市では今年、18歳以下の子供の国保料無料化に踏み出しました。社会保障の削減路線を続ける国任せにしているだけでは実現しません。学校給食費や学用品無料化につづけて、品川から子どもの国保料無料化を実現させようではありませんか。
次に、滞納者に対する督促状を真っ赤な封筒で送りつけることはやめてほしいとの陳情についてです。みなさんも、ポストに真っ赤な封筒が入っていたらどんな気持ちになるでしょうか。私は、ドキッとすると同時にゾッとする思いです。国保料を滞納する方は、多くが生活困窮で払いたくても払えない方です。様々な支払いや日々のやりくりに悩みぬいている時にこれでもかと追い打ちかける赤い封筒、自治体としてこんなやり方でいいのかが問われてると思います。区は、「他の封筒に紛れてしまわないよう目立つ色とした」と言いますが、それであればむしろ開けたくなるようなきれいな色やデザインにすべきです。真っ赤な封筒は「脅して取り立てる」発想であり、むしろ逆効果です。滞納となってしまった方からも「精神的に弱っている時に真っ赤な封筒を見るとさらに具合が悪くなる。中を見ないで即ごみ箱に捨てる」と聞きました。
この間、委員会や本会議の討論で滋賀県野洲市の取り組みを紹介してきました。区の姿勢を、脅して取り立てるやり方ではなく、野洲市のように「滞納は市民からのSOS」と捉え、徹底して生活困窮者に対する生活再建の支援につなげるとの姿勢に転換することが求められています。
野洲市は「くらし支え合い条例」をつくり、「組織及び機能の全てを挙げて、生活困窮者等の発見に努める」そして「生活上の諸課題の解決及び生活再建を図るため、相談、必要な情報の提供、助言その他の支援を行う」と明記。また、野洲市債権管理条例・債権管理における課題と取り組みでは「ようこそ滞納いただきました」「滞納は生活状況のシグナル」と明記し、「市民生活を壊してまで回収はしない」「滞納を市民生活支援のきっかけにする」と打ち出しています。体制もとって納税相談、借金などの法律相談、失業や労働相談、介護福祉分野の相談を入り口に生活困窮者を見つけ、生活再建の支援につなげる。その結果、「差し押さえによる一時的な徴収よりも、生活再建を経て納税していただく方が、長期的な納税額が大きい」と効果が報告されています。また、頼りがいのある行政、市民生活の安定こそが今後の長期的な納付意欲の向上につながると述べています。滞納者に寄り添い、生活再建の支援を徹底することこそ自治体の役割であり、長期的には自治体財政にとってもプラスになるということです。弱っている滞納者をさらに追い詰める真っ赤な封筒は止めるべきです。
国の社会保障削減路線が、国保の都道府県化、法定外繰り入れの廃止を打ち出し、とてつもない保険料値上げを引き起こしました。低所得者に対して他の健康保険の2倍もの払いきれない保険料に値上げし、滞納者には真っ赤な封筒で脅す、このやり方の転換を求めていこうではありませんか。2つの陳情の採択を呼びかけ、賛成討論とします。