2025年03月21日
石田ちひろ区議が令和7年度予算特別委員会 総括質疑を行いました
2025.03.21 石田ちひろ 区議
質問項目
同和問題について
石田(ち)委員
のだて委員に続いて総括質疑を行います。
私からは、同和問題についてとジェンダーについて伺います。
まず、同和についてです。款別審査でも伺いましたが、私たちはアポを取った上で、同和生活相談室を視察に行きましたが、相談室は見せてもらえず、事務室にすら入れてもらえず立ち話。どんな相談があるのか言えない。相談記録は月に1回程度の報告でしか把握できず、事務職員も記録は見たことがないなど、こんなに実態がつかめない視察は初めてでした。改めて、同和相談の年間件数、実人数、相談手段別の件数、相談内容、そして新年度予算で同和の新聞・雑誌購読料や研修費など、それぞれの額と、同和に関わる予算の総額を教えてください。
柏原区長室長
それでは、同和関連に関する実績等々のご質問でございますけれども、まず同和の相談の年間の件数でございます。こちらは令和5年度になりますけれども、年間相談件数が368件、それから実人数で申しますと188人となります。それから、相談種別ごとで言いますと、電話での相談が216件、来所しての相談が78件、出張しての相談が74件で、計368件でございます。
それから、相談の内容でございます。様々ございますけれども、教育・保育に関するものが103件、あと生活全般に関するものが6件、あと税・金融などが3件等々ということで、その他があと250件以上といったところでございます。
それから、新年度での予算の部分でございますけれども、新聞・雑誌等の購読でございます。これは、同和関連に関するものでございますけれども、新年度予算に計上した額が333万2,000円余でございます。それから、同和に関する研修費でございます。こちらが151万円余ということでございます。
総額で申しますと、620万円余が同和に関する予算ということで計上させていただいてございます。
石田(ち)委員
総額は、所管を超えて計上されているものも合わせますと、私たちの計算では約1,540万円ほどになります。これだけの予算をかけているのに実態がつかめない。こうした税金の使い方は間違っていると思います。今や23区で同和相談室を設けているのは、品川区を含めて6区程度です。差別は同和だけでなく、様々な差別があります。同和差別の実態がどのようにあるのか明らかにされない中、同和だけ相談室を特別に設けることや、意識調査であえて同和について聞くことは、逆に差別を生み出すことになると思いますが、いかがでしょうか。同和相談は一般の人権相談と統合して、特別扱いは見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
柏原区長室長
現在の日本社会におきまして、同和問題はもとより、例えば外国人の差別、優生思想や障害者への差別、それからジェンダーギャップなど、様々な人権課題といったものが内在しているといったところでございます。これらの課題につきましては、それぞれに固有の問題を抱えているところではございますけれども、今年度新設しております人権・ジェンダー平等推進課を中心といたしまして、不断のアップデートを図りながら、より一層、時代に即した人権施策を展開してまいりたいと考えているところでございます。
石田(ち)委員
ぜひ見直していただきたいと思います。
ジェンダーについて
石田(ち)委員
次に、ジェンダーについて伺います。品川区では昨年、ジェンダー平等推進条例が制定されました。共産党はジェンダー平等を綱領に掲げ、誰もが尊厳を持って自分らしく生きることのできる社会を目指し、取り組んでいる党として、品川区のジェンダー平等をさらに前に進められるよう、力を尽くしていきたいと思っています。本条例をつくる際の検討委員会では、委員から、「この検討委員会ができたこと自体、新しい風が吹いていると感じる」、「条例が欲しいと思っていたが、区長が替わったらすぐ条例の話が出てきた」など、変化への歓迎の声、期待の声が次々と上がる状況でした。一方、なかなか進まない大本には、家父長制を重んじる古い支配体制を維持し、男らしさ・女らしさを押しつけてきた時代錯誤の勢力によるバックラッシュがあります。品川区の条例制定に向けたパブリックコメントでは、条例を否定し、LGBTを攻撃する内容の反対意見が多くあり、バックラッシュがあることを私も改めて認識しました。条例制定から間もなく1年。この間、どんなバックラッシュがあったのか。また、これまでジェンダー平等に取り組む中で、見えてきた課題があればお聞かせください。
柏原区長室長
条例制定後の課題等々でございます。
今、委員からバックラッシュというようなお話を頂きましたけれども、バックラッシュと言い切れるかどうかというところはあるのですが、内容といたしましては、例えばこの条例の必要性についてどうなのだというようなお声は頂いているところでございます。
また、課題というところでございますけれども、活動してきている中で感じているところでは、性的役割分担やアンコンシャスバイアスについてのご意見があるといったところは、課題があるのだろうというところもございますし、女性だけではなく男性の生きづらさといったところのご意見もあったりするところでございますので、こういったところは課題といったところで考えているところでございます。
本条例におきましては、9つの基本理念などについて、機会を捉えて周知・啓発を行ってきているところでございます。今申し上げたところですけれども、様々なご意見があるといったことでございますけれども、これがまさに多様であるといったことでもございます。これからも引き続き、条例の基本理念等について、SNS等も使いながら、周知を含め、丁寧にお伝えし続けていきたいといったところと、講座やフォーラムなどの事業といったところも、様々な立場や困難にある方に参加していただける内容となるように、周知・啓発に努めていきたいと思ってございます。
石田(ち)委員
バックラッシュについては、常にジェンダー問題に付きまとってきますので、ジェンダー平等を願う区民と共にはねのけ、前へ進めていただきたいと思います。
条例制定に伴って、様々な講座やフォーラムなどを積極的に実施していると思います。私たちも参加してきましたが、大変勉強になります。取り組まれてきた講座や、その中身、参加者からの感想などを幾つか教えてください。
柏原区長室長
今年度、ジェンダー平等推進センターにおいて、全8回の講座を実施して、幅広い内容を取り上げているところでございます。
今年度の主なもので申し上げますと、女性のための防災講座、それからワーク・ライフ・バランス講座、また男性のための生き方講座などを実施してきております。防災講座におきましては、家の備蓄品を見直す、家にあるふだん使っているものを確認する、また改めて災害時の準備をするといった感想があったところでございます。そのほかのものでも、悩んでいる者は自分だけではなかった、新たな気づきがあった、また参加したいなどの感想なども頂いて、より高い評価を頂いているといったところでございます。
石田(ち)委員
様々、講座をやられているわけですけれども、私は昨年の11月の斉藤章佳さんを講師に迎えた講座に参加させていただきました。この講座の参加人数と中身を具体的に教えてください。
柏原区長室長
斉藤章佳氏をお迎えしての講座の内容でございます。
こちらにつきましては、11月22日に、DV講座というテーマにしまして、斉藤章佳氏を講師にお招きして、「性暴力から身を守るために知っておきたいグルーミング-加害者臨床の知見を通して考える-」といった内容で実施したものでございます。参加人数といたしましては17名、会場参加が8名でオンライン参加が9名といったところでございます。内容といたしましては、性暴力をする人がどのような人であるのか、加害者側の知見を通じて、斉藤さんが実際に見てきた人たちのことについてのお話。そういった、加害者がいかにして子どもたちに対するグルーミングを行っていくかというような内容で実施したものでございます。
石田(ち)委員
ありがとうございます。
性加害者には正しい対応が必要で、被害者に対して大変なことをしてしまったとしっかり反省させることが大事です。対応が適切でないと加害者にとっては、この程度で済んだという負の成功体験となり、加害を繰り返すことにつながっていくとのことで、本当に勉強になりました。今、小・中学校で全国的に起こっている、子どもによるタブレットによる盗撮や、一部の教職員による子どもへの性加害など、正しく対応しなければ、ゆがんだ性への認識になり、将来の加害者を生みかねません。対応する教員や職員、大人が正しい対応を学ぶことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。また、今後の講座の周知をさらに広げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
柏原区長室長
今後の展開の部分でございます。
性暴力や加害者に対する対応といったところで、教員や職員、大人の方への対応ということでございますけれども、今年度から様々な方に参加していただけるように、こういった講座の開催時間を平日夜間に統一して、広報しながわやSNSでの周知。また対面とオンラインを併用した形での実施してございます。来年度も、いろいろな方に様々ご参加いただけるように、内容や周知を様々工夫して実施してまいりたいと考えてございます。
石田(ち)委員
ぜひ広げていただきたいと思いますし、将来の加害を防ぎ、被害者を生まない対応を、ぜひ大人にもしていただきたいと思います。
続いて会計年度任用職員について伺います。賃金格差の是正は、ジェンダー平等を築く土台中の土台です。品川区はこの間、部課長に女性が増えていると思います。現在、区の管理職の女性の割合を教えてください。
女性が8割を占める会計年度任用職員ですが、1年ごとの公募はやめ、継続雇用を求めたところ、公募によらない任用制度をできるだけ早い段階で導入するとのことでした。歓迎したいと思います。さらに、同一価値労働同一賃金を求めたいと思います。款別審査でも言いましたが、会計年度任用職員の多くの現役世代の女性が、一定の勤務年数がありながら、また正規職員と同じ仕事をしながら、待遇が大きく違う中で働いています。まず、正規職員にはあるが会計年度職員にはない制度や手当、それと、正規職員の休暇で有給だが会計年度任用職員は無給のものを教えてください。また、正規職員と同等にするよう求めますが、いかがでしょうか。
柏原区長室長
まず、女性管理職の割合でございます。
令和6年4月1日現在の数字でございますけれども、管理職96人のうち女性管理職が18人といったところでございまして、割合にして19%ということで、昨年度に比べて人数・割合とも増加しているところでございます。
それから会計年度任用職員の制度面等のご質問でございますけれども、まず処遇面の違いのところでございます。例えば、扶養手当、住居手当、退職手当といったところが正規職員にはございますけれども、会計年度職員には現在のところないといったところでございます。また、休暇制度の有給・無給の違いで申しますと、病気休暇、妊娠通勤時間、それから育児時間などが無給といった形になってございます。あと、有給・無給というところではないのですが、夏季休暇で申しますと3日間というところで、正規職員は5日ですので、そういったところの差もございます。
今後の展開の部分でございます。今申し上げました処遇改善の部分でございますけれども、これは本会議の中でもご答弁申した部分ではございますが、令和2年度から期末手当、また今年度から勤勉手当の支給も開始されているところでございます。さらに今年度、人事委員会勧告によりまして、多くの職で増額改定がされているといったところがございまして、この間、着実に処遇の改善が図られているといった認識は持ってございます。一方で、現在、年度ごとの任用であることから導入していない経験加算や、公募によらない再度の任用制度などにつきましては、他自治体の状況などを調査・検討するとともに、常勤職員、国、他自治体、民間などとの均衡を踏まえて、これからも適切に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
石田(ち)委員
周りの他自治体の状況を見ながら検討ということですけれども、23区で見ますと、会計年度任用職員の病気休暇が、今、品川区は無給なわけですが、有給にしている区は13区、来年度からは有給化する区が3区ということで、計16区です。また、経験加算がついている区は6区あります。賃金格差はジェンダー平等を築く上で土台中の土台ですので、条例を持つ区として、同一価値労働同一賃金を一日も早く進めていただきたい。これは強く要望しておきたいと思います。
次に、昨年、第4回定例会で、私の一般質問で、選択的夫婦別姓の実施を国に求めようとの質問に、区長は「私としては早期に実現すべきものと考えている」との答弁でした。前区長のときの答弁はずっと、「通称使用の拡大で対応できる」でしたので、大きな前向きな変化であり、重要です。以前の区長会で、杉並区長の呼びかけで、同性婚法制化を求める要請書を、森澤区長を含む9区の区長が連名で国へ提出。今度はぜひ森澤区長の呼びかけで、選択的夫婦別姓実現の要請をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
続けて、リプロに行きたいと思います。リプロダクティブ・ヘルス・ライツについての区の認識を伺います。
柏原区長室長
まず、選択的夫婦別姓の部分でございます。
こちらにつきまして、選択的夫婦別姓の導入につきましては、一義的には国会において議論されるべきものということでございまして、現在、国で議論が進められているといったところでございます。今後も国の動向を見守ってまいりたいと思ってございます。
なお、今ご紹介がありましたけれども、森澤区長においては、先般の第4回定例会にてご答弁したとおり、選択的夫婦別姓については早期に実現すべきものと考えているところでございます。
それから、リプロダクティブ・ヘルス・ライツでございます。こちらの、まず区としての認識というご質問であったかと思います。これにつきましては、女性は妊娠・出産する可能性がありまして、ライフサイクルを通じて、男性とは異なる健康上の問題に直面するといったことがあります。こうした問題の重要性について、男性を含め、広く社会全体の認識を高めるための理念と考えているところでございます。
石田(ち)委員
選択的夫婦別姓のところは、ぜひ区長に答えていただきたかったなと思います。
ぜひ進めていっていただきたいと思いますが、リプロダクティブ・ヘルス・ライツは、今、認識を言っていただきましたけれども、性や妊娠、出産など、生殖に関わる全てにおいて、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、子どもを産む・産まない、いつ何人子どもを持つかなどを自分で決める権利です。そのために必要な情報やサービスを得ることが保障されるというのが、リプロダクティブ・ヘルス・ライツです。品川区はリプロを、選択する権利と捉えているのか、伺いたいと思います。それと、本来10種類ほどある避妊方法も知らされておらず、自分に合った避妊方法を女性自身が選び、自分で自分の体のことを決めることができるということを知りません。リプロは権利であるとの立場に立ち、望まぬ妊娠で苦しむ女性を生まない対策を、区として取ることが求められていると思いますが、いかがでしょうか。また、緊急避妊薬があることや入手方法などを、区として発信していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
柏原区長室長
私からは、リプロダクティブ・ヘルス・ライツの部分についてお答えいたしますが、女性はライフサイクルの中で妊娠・出産などがある場合に、様々な健康上の課題に直面することが考えられるといったことから、誰もが健康で自分らしく、充実した人生を生きるために、性や生殖などに関わることについての自己決定が肝要と認識しているところでございます。
生活におきましては、女性だけの問題ではなく、広くは男性にも関わる問題であることから、女性だけでなく男性にも広く、リプロダクティブ・ヘルス・ライツの重要性が広まるよう、今後も取り組んでまいりたいと考えてございます。
阿部健康推進部長
私からは、望まぬ妊娠で苦しむ女性を生まない対策についてお答えいたします。
区では、ジェンダー平等推進センターで実施しているジェンダー平等推進講座や「ユースヘルスケアしながわほけんしつ」などを通じて、広く、性に関する啓発や相談に取り組んでおります。緊急避妊薬につきましては、現在、一部の調査・研究事業を除きまして、処方なしの販売は認められておりません。対面またはオンラインで医師の診察と処方を受ける必要がございます。
現在、厚生労働省のホームページにおきまして、緊急避妊の対面診察が可能な医療機関、および調剤が可能な薬局の一覧を掲載しており、東京都も対応できる医療機関の検索サイトを公開しております。こうした状況を踏まえまして、区のホームページ等による周知につきましては、情報を伝える対象や内容等について慎重な検討が必要であることから、区薬剤師会と情報交換するなど、引き続き調査・研究をしてまいります。
石田(ち)委員
リプロにおいて「自己決定」と言っていただいたのは初めてだと思います。自分で決められる権利だというところまで言っていただきたいと思います。リプロはジェンダー平等を進める上で大変重要ですので、よろしくお願いしたいと思います。
共産党は、ユースクリニックの設置を求め、今年1月からユースヘルスケアしながわほけんしつが本格実施されています。運営するピルコンとはどんな団体か、また相談件数と、どのような相談が多いのか教えてください。そして、対象年齢の拡大を求めますけれども、いかがでしょうか。
佐藤子ども未来部長
ユースヘルスケアしながわほけんしつについてお答えいたします。
まず、本事業を委託しているNPO法人ピルコンについてです。当団体は2013年に設立され、性の健康の啓発等を行っております。これまでに、心や体をテーマとしたイベントや講演会を実施しており、また東京都の「とうきょう若者ヘルスサポート(わかさぽ)」にも参画するなど、若者の心と体の健康相談の分野で豊富な実績ある事業者と認識しております。
次に、事業の相談件数等についてです。相談件数は、本格実施となってもうすぐ3か月となりますが、延べ100件ほどとなっております。相談内容についてですが、心と体それぞれについて、幅広い相談が寄せられており、人間関係の悩みであったり、性自認、体の変化等に関する相談が多い状況ですが、年の近いスタッフにより、よい雰囲気・距離感の下で事業を実施しております。
最後に、対象年齢の拡大につきましては、まだ事業が始まって3か月少しというところですので、状況を見ながら、適宜対応していきたいと考えております。
石田(ち)委員
なかなか性教育が進んでいない下ですので、多くの世代が心と体の件については不安を抱えていると思います。ぜひ拡大していただけたらと思います。
ユースヘルスケアしながわほけんしつを運営するピルコンですけれども、生きづらさの悩み相談、そして性自認や性についての相談、避妊に失敗してしまったかもという相談もあるとのことでした。緊急避妊薬があることなど、情報提供もされているということですので、ぜひ引き続き、対象も拡大して進めていっていただきたいと思います。
ピルコンは包括的性教育を各地域で実施していて、若い世代のスタッフや地域や学校に入って性教育の話をしていますけれども、品川区でもぜひピルコンに性教育をしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
米田教育次長
学校における性に関する教育については、産婦人科医等の外部講師と連携するなど、子どもの実態に応じて実施しているところです。今後、ユースヘルスケアしながわほけんしつとも連携し、そこで得られた子どもや保護者のニーズや取組結果を踏まえ、教育の展開の仕方について検討してまいります。
