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2024年12月05日

安藤たい作区議が賛成討論を行いました
「品川区行政と事業者の懇談会を行う陳情」に賛成の立場で討論を行いました。

2024.12.05 安藤たい作 区議

 日本共産党品川区議団を代表して、陳情第54号「品川区行政と事業者の懇談会を行う陳情」への賛成討論を行います。

 本陳情は、複合的な要因で苦しんでいる品川区内の小規模事業者等と品川区行政との懇談会を実施し、行政が事業者の実態を把握し、ひいては支援策の拡充と充実を求めるものです。

 度重なる消費税増税や雇用の非正規化推進、インボイス強行などの経済失政に加え、コロナや未曽有の物価高騰が襲い掛かり、区内の小規模事業者・個人事業主・フリーランスの方々は事業継続が厳しくなるほど追い詰められています。陳情ではその窮状の原因を「コロナ時に事業持続化のためにやむなく借りた融資の返済、仕入れ価格高騰、インボイス制度の開始、いまなお安定しない円安、ガソリンや電気代をはじめとしたエネルギー価格の大きな負担などここ何年も続く複数の原因によるもの」と述べていますが、いずれも個々の事業主の努力の範疇を超えたもので、区も含めた政治の役割こそ求められています。

 以下、賛成の理由を3点述べます。

 1点目は、品川区内の事業者の実態把握は、地域産業振興政策立案の出発点であり、基本だということです。

 陳情者の方は、「品川区の行政と事業者たちが懇談会を行い、実態を把握してもらいたい」「事業者の生の声を聞く事により地域の補助や支援が今まで目に見えずに手が届かなった事業者も受ける事が出来、最適化されるのではないか」と述べています。その通りだと思います。いま現場で何が起きているのか。何に苦しんでいて何が必要とされているのか。実態を把握することは、全ての政策立案の原点であり、大前提にしなくてはいけません。この事を否定する政治家や行政はどこにもいないと思います。

 2点目は、実態把握のためには懇談会が必要だということです。

 陳情者の方は新宿区内でも勤務しており、新宿区で文化観光産業部産業振興課の2名の職員と事業者関係者の懇談の機会に実際に参加した経験を記しています。紹介します。

 「飲食店などの補助金問題などをその場で解決した問題もあったり、事業者が抱える税の問題の実態に対しても非常に興味深く、聞いていただけで建設的で前向きな懇談会となった。その中でも特に印象的だったのは、終電時間がコロナ前と同じ時刻に戻らないために廃業するラーメン屋や居酒屋があるとの店舗のオーナー達から聞いた。・・・終電とコロナとラーメン屋の因果関係を聞くまでは行政も分からなかったとコメントしている。もちろん地域行政が電車の終電時間を変えられるわけではないが、把握する事によって別の提案などもされた。ラーメン屋などの飲食店だけでなく、クリエイター、職人などが廃業していく理由は複合的かつケースバイケースだ。これらは実際に聞いてリサーチしないと浮かび上がらない事実も多い」

 このように、懇談による効果は既に実践で裏付けられています。品川区でも行うべきです。ましてや、区と議会の最大の使命は、区民の暮らしと営業を守ることです。窮状を抱える当事者からの陳情による願いに、応える区政、議会であるべきです。

 陳情審査で私は、区の地域産業振興課に区内小規模事業者の数について尋ねると、区は国の経済政策統計を引き、「区内事業者数は19,897社で、20人以下の事業所は全体のおよそ7~8割」と答えました。では、個人事業主・フリーランスのおかれた実態はつかめているのか。区は、経営相談窓口に年間3640件の相談が来ており、それ以外にも専門家の派遣や、助成金説明会の開催や、各創業支援センターでも相談を受け、そうした場で十分に声を聞いている。現状のやり方で事業者の声は把握できているからと、懇談会の開催に背を向けました。しかし、9月24日の総務委員会でのインボイス影響調査を求める陳情の審査で区は「年間3,000件、4,000件といった経営相談の対応がございますけれども、インボイスに関連したような直接的な相談は、我々、認識してございません」と述べています。この答弁からも、現状の相談窓口のみの対応で、クリエイター含む個人事業主・フリーランスの実態を十分に把握できていると言えないことは明らかです。

 また、こうした個別の相談の場では、政策立案の権限を持つ部課長自らが生の声を直接聞く機会にはなりません。だから、区長のタウンミーティングはじめ、区は個々の相談会とは別に、ヒアリングの場を様々な規模で様々な団体・個人ともっているのだと思います。

 現在の個別の相談の枠組みに相手が来るのを待つだけではなく、区は積極的な呼びかけに応え、声をつかむ懇談会を開催することが新たに必要です。

 3点目は、とりわけ、インボイスが区内産業に与えている実態をつかむには、住民に身近な基礎自治体である品川区自らが動かなくてはいけない必要性が出てきたという点です。

 インボイス制度が小規模事業者・フリーランスに取引停止など大きな影響を与えていることが、フリーランスの会の7000人実態調査、品川フリーランスの会のアンケート調査でも明らかになりました。同会は先の第三回定例会に、品川区としても影響調査を行うことを求める陳情を提出しました。陳情は委員会では採択されましたが、本会議では自民党としながわ未来が反対討論を行い逆転不採択となりました。そこで自民党が陳情に反対の理由として挙げたのが、国・中小企業庁が10月22日から始めた「インボイス制度導入に係る取引実態調査」でした。しかしその後、フリーランスの会の調査により、これが実にずさんで疑惑にまみれたものだということが明らかになったのです。

 インボイスは発注者などの課税業者にも多大な影響があるにも関わらず、課税業者は調査の対象外にしているという、内容の問題点。課税売上が1000万円以下の免税業者を対象とし、ハガキを無作為抽出で郵送した5万社のみ調査対象とするはずだったのが、インターネット検索で誰でもアクセスし回答できてしまう仕様となっており、故意に操作することでいくらでも改ざんできてしまうというシステムの欠陥。これは、中小企業庁担当課にも問い合わせたところ、「ご指摘を頂いていることは承知している。正しいデータが取れているか、調査としてどうなのか、そこも含めて確認しなくてはいけないと考えている」と述べ、問題を認めています。さらに、委託で行われた今回の調査の受注先が中小企業庁の元長官の息子が経営する会社だったという事実も判明。そこが行った調査がこれほどずさんな中身だったわけです。「公平、公正な入札の結果、そうなっただけ」との中小企業庁の説明には到底納得いきません。

 この国の調査をもって、品川区が調査をやらなくてもよい、とはならないことはもはや明白です。そうである以上、自民党の皆さんやそれに賛同して先の陳情を本会議で逆転不採択にした皆さんにはこの新事実を直視して頂き、区がインボイスの影響を含めた区内小規模事業者・フリーランスの実態をつかむ機会、懇談会開催を促す当陳情には、ぜひとも賛同し採択して頂きたいと思います。

以上で私の賛成討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。