2025年10月20日
令和6年度 決算特別委員会 安藤たい作区議が総括質疑を行いました。
2025.10.20 安藤たい作区議
質問項目
品川区の市街地再開発について
安藤委員
品川区の市街地再開発の超高層ビルの棟数は23区で1番、税金投入額も23区で2位、断トツ、トップクラスです。歴代高橋・濱野区政は、上位計画や税金投入で超高層再開発を強力にバックアップしてきました。森澤区政となり、変化の兆しが見えています。昨年12月には初めて、開発に 反対する住民と話をし、議会で、「まちづくりとは住民自らが、まちのあるべき姿について話合いを重ねながら形づくっていくプロセス。まちづくりの主体はそこに住む地域住民」と答弁。さらに、国が再開発への補助金の対象地域を絞り込んだことを受けた第3回定例会では、品川浦周辺地区を再び国庫補助金の対象にするような区域指定は考えていないと明確に答弁しました。これは、歴代区政の姿勢からすれば大きな変化であり、評価します。
しかし、再開発を全区的に誘導するまちづくりマスタープランはいまだ健在なのも事実です。さらに大きく踏み込んで、まちづくりの方針転換を求め、質問します。
まず、改めて確認いたします。品川浦周辺地区は新たな地区指定は行わないとのことでしたが、併せて、区が独自に補助金を投入することも行わないよう求めますが、いかがでしょうか。
続けて、現在、再開発組合の認可申請が出され、緊迫した状況にある武蔵小山の小山三丁目第1地区 開発について伺います。昭和44年、衆議院建設委員会における都市再開発法案に対する国会決議には、組合設立に当たり、行政が行うべき指導について何と書いてあるか、ご紹介ください。
鴇田都市整備推進担当部長
1点目の区独自の補助金でございますが、今回、国は市街地再開発事業におきまして、再開発を促進すべき区域であり、かつ都市政策上の喫緊の課題のある区域において必要性・緊急性の高い事業に、交付対象を限定する要綱改正を行いました。このため現時点におきまして、このような要綱改正の趣旨や区のこれまでの補助金交付の状況を踏まえると、区独自で補助金を交付することは考えてございません。
続きまして、2点目の国会決議についてですが、市街地再開発組合の設立に当たっては、事業内容等を周知徹底し、同意を得られない者の立場も十分に考慮して極力円満に設立手続を進めるよう指導することとの決議と認識しております。
安藤委員
品川浦については、国が補助金を出さない地域であり、今の答弁でも、区も独自に開発を進めないということが確認できました。都議会では同様の質疑に対し東京都が、必要な財源を安定的・継続的に確保することを国に求めている等、開発の継続に固執した答弁をしただけに、今の区の答弁は大きく評価したいと思います。
小山三丁目ですが、この地区には5棟の分譲マンションが含まれ、転居には困難が伴う高齢の地権者が少なくなく、また35名もの方が開発認可に同意していません。現在、「武蔵小山の再開発から住民と職場を守る会」の皆さんは、開発準備組合理事長との直接の会談を望み、品川区も間に入り、交渉していますが、事業認可が目前に迫る今なお、会談の双方の条件が整わず、これが実現していません。会談はなぜ実現していないのか伺います。同意を得られない者の立場も十分に考慮して極力円満に設立手 続を進めるよう指導するとの国会決議を履行する立場の区として、反対住民が望む会談を実現させる責任を果たすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
鴇田都市整備推進担当部長
1点目の会談についてでございますが、準備組合からは、権利者の不安払拭を目的とする話合いとして受ける意向のため、親族を含めた権利者との会談実施を要望しております。一方、相手側は権利者に加え、権利者以外の団体による会談を求めております。この間、会談の実現に向け、区としても間に入り、調整を重ねてきましたが、両者の条件が合わない状況となっていることから、現時点において実現には至ってございません。
続きまして、2点目の会談の実現の責任についてですが、現時点で準備組合と権利者等との会談の条件が合っていない状況ではありますが、区としましては引き続き会談の実現に向け、両者の主張も考慮しながら調整を行ってまいります。
安藤委員
守る会側が出席を求めている地権者でない方というのは、守る会の会員であり、また守る会も入っている住民運動の連絡組織の方であり、これまでも現地で会と共に活動してきた方です。また、当該地区には230億円もの税金が投入される予定です。区の言葉を借りれば公共事業であり、地権者以外の発言を拒むというのは道理がありません。理事長との会談に地権者以外の出席・発言は認めないという条件はおかしいとは思わないのか、伺います。改めて、国会決議にある指導責任を果たすよう強く求めますが、いかがでしょうか。
鴇田都市整備推進担当部長
初めの地権者以外の出席・発言についてですが、まちづくりの主体はそこに住む地域住民であり、あくまで地域住民が主体となり進めていくものであることから、理事長との会談につきましても、地権者が原則であると考えてございます。一方で区としましては、会談の実現に向けまして、準備組合とも改めて調整を進めており、現在、一部の地権者以外の方も出席や発言ができるよう、鋭意調整を行っております。
続きまして、国会決議にある指導責任についてですが、区としましては、引き続き会談の実現に向け、調整を進めるとともに、準備組合に対して適切な指導を行ってまいります。
安藤委員
区長も、まちづくりとは住民自らが、まちのあるべき姿について話合いを重ねながら形づくっていくプロセスと述べています。ぜひ話合いを重ねられるよう、イニシアチブを発揮していただくよう、強くお願いしたいと思います。
区はこれまで1,500億円を超える税金を再開発に投じてきました。一方、前半の鈴木委員の質疑にもあるように、社会保障充実の財源がますます求められている中で、果たしてこれからも投入し続けていくのか、私は2つの点から見直しを求めたいと思います。
まず、再開発が投機マネーを加熱させ、住宅価格の高騰を引き起こしているという点です。千代田区長は区内のマンション購入について不動産協会に、5年以内の転売禁止、複数物件の購入禁止を要請。その理由を、「投機目的のマンション取引が増えることで、住宅価格や家賃の過度な上昇が起き、区内に住みたい方々が住めなくなる」と述べました。報道では、区で独自の登記簿を調べたあるマンションでは、所有者の住所と当該物件の住所が一致しない住戸が7割にも及んだとも述べています。一般質問で共産党は実態を調査し、区としての規制の要請をと求めましたが、区は不動産市場の動きを引き続き注視していくと述べるだけでした。
では、区内の再開発マンションの価格はどうなっているか。建設中の東五反田二丁目第3地区の40階建てのマンションは、61平米で1億8,000万円から9,000万円。67平米以上は2億円を超え、27階でも3億1,900万円という物件もありました。とても一般の区民は手が届きません。東五反田二丁目第3地区は、トータルで補助金が幾ら投入される予定か伺います。加熱する投機が住宅価格の高騰の要因の一つだと区は認めますか。伺います。千代田区のように、再開発事業のマンションについて登記簿を調べるなど、投機目的の売買状況についての区独自の実態調査を行うよう、改めて求めますが、いかがでしょうか。一般の区民が住めない高級マンションに、なぜ私たちの巨額な税金が使われなくてはならないのか、伺いたいと思います。
鴇田都市整備推進担当部長
まず1点目の補助金につきましては、国の要綱等に基づき、防災や安全に資する事業に交付しておりまして、現時点での補助金額は約220億4,900万円を予定してございます。
続きまして、投機が住宅価格の高騰を招くといったご質問でありますが、都内のマンション全般がここ数年、労務費や材料費の高騰により価格が上昇している状況については、区としても認識しているところでございます。また、区としましては、マンション取引を含みます不動産市場の動きについて注視してまいります。
続きまして、区独自の実態調査についてですが、千代田区が区内の投機目的でのマンション取引等に関して、不動産協会への要請、また実態調査を行っていることにつきましては、認識しているところで す。また報道により、国土交通省がマンション取引の実態調査を行っていることも把握してございます。 区としましては、こうした状況も鑑みながら、引き続きマンション取引を含む不動産市場の動きについて注視してまいります。
そして最後に、再開発の税金ということでございますけれども、再開発事業における補助金の交付につきましては、要綱等の規定に基づきまして、防災や安全に資する事業など、補助金の対象を適正に判断しております。このようなことから、あくまで地元の権利者が協力して地域の防災性を高める道路や公開空地、地域に貢献する公共施設などの公益性に焦点を当てて交付するものでございます。
安藤委員
住宅価格高騰を引き起こし、ほとんどの方が手が届かないタワーマンション建設には、驚きましたけれども220億円と桁違いの税金を入れる一方で、ここ5年の平均倍率が38倍を超える区営住宅は増設の方針がありません。これは、二重、三重に税金の使い方を間違っていると私は思いま す。
次に、再開発推進による超高層ビルの林立が気候対策に逆行するという点です。森澤区長は「ゼロ カーボンシティしながわ宣言」で、2030年度カーボンハーフ、2050年度ゼロカーボンの目標を掲げました。「ゼロカーボンシティしながわ宣言」で述べられている危機感と決意についてご説明ください。区の環境基本計画では、ゼロカーボンの目標達成に向け、家庭業務の民生部門の削減を課題に挙げています。再開発で生み出される超高層のマンションは家庭部門、オフィスビルは業務部門に当たり、 超高層ビルの林立は区内に一気に膨大なCO2を発生させます。共産党の、超高層ビルによりCO2排出が増える認識があるかとの質問に、区は、「再開発による建築物は環境性能が高い施設だ」、「CO2排出量の削減にも取り組んでいる」と言うだけで、CO2の絶対量が増えることは否定できませんでした。また、超高層ビルでエネルギー消費量をゼロにするZEBを取った事例はあるのかという質問に、「事例は承知しておりません」、つまり、ないということですと答弁しました。実際はどうか。広町地区開発で発生するCO2は年間2万2,600トンとの都議会都市整備委員会の答弁があります。かつてここにあった約720世帯のJR社宅は、係数を掛けますと1,274トン。従前従後で、実に17.7倍もCO2が増える試算になります。超高層再開発の推進は、区も課題として挙げる民生部門でのCO2削減に逆行するのではないか、伺います。環境基本計画である2030年度の推計には、今後の超高層開発で発生する予測CO2排出量が含まれているのか。このまま超高層開発を進めて、計画の目標を達成できるのか、伺います。
鴇田都市整備推進担当部長
1点目の「ゼロカーボンシティしながわ宣言」での危機感と決意につ いてお答えします。
地球温暖化対策は私たちの社会的責務であり、脱炭素へ向けた待ったなしの取組が求められていると認識しており、品川区では令和5年6月に「ゼロカーボンシティしながわ宣言」を行い、脱炭素エネル ギーの促進や省エネ活動など、果敢に取り組んでいることを宣言いたしました。品川区を環境先進都市として将来の世代にその環境を引き継いでいくために、区民・事業者と一体となり、脱炭素への積極的な取組を進めてまいります。
続きまして、超高層開発の推進はCO2の削減に逆行ということでございますけれども、再開発事業におきましては、都の都市開発諸制度活用方針に沿って事業が行われており、建物の遮熱・断熱性の向上、太陽光発電や高効率・省エネ機器の導入などによりCO2排出量の削減に取り組むとともに、広場や公園などの緑地空間を整備し、CO2吸収源対策にも寄与するものと認識してございます。
続きまして、再開発における、予測CO2排出量が入っているのか、また計画の目標は達成できるのかということですけれども、環境基本計画における2030年度の推計につきましては、基準年度となる2013年度の排出量から、温暖化対策による削減見込みや電力の二酸化炭素排出係数の低減による削減見込み等を推計したものであり、個別・具体的な事象を見込んだものではございません。品川区としましても、2030年度のカーボンハーフ、2050年度のゼロカーボンに向け、区民・事業者と一 体となり、脱炭素社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
安藤委員
紹介した試算のように、それまでなかった超高層ビルを建てる開発でCO2が激増することは明らかなのです。「ゼロカーボンシティしながわ宣言」では、地球温暖化対策は、今を生きる私 たちの社会の責務だと、区民・事業者・区が一体となって取り組むとあります。そう言うのであれば、開発企業が野放図に超高層ビルを乱立させる再開発は規制すべき。それこそ、宣言をした者の責任だと私は思います。
以上、超高層開発の問題点を指摘してまいりました。開発企業の飽くなき利潤追求で住環境も地球環境も壊す超高層再開発を、上位計画と税金投入で推進することは見直すべきときです。区長、改めて、 まちづくりマスタープランをつくり直し、超高層再開発推進方針を外すよう求めますけれども、いかがでしょうか。
鴇田都市整備推進担当部長
現在のマスタープランにつきましては、様々な社会的課題に対応しながら、分野ごとの方針・取組を見直すなどして、令和5年3月に改定したものでございます。今後の改定に際しましては、まちづくりの主体である住民の声にしっかり耳を傾ける。こうした区の姿勢を計画にも反映してまいります。
安藤委員
改定から間もないと言っていましたけれども、超高層再開発をめぐる情勢はこれだけ大きく変わっているのです。現行マスタープランは、森澤区長が就任後、僅か3か月後の改定であり、前 区政の姿勢が色濃く残っているものです。時代や情勢に応じて変えるべきです。超高層再開発推進の区政は転換すべきだと改めて申し上げまして、私の質問を終わります。
