大気汚染を広げる中央環状品川線
環境、税金の使い方に意義あり

山手通りは交通混雑の激しい道路だけに渋滞解消を求める声が大きくあります。しかし、道路をつくっても周辺から車を呼び込み、さらに混雑が激しくなり渋滞の解消にはならないのが実態でもあります。

日本共産党品川区議団は、この計画の問題点を整理しました。

第1、大気汚染など環境悪化になる。

第2、超高層ビル建設と一体になっ て開発を促進する。

第3、都財政に大きな負担となる。第4、沿線住民に何の説明もしない で決める。

この点に沿って、東京都や品川区の姿勢を紹介します。

問題1大気汚染など区内の環境はすでに悪い

品川区内の大気汚染が進んでいることを測定局の数字が示しています。中央環状品川線沿線で見ると、北品川の健康センター前交差点は0.076ppm(環境基準オーバー)、八潮団地内の八潮小学校は0・059ppm(環境基準ぎりぎり)です。

車から排出される二酸化窒素が原因ですが、道路を作ることでさらに車が増えれば他起き汚染は進む一方です。

中央環状品川線計画とは

江戸川区葛西からぐるっと八潮まで全長47kmを地下トンネルで走る高速道路。現在は新宿まで進み、これから品川区内(9・4km)での工事が始まろうとしています。これだけの長い高速道路のトンネルは世界でも稀です。工事費は4000億円。

問題2超高層ビル建設と一体になって開発を促進

東京都の広報誌(06年2月1日付)には、「首都圏における道路交通の大動脈である首都高速中央環状線など三つの環状道路と、それを生かす骨格幹線道路の整備を促進します。」と記述し、「都市再生」という開発と一緒にすすめています。

超高層ビルをつくると、そこに大勢の人と車が集まるため、スムーズな流れを確保するために、また高速道路や幹線道路を整備するというのでは悪循環です。これは財界の強い要求でもありますが、深刻な汚染を東京全域に広げるようなものです。

問題3都財政に大きな負担となる。

この計画の問題点の3点目は、多額の税金投入です。総事業費は4000億円と想定していますが根拠は示されていません。

都は、民間会社の高速道路株式会社が施行する事業なのに、「街路事業」と位置づけて2000億円を投入と決め、国の分を除いた1250億円にもなります。本来の考え方からすると500億円のものが750億円も積み増しされます。

財政が厳しいといいながら大盤振る舞い。しかし、都民が求めているのは都営住宅や特養ホーム、保育園などの建設やシルバーパスに代表される福祉の充実です。

品川区議会
区民は知らない説明をして意見を聞けと質問

南は第一回定例区議会でこの問題を取り上げました。

環状品川線沿線の南品川地域でとったアンケートでは、62%の方がこの計画を「知らなかった」と回答しています。そこで、計画内容の説明会開催と、環境の専門家を交えた計画の再検討をするよう求めました。

また、計画どおりに進めるなら「二酸化窒素を取り除く脱硝装置の取り付けをせよ」と主張し、どんなに経費がかかってもつけるよう求めました。答弁は、「都と株式会社の事業なので都に住民の理解得るよう努力を求めている」「区としての説明会はやる立場ではない」などでした。

また、脱硝装置は「道路使用を始める頃の環境基準の達成状況を踏まえて最新技術の導入を検討している」という内容でした。

区民の健康に深刻な影響の出る問題だけに、もっと真摯に受けとめてほしいものです。

工事はシールド工法で八潮に立て坑を掘る
土砂を運ぶダンプが殺到することに

都議会の議事録から、3月中に工事の方法を決め、大井清掃工場や東京電力のあたりに立て坑を堀ること、あとは技術が進んでいるのでシールド工法で9kmを掘り進んでいくことがわかりました。また、八潮の立て坑から土砂を運び出し、ダンプに積んで処理をします。1日当たりのダンプ通行量は1800台というのですから、10年間もの工事期間に八潮の大気汚染は最悪になると心配されます。

「これ以上、空気は汚さないでほしい」という八潮の声を大事にしてほしいものです。

元気に住民集会開く
これ以上の環境悪化をなくしたい

3月24日、日本共産党が開いた住民集会に70名を越える方たちが参加。

地域を越えて沿線住民が一緒に運動をすることが大事という意見が共通して出されました。日本共産党も頑張ります。