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2024年07月10日

安藤たい作区議が賛成討論を行いました
陳情第32号「大崎駅東口第4東地区市街地再開発の内容見直しを求める陳情」への賛成討論を行いました。

2024.07.10 安藤たい作 区議

 日本共産党を代表して、陳情第32号「大崎駅東口第4東地区市街地再開発の内容見直しを求める陳情」への賛成討論を行います。

 大崎駅東口第四地区は、山手通りを挟んで大崎ゲートシティの向かい側の約4.1ヘクタールの敷地に、東・西地区あわせて4棟の超高層含む計5棟のビルを建てる計画です。陳情が出された第四東地区には、会社のビルのほか既存の3棟のマンション約110世帯が含まれており、多数の住民も住んでいますが、都市計画法の定めによりマンションは一棟で一人の権利者と数えられるため、資料によれば権利者総数は20名程度とされています。136m35階建て約730戸のマンションと、21階のオフィスビルを建てる計画で、開発協力企業には、東京建物、旭化成不動産、住友商事が名を連ねています。地権者向けの説明資料によれば、昨年秋の段階で事業費は約950億円、補助金、つまり投入される税金は150億円と見積もられています。

 本陳情は、再開発地域内にあるマンションに住む10名の権利者から提出されたもので、「このまま住み続けたいという居住者も沢山いるので、権利者一人ひとりの意見を踏まえ計画を根本的に見直してください」、そして「このまま行政の重要な方針決定となる都市計画手続きに入ることは反対です」と率直に求めています。

 その上で、以下の声、「明け渡した後の居住も高齢者の契約はハードルが高く、高齢者を置き去りにしないでほしい」「終の住処として購入したので転居するつもりはない。強く反対する。うちのマンションを除いて話を進めて下さい」「40数年にわたりこの部屋で暮らしてきたが、どうしても同じ面積というのであれば1500万円ほど用意をしてほしいと言われ、困惑している」などの住民の反対と不安の声が紹介されています。

 このマンションは、全て南向きの部屋で、山手通りに面し駅にも至近の好立地です。再開発マンションに組み込まれれば、同条件の部屋確保には多額の持ち出し金が必要となり、これまで以上の多額な管理費もかかり、2度の引っ越しも相当の負担になります。「ここで最後まで暮らしたい」と望む方が多数いるのも当然です。

 私は、陳情が出る以前の今年の2月、陳情者の方の相談で、一緒に区長あての「高齢の居住者が不安を抱えるまま、事業者が都市計画手続きを推進することはやめさせてほしい」という内容の陳情文を出しに、担当課をたずねたことがあります。その場で区は「反対の声があるということは初めて認識しました」と述べました。私はこれを聞き、市街地再開発とはどれだけ長い間計画されてきたとしても透明性は確保されず、いかに一部の開発企業と一部の地権者だけで水面下で検討されているものであるか、また、いかに区が開発推進の準備組合事務局などの開発企業の話ばかりを聞き、開発への反対や不安を抱える住民の声を聞く姿勢が欠けているかを痛感いたしました。

 再開発とは、そこに元々住んでいた住民が持っていた土地や権利を差し出させ集約した敷地の上に、ディベロッパー=開発企業が超高層ビルを建て利益を上げる営利事業です。地権者住民の協力なしには成り立ちません。にも関わらず、元々住んでいた住民が開発事業のために犠牲になるとは、あまりに理不尽です。

 今回の陳情署名に名を連ねた10名は、全て区分所有者、権利者だと伺っています。56世帯の当該マンションで決して少ない数ではありません。区も陳情審査の中で「7割の方は前向きだと聞いている」と答弁していますが、逆に言えば3割もの住民は置き去りだということです。さらに、このマンション自体、開発準備組合の理事会・総会等で一度も賛成表明をしたことはありません。マンション一棟=1人と数える都市再開発法の定めでみれば、開発地区内の権利者19人のうちの1人、19分の1かもしれませんが、56世帯ものマンション丸ごと一棟が賛成していないのに、都市計画決定に向けた手続きに入っていいのでしょうか。区は、行政は、そのような判断を下すのでしょうか。これは住民主体のまちづくりとなどとは到底言えません。こんなことを区は主導、推進すべきではありません。

 区は陳情審査で「行政がこの計画を進めているものではない。支援はしてきたが、地域主体で進められているもの」と言います。また、都市計画手続きに入る判断材料として、事業者から出された企画書案をみて「都市計画事業として適正かどうかで判断する」と繰り返します。また、「一人でも多くの人の不安をなくすことをやっていきたい」とも言います。つまり、都市計画手続きを進めるにあたり、住民合意はさほど問題にしていません。ましてや住民合意を区が自ら確認する考えは持っていません。こんな姿勢で、ひとたび決定されれば地区計画にのっとり土地等の利用制限までかかる重大な都市計画決定手続きを始めてよいのでしょうか。いいわけありません。

 過去の例を見れば、都市計画手続きに入れば、その後の法に基づいた説明会や意見書提出で出された意見が計画変更に反映されることはほぼ無く、約半年程度で都市計画審議会、都市計画決定と進んでいくことは明らかです。今、立ち止まることが必要なのです。

 議場の皆さまにおかれましては、今回の陳情を採択し、本再開発計画は一旦立ち止まり、一人ひとりの住民の声を丁寧に聞いて計画を練り直し、ディベロッパー主導のまちづくりから住民本位のまちづくりへの転換の第一歩を踏み出させようではありませんか。以上で私の賛成討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。