2025年07月10日
安藤たい作区議が「小山三丁目第一地区市街地再開発準備組合令和6年度第一回臨時総会検証を求める陳情」「小山3丁目再開発の中止を求める陳情」への賛成討論を行いました。
2025.07.10 安藤たい作 区議
日本共産党品川区議団を代表して、令和7年陳情第17号「小山三丁目第一地区市街地再開発準備組合令和6年度第一回臨時総会検証を求める陳情」ならびに陳情第23号「小山3丁目再開発の中止を求める陳情」への賛成討論を行います。
小山三丁目第一地区は、武蔵小山駅前に現在建っている2棟のタワーマンションに加え、アーケードをまたいだ敷地に更に40階建てタワマンを建てる計画。現時点で想定される事業費は963億1,000万円、税金投入は事業費のおよそ4分の1にあたる229億8,000万と莫大な額にのぼります。
今年5月に再開発本組合設立申請書が出され、区が受理、6月に東京都に送付されました。申請が認められ再開発組合が立ち上がると、転出申出の受付や権利変換等の手続きに入り、それが終わると地区内の資産は組合の所有になり、強制執行など法的な強力な権限も組合に与えられることになります。
陳情17号は、開発区域内のマンション地権者が、土地所有者や借地権者に比べ同じ一人の権利者であるにも関わらず、計画の賛否にあたりあまりに小さい権利とされていることを検証するため、本組合申請を決めた臨時総会の参加人数など成立状況や資金計画・工期計画を明らかにするよう求めるものです。陳情23号は、巨額な税金を投じ住民と商店を追い出しまちを壊す小山三丁目地区の開発中止を求めるもので、101名の署名とともに提出されています。
以下、2点賛成理由を述べます。
1点目は、35人もの権利者が不同意のまま、区が再開発本組合設立申請書を受け付けて東京都に送付したことは、区の責任が問われる問題だからです。
委員会審査で明らかになったことは、少なくない相当人数の地権者が取り残されたまま、認可申請がなされたという事実です。区は84%が再開発の同意書を提出し再開発に同意していると説明します。都市開発法では、マンションは一棟全体で1人の地権者と数えられるため、当該地区の法律上の地権者数は62人とされます。したがって、同意率84%ということであれば、同意していない地権者は約10人となりますが、実際は異なります。地区内に分譲マンションは5棟あり、マンション区分所有者は148人いるので、再開発に同意せず、取り残された地権者数の実人数は土地所有者・借地権者合わせると35人前後にのぼり、3.5倍に増えるのです。
区長は2月の本会議で再開発について、「まちづくりの主体は、そこに住む地域住民である。今後もまちづくりに関する住民の様々な声に耳を傾けていく」と述べました。しかし、主体であるべき地域住民の一人である地権者を、これだけ多くの人数を、置き去りにしたままの組合認可手続きが果たして正しいのでしょうか。よく考えて頂かなくていけないと思います。
また、都市再開発法案に対する衆院国会決議には、「市街地再開発組合の設立にあたっては、事業内容を周知徹底し、同意を得られない者の立場を十分に考慮して、極力円満に設立手続きを進めるよう指導する」とあります。
私は「区が行った申請書の東京都への送付は取り消すべきだ。国会決議と照らして整合性が取れているというならその根拠は何か」と質しましたが、区は「現段階では今この数字が同意が取れる、ご理解をいただける状況という認識の下、東京都と相談した上で事業認可を進めている」「今現在やるべきことはきちんとやった」と答弁しました。また、「都市開発法7条や17条で認可申請書類については法令に違反していないこと、不備がなければ認可しなければならないとある」「時間をかけて地権者の合意をとってきた準備組合の申請書を中止するような権限はない」とも述べました。
いずれも開き直りと言わなくてはいけません。区の答弁のように、区は東京都と、再開発準備組合は区と、いずれも綿密に相談しながら手続きは進められているはずです。であるならば、区がやるべきは、区長答弁の立場に立ち、「35人も残している、このような段階では組合設立申請は受付けられない。不同意の方とよく話し合いなさい」と指導することではないでしょうか。それをせず東京都に認可申請を送付した今回の区の行為は、国会決議に反していると言わざるを得ません。
賛成理由の2点目は、再開発本組合設立という重大問題を決めるにも関わらず、決議にあたって再開発に賛成しない地権者を排除して進める非民主的な進め方の問題です。
驚いたことに、再開発に賛同しない地権者が今回の本組合設立申請を初めて知ったのは、申請後、組合のニュース、チラシによってでした。区によれば、申請書を受け取った後、申請書を出したということはきちんと地区内の人に知らせてほしいと準備組合に言い、まちづくりニュースという形でビラが配布された、とのことです。つまり、再開発準備組合は、認可申請を決める総会の案内もせず、その日程すらも知らせず、再開発に賛同をしていない権利者を排除して、手続きを進めたということになります。武蔵小山駅前に何十年も暮らし続けてきた権利者の財産、高齢者にとっては健康や命に関わる住環境の激変という問題について、その決定に関わる事項が、権利者に知らされることなく決定され、決定後に区に提出されてから知らされるとは、住民無視もはなはだしいと言わざるを得ません。区長の、「まちづくりの主体は、そこに住む地域住民」との答弁とも大きく矛盾し、また、憲法29条にある財産権の侵害です。憲法29条は「正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」と公共の福祉に関わる場合は例外として挙げていますが、今回の230億円の税金が投じられるこの小山三丁目第一地区再開発事業が「公共の福祉」だと胸を張って言えるでしょうか。マンション高齢者世帯をはじめ弱小権利者や商店を追い出し、ビル風や日照など環境を悪化させ、人口集中で駅などのインフラにも多大な影響を与え、親しまれた商店街を大きく変貌させる。投機を煽り地価を上昇させ、酷暑を更にひどくするCO2排出も集中大量排出する。最大の動機は、開発企業のもうけのみ。およそ「公共の福祉」とは言えません。
以上2点、賛成理由を述べてまいりました。小山三丁目再開発は中止すべきです。議場の皆さんに陳情の採択を呼びかけまして、討論を終わります。