2026年03月27日
安藤たい作区議が「国交省において公金投入の絞り込みが行われた意義を尊重し、品川浦南地区再開発は白紙に戻し、再開発を望まない地権者宅はその範囲からただちに外すことを求める陳情」への賛成討論を行いました。
2026.03.27 安藤たい作区議
日本共産党品川区議団を代表し令和6年陳情第58号「国交省において公金投入の絞り込みが行われた意義を尊重し、品川浦南地区再開発は白紙に戻し、再開発を望まない地権者宅はその範囲からただちに外すことを求める陳情」への賛成討論を行います。
品川浦周辺地区の再開発の土地所有者と借地権者を合わせた地権者数は、北地区で69人、南地区で94人、西地区で58人。北品川三丁目北地区で18人。あわせて239人にのぼります。さらに地区内には、4地区合わせて18棟の分譲マンションが存在します。法律上はマンションは一棟1人としか数えられないため、実際の権利者はこの何倍もいます。計665戸の都営住宅もあり、影響を受ける住民の数はさらに多数にのぼります。13の開発企業が群がり、開発協議会時の資料によれば13.5ヘクタールの広大な敷地に14棟のマンション、オフィスビル、ホテル等を建てる計画でした。区は、2014年に「品川駅南まちづくりビジョン」を策定、2023年に4地区全てで再開発準備組合が設立されたことを受け、まちづくりの指針となるガイドラインの策定作業に入り、昨年12月にはガイドライン策定に住民意見を反映するとして区主催の意見交換会が3回に分けて行われました。再開発準備組合の検討と合わせた区の動きに対し、地域住民の中では、住み慣れた地域に住み続けられなくなる再開発がどんどん進んでいってしまうのではないかとの不安も広がっていました。しかし一方で、昨年の国の要綱改正により、西地区の一部を除き国庫補助金の支出対象から外れることになり、情勢は大きく変わりつつあります。そんな中、出されたのが本陳情です。
本陳情は、自身と家族、知人の生活を守るため、国の補助金対象から外れた品川浦周辺南地区計画を白紙に戻し、再開発を望まない地権者宅を再開発地域から外すことを求めるとともに、全地域住民へのアンケート実施を求めるものです。
陳情審査は1月19日に行われましたが、その後、代表質問、予算特別委員会と共産党との審議を重ねる中、区の姿勢が変化してきています。
陳情審査では、陳情にも記載されていた区の総合実施計画の記述が論点の1つとなりました。総合実施計画とは、区の基本構想と長期基本計画が示す基本方針や政策に沿って、具体的な事務事業を5年間の年次計画により示したものです。そこに、品川浦周辺地区の3地区が2027(R9)年度都市計画決定、北品川三丁目北地区が2026(R8)年度に都市計画決定と目標として書き込まれていたのです。
区はこのことについて、「地域主体で構成されている準備組合からのヒアリング内容を踏まえ(総合実施計画に)位置づけた」「品川浦の3地区では7割程度の方が準備組合に加入しており、まちづくりについては7割程度の方でしっかりと議論されているものと認識している」などと説明、合理化していました。
しかし、代表質問で共産党の「ガイドラインが再開発の錦の御旗になってはいけない。ガイドラインは再開発事業を前提にしたものなのか」との問いに対し、区は「まちづくりガイドラインは再開発事業を前提にしたものではない」と答弁し、その様相に変化が見られました。予算特別委員会の款別審査では、さらに変化し。今年度予算に計上されていたまちづくりガイドラインの策定支援業務委託費1000万円を最終補正で減額したことが明らかにされました。その理由を、区は「地域での検討状況や地域からの声、意見交換会などの区の基本スタンスである地域からの意見をまちづくりに取り入れるという観点から、委託内容を変更した」と説明。さらに、新年度でも意見交換会の開催、アンケートを実施して地域からの意見を聴取することや、予算案にはまちづくりガイドラインの策定経費を計上しないことも明らかにしました。実施計画に「令和8,9年度都市計画決定」と目標年次を書き込んだ姿勢とは明らかに変わっています。
アンケートについても、「90名程度の参加のワークショップ形式の意見交換会だけでは全ての意見を捉えられているとは考えておらず、より幅広く地域の皆様の意見を聞く事を考えている」と実施の理由について説明があり、陳情者が求めていたように、区域内の全住民を対象にする意向が示されました。
区が地域住民を対象にして開催した意見交換会では、再開発に反対の意見や、懸念や不安を示す意見が多数出されました。以下、紹介します。
「再開発や護岸整備で自然や歴史が失われないか不安」「ビルの建設を進めるより、旧東海道の街並み、景観を残す施策が必要」、「現状の落ち着いた雰囲気が良い、今でも水辺の魅力は活かせている」「北地区は今のままで大変住みやすく、安心」、「防災対策=タワマン建設という手法に疑問」「開発よりも災害対策(護岸工事など)を優先するべき」、「高い建物で海風を止めてしまうと、内陸の温度が上がってしまうので、反対」「再開発によって住環境が悪化したり、地域の特色が失われないか」、「現在の住民が住み続けられるようにしてほしい」「再開発により今の住まいや生活が脅かされるのが不安」「タワーマンションは不要。再開発を強行することに対して疑問を感じる」などの意見です。
それらの状況を踏まえ、共産党が「地域住民の多くが再開発はやめてほしいという意見がより多くなっていくのであれば、区は再開発事業ではないまちづくりを進めていくということになるのか」と質問すると、区は、「区としてある特定の事業、再開発事業を進めるためにやっているものではない。まちづくりガイドラインはまちづくりの方向性を示すもので、再開発事業を前提にしているものではなく、例えば策定後には個別の建て替えの相談において、ガイドラインに示すことにより、地域の意見をふまえたまちづくりになるように適切な誘導を図っていくという側面もある。ガイドラインは再開発を特定しているものではない」と答弁しました。この答弁にも、区の姿勢の重要な変化が見られます。再開発という建物の集約・共同化が前提ではなく、個別立て替えの誘導ということも選択肢に入れたガイドライン策定に向け、住民アンケートを実施するなどして時間をかけて住民意見を聞いていく、との考えが示されたことは重要です。住民の声を受けて、柔軟にまちづくりを進めていくという姿勢の表明でもあります。
まちづくりの主体となるべき地域住民とは誰なのか。区は、陳情審査では、準備組合には7割が加入していると言いましたが、逆に言えば3割もの方は未加入だということです。さらに、不安だから情報を得るためにとりあえず準備組合に加入している方もおり、準備組合加入者は必ずしも再開発を進めることに賛成している方ばかりではありません。決して、準備組合イコール地域住民の代表ではないのです。変化を更に進めて、区長の言う「まちづくりの主体はそこに住む地域住民」との姿勢を、しっかり具体化していくことを求めます。
以上のことから、陳情者をはじめ地域住民の声を受け、品川浦周辺地域のまちづくりの現状は、超高層再開発ありきで進めようという状況ではなくなってきています。であるならば、再開発の計画はいったん白紙に戻すべきあり、区は地域住民の意見を踏まえた住民が望むまちづくりのためのガイドラインを策定すべきです。13もの拠点、2つの都市軸を定め、土地の高度利用と再開発を全区的にも、ここ品川浦周辺地域でも誘導する内容になっているまちづくりマスタープランは、世論にあわせ、ただちに見直すべきです。
住民が主人公のまちづくり、そこに住む地域住民が主体のまちづくりに転換するためにも、本陳情を採択することを議場の皆様によびかけ、賛成討論といたします。
