子どもも親も願うのは安全でおいしい給食 区立小中学校で提供される給食を、民間会社に委託する計画が来年度予算に盛り込まれています。父母や関係者の間で「説明もなくひどい」という声が大きく広がり、区議会に請願が出されました。 区が学校給食の民間委託を導入する予定にしているのは、台場小、戸越台中、荏原5中の3校です。 区教育委員会の担当課長は「何も問題ない」「区の調理員から委託業者につくり手が代わるだけ」といいますが本当にそうでしょうか。 他区は人が定着しない 現実に苦労している 学校の給食調理作業は、直径120センチ以上もある大きな回転釜を使いこなさなくてはなりません。相当な熟練が必要です。しかも、年間320種類もの料理を作り、年1回しかない料理も170を超えるといいます。数百人分の食事を時間までに3〜5品もつくることは想像以上に大変なことです。 また、衛生管理もしっかりしなくてはいけませんが、教育をしても身につくまでには時間がかかります。委託されているところでは、調理済の食管を床から60センチ以下に置いてはいけないのに徹底できず苦労しています。 区は、このような大変な作業をするにもかかわらず、わずか750円〜850円の時給で採用する民間会社に委託予定です。これでは職員は定着せず、いつまでも経験のない初心者による作業であって、「作り手が変わるだけで、何も問題ない」とはいえません。 足立区は「手のかかる 給食は禁止」と通達 民間委託はすでに22区で始まっていますが、実施の目的はコスト削減にあります。業者は受託して一定の期間は『区から言われるまま』に受け入れますが、ある時期からは儲けを確保するために様々な注文をはじめます。 その具体的な事例が足立区です。足立区は手のかかる給食を禁止する通達を出しました。全校実施に14年かかりましたが、全校実施になったとたんに手のかかる献立はなくなったのです。子どもたちに好評のお弁当給食、下処理の必要な泥付ごぼう、生たけのこを使った献立などがなくなったのです。それだけでなく、手のかかる献立が何品かあれば「献立の組み合わせを考慮してほしい」との要望が業者側から出され、変更する学校もあったそうです。手のかかる献立をなくし調理員の人数を減らすなどもあったそうです。紛れもなく給食の内容が変わったのであり、子どもの成長に合わせた健康でおいしい給食、安全な給食という大事な位置づけが失われてしまいます。 区が委託するのはカラオケで知られた (株)シダックス 委託については、まだ議会では承認されていません。いま開かれている議会で議論して採択されてからなのに、(株)シダックスは新聞折込の広告で調理師を募集しています。 区との間ではすでに契約は整っているのでしょうか。おかしな話です。なお、採用予定は、一校あたり免許を持っている調理師数人と、6〜8名の調理師補助を募集しているといいます。 飯沼議員が民間委託 問題を一般質問 2月23日の一般質問で、日本共産党の飯沼議員が給食の民間委託問題を取り上げました。 その内容は、(1)保育園ですでに実施している民間委託を検証して、その結果を公表すること、(2)栄養士の存在が大事で全校に配置をすること、(3)親やPTAにも知らせず決めるのではなく、十分な議論をするべきなどです。 民間委託先にありきで子どもの健康は後回し 飯沼議員の質問に答えたのは、教育委員会の次長です。 (1)の保育園給食の検証はまったくやっていないので答えられませんでした。 保育園の給食を民間委託したのは5年も前です。当時も「何も問題ない」と強調していましたが、実際は問題だらけです。お昼の時間に間に合わないとか、スープのようなカレーとか、ビニールの異物が入っていたなどたくさんあります。こんなひどい食事ではかわいそうです。 (2)の栄養士については、調理のマニュアルを作り食材購入は今までどおりなので「必要ない」です。他区では民間委託導入する代わりに栄養士を全校に配置させました。この点でも品川区は異常です。 (3)の事前に知らせる問題は、保護者会や学校便りで知らせたからいいというものです。PTAも親たちもどうなるのか心配しているのに、あまりにも一方的過ぎます。 自民など与党は、区と一緒になって「問題ない」を繰り返しています。「問題ない」といえる根拠は何もないのですから無責任です。 区が「問題ない」といえば「問題ない」とオウム返しに言うのであれば、議会のなかで政党の必要性はないではありませんか。 |