2025年10月20日
令和6年度 決算特別委員会 鈴木ひろ子区議が総括質疑を行いました。
2025.10.20 鈴木ひろ子区議
質問項目
区の基本的な計画のパブリックコメント時の説明会
鈴木委員
質問に入る前に、委員長に許可を得てパネルを提示させていただきます。後で使います。
それでは、日本共産党区議団を代表して、安藤たい作区議会議員と共に総括質疑を行います。
森澤区長に濱野・高橋区政の転換をさらに進めていただきたいという思いで3点質問します。
まず初めに、区の基本的な計画のパブリックコメント時の説明会を位置づけるよう、求めたいと思い ます。森澤区長は、「徹底した情報公開、区民の声が必ず届く区政の実現」と述べられています。区民が分厚い計画を、説明もなく読み解き、パブリックコメントの意見を出すのは大変です。共産党は説明会を求め続けてきましたが、区はかたくなに、行わないとしてきました。そのため、パブリックコメントの回答も極端に少ない。令和6年度のパブリックコメントで、1桁の回答だった計画名と回答人数をお知らせください。近隣区では、大田区、世田谷区、目黒区、港区、渋谷区、どこでも説明会を行っています。説明会をしていないのは品川区だけです。例えば世田谷区ではシンポジウムを行い、第1部で計画説明、第2部で講演、パネルディスカッションなどが行われています。港区では保育体制も取り、 数回の説明会を、会場で行うのと同時にオンラインでも説明会行い、さらに説明動画もホームページで 公開しています。
品川区が説明会を行わない理由と、この実態は改善が必要だとは考えないのか、伺います。改めて基本的な計画についての説明会を求めます。いかがでしょうか。
柏原区長室長
それでは私から、パブリックコメントに関するご質問にお答えいたします。
まず令和6年度の回答人数が1桁であった計画でございますけれども、5件ございまして、「品川区総合実施計画」改訂は、4名の方から18件の回答がございました。それから、品川区教育振興基本計 画は、6名の方から48件のご意見がございました。それから、品川区がん対策推進計画(第二次改定)は、4名の方から4件のご意見がございました。また、自殺対策計画中間改定は、2名の方から2 件の回答がございました。5件目の品川区DX推進基本方針は、6名の方から18件の回答となってございます。
意見が少ないことにつきましては、区といたしましても課題というところで捉えてございまして、今年度からは、従来の広報手段に加えまして、パブリックコメント実施時のSNSを通じたプッシュ型の情報発信を進めるなど、周知の強化を図っているところでございます。
また、近隣区で説明会等を行っているというのは、こちらでも認識しているところでございます。こうした区民意見公募、パブリックコメントですけれども、区民の方による区政参加を進めていくには、各施策や計画を知っていただくこと、また関与していただくことは非常に大切なことであると捉えてございます。特に新規施策等におきましては重要なことと捉えてございますので、こうしたことから、説明会等も含めて、効果的な手法について検討してまいりたいと思ってございます。
鈴木委員
今、説明会も含めて検討するというご答弁を頂きました。ぜひとも説明会を行っていただきたいと思います。これは、区民への説明責任、それから区政への住民参加の保障、そして開かれた区政へ透明性の確保のためにも必要だと思います。基本的な計画についての説明会を区として位置づけ るよう、改めて求めておきます。
介護保険について
鈴木委員
2つ目に、介護保険についてです。これまで共産党は具体的なデータを示して、23区で最低の福祉と指摘してきました。しかし森澤区政になって、自己責任からの転換、社会保障は権利であり、必要なサービスは所得制限なく無償で提供するとの姿勢が打ち出され、所得制限撤廃や、23区で唯一、介護と障害者福祉従事者への居住支援手当や介護報酬の減収補塡を行うなど、具体的な施策を大きく評価しています。今回は、これまで特に遅れていた点について、さらに前に進めることを求めて質問します。
1つ目は、地域包括支援センターの体制を強化し、内容の充実を求めます。23区で唯一、20年間 にわたりつくらなかった地域包括支援センターが、森澤区政の下、設置へと大転換されました。しか し、20年間にわたり、国が義務づけている事業評価もされず、年度ごとの実績や計画も出されていません。品川区は高齢者福祉課が直営で実施しているというのであれば、令和9年度モデル実施に向けて、今から年度の方針、事業計画、実績と計画を作成し、公表するよう求めます。いかがでしょうか。
他区が実施している掘り起こしの訪問活動や、地域ごとの熱中症予防や認知症予防などの啓発活動を 求めます。そのために、国が規定する人員から10人以上足りない保健師の増員をすべきです。いかがでしょうか。
寺嶋福祉部長
地域包括支援センターが年度ごとの方針を作成し、事業評価をすることにつきましては、平成30年度より国が定めた評価手法を用いて、地域包括支援センターの事業評価および機能強化に取り組んでおります。現在は直営で運営しておりますが、今後、各地区に地域包括支援センターを設置するに当たりまして、他自治体の例等も参考にしながら、結果の公表については検討してまいります。
それから保健師の配置につきましては、各地区に地域包括支援センターを配置する方向で検討を進めていることから、指定を受けるに当たって、保健師を含め、基準に合致する人員配置を行い、委員ご指摘の各種取組を行っていきたいと考えております。
鈴木委員
事業評価については、今、件数しか出されていないと思います。これは法改正で、努力義務から義務規定に変わっています。少なくとも、これは行うべきだと思います。いかがでしょうか。他区が行っていることを今から行い、本格実施に向けて、質的にも充実した包括センターとなるよう求めます。
2つ目に、私が毎年指摘し続けてきた、品川区の介護認定が極端に軽く出る問題です。ここにありますパネルのとおり、全国平均の要支援の割合が、令和6年度、28.8%、品川区の要支援が44.5%、 全国の1.5倍です。問題は、認定が軽いために、必要なサービスが受けられない人がたくさん出ていることです。例えば、70代、独り暮らしの男性は、脳梗塞による構音障害、嚥下障害、感覚不安定、 認知症で退院したが、ケアマネジャー同席で支援の必要性を訴えたが要支援1にしかならなかった。60代女性の脳梗塞で半身麻痺の方は、状態が変わらないのに要介護3から要介護2に下がり、デ イサービスを週3回から2回に、訪問看護を週1回から2週に1回に減らさざるを得なくなったなどな ど。ケアマネジャーからは、認定調査時に同席して現状と支援の必要性を訴えるが、「自立に向けた」、 「できる」を選択している印象が強いと訴えられ、さらに、今年初めて両医師会からも、介護認定が低過ぎる問題が出されました。「明らかに近隣区と比較して厳しく、状態が同じでも介護度が下がることがある。安心して生活するための十分なサービスを継続できず、見直し再申請を出さざるを得ない」と言われています。
パネルのとおり、品川区の高齢者1人当たりの介護給付費は、23区で最も低い状況です。これは、要支援を多くして介護サービスを抑制しているからではないのか、伺います。区は介護認定の分析をすると言いますが、ケアマネジャーや医師会、訪問看護ステーションなど現場から、必要なサービスが使えない実態について聞いていただきたい。いかがでしょうか。調査項目の、自立、見守り、一部介助、全介助など、調査員の判断によるところがあります。軽く出る介護認定を実態に合わせて、必要なサー ビスが受けられるよう改善を求めます。いかがでしょうか。
寺嶋福祉部長
まず、先ほどの評価指標の件ですけれども、現在、品川区は直営でやっておりますが、各地区に地域包括支援センターを設置するに当たりましては、恐らく委託という形を取ることになろうかと思います。その際には、評価、それから公表といったものが必要になってくると考えております。
2点目の要介護認定ですけれども、要介護認定につきましては、コンピューターによる1次判定および2次判定ともに、国が定めた全国共通の基準に基づき認定審査を実施しておりますが、ご指摘のとおり、他自治体と比較して要支援の割合が全国平均よりも高い数値となっていることは認識しており、その要因について現在、分析しているところです。要支援の割合が高いという点につきましては現在調査中ではありますが、必ずしも今ご指摘の部分だけではなく、ケアマネジャーが適正なケアマネジメントを実施していること、それから介護予防事業の成果といったものもあろうかと思います。それぞれを高齢者福祉課・高齢者地域支援課が所管しているという、直営ならではの効果も一定程度含まれているものと捉えているところでございます。
それから分析に当たりましては、関係者や現場の声をお聞きしながら実態をより正確に把握するよう、 既に取り組んでいるところでございます。今後も国基準を遵守しつつ、可能な限り柔軟な対応ができるよう、きめ細やかな運用に努めてまいります。
鈴木委員
介護認定が極端に低い状況なのです。私はこれを長年、指摘し続けてきました。介護度が低いために必要なサービスが受けられない。これが問題です。生活の質を下げ、重度化につながります。改めて、必要なサービスが受けられる認定の見直しを求めておきたいと思います。
次に、介護保険料についてです。令和6年度改定の基準額は6,500円に値上げ、特に高額所得者の負担が23区で最も軽いのが品川区で、最高でも基準額の3.3倍にすぎません。渋谷区や港区では、 高額所得者は6倍から8倍です。来年度は介護保険の第10期策定の年となります。高額所得者に応分 の負担とすること、低所得者の負担軽減を求めます。いかがでしょうか。
寺嶋福祉部長
保険料につきましては、サービス基盤の整備状況、それからサービス利用の見込みといったものに応じまして、保険者ごとに設定しておりますが、負担能力に応じたご負担を求めるという観点から、所得段階別の保険料率を採用しております。低所得者等のご負担など、ご指摘の部分につきましては、これまでの経緯や国の指針等を考慮した上で検討してまいりたいと思います。
鈴木委員
来年度ですので、ぜひとも高額所得者の応分の負担、低所得者の負担軽減をよろしくお願いしたいと思います。
障害者福祉の充実について
鈴木委員
最後に、障害者福祉の充実に向け、2点質問します。
1つは施設の増設です。施設が足りないために、グループホーム、就労継続支援B型、生活介護、放課後等デイサービス、児童発達支援、ショートステイなど、どれも他区の施設を利用せざるを得ない。また、希望するサービスが受けられない状況があります。世田谷区では障害者施策整備等に係る基本方針を、学識経験者や事業者などでつくる基本方針検討委員会で検討して作成し、必要量整備の方策、高齢化・重度化等への対応、事業者への必要な支援を明らかにしています。品川区も、学識経験者や当事 者団体代表者を含めた施設整備検討会をつくり、区としての必要量を明確に出して、それをいつまでにどのように整備していくのか、どんな支援が必要かを明確にした施設整備計画を立てることを求めます。そして、増設するよう求めますが、いかがでしょうか。
続けて2つ目に、障害者の通所サービスの無償化に続き、在宅サービスの無償化も求めたいと思います。居宅介護、在宅レスパイト事業、ショートステイ、移動支援、それぞれの利用者人数を伺います。これら在宅サービスも無償化を求めます。同時に、その受皿づくりも求めますが、いかがでしょうか。
寺嶋福祉部長
まず1点目の施設整備につきましては、用地や事業者の確保といった課題がある関 係で、これまでは見込み量しか示しておりませんでしたが、今後に向けて、需要に応じた計画数・目標値を示すことも必要であると認識しており、次期障害福祉計画策定のための基礎調査等を通しまして、必要量の明確化を行いたいと考えております。その中で、施設や障害種別などの示し方についても検討してまいります。そういったものを踏まえまして、いつまでにその量を整備するか、そのためにどのような支援策を行うかという計画については、他区の取組等も参考にしながら、組織、体制等も併せて検討し、その状況に沿って施設の整備を進めてまいります。
2つ目は居宅介護等ですが、まず令和6年度の人数ということでしたので、居宅介護の令和6年度の 延べ利用者数は147人、重症心身障害児者等在宅レスパイト就労支援事業が532人、ショートステイが82人、移動支援は34名の児童にご利用いただきました。また、在宅サービスの無償化につきましては、特に在宅レスパイト就労支援事業の無償化に関して当事者からのご要望を多く頂いておりますので、今後、具体的に検討してまいります。
鈴木委員
それぞれ前向きな答弁を頂きました。 23区最低と指摘してきた福祉が充実へと、大きく転換されてきたことを実感しています。遅れたところからの福祉がさらに前に進むことを期待し、安藤区議会議員に替わります。ありがとうございまし た。
