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日本共産党品川区議団提出の「品川区乳幼児医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例」についての賛成討論

2001年07月13日

私は議員提出第5号議案「品川区乳幼児医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例」の原案についての賛成討論をおこないます。

本案は、乳幼児の医療費助成制度の所得制限を撤廃して小学校就学前のすべての子どもを対象にしようとするものです。

本案に対する提案理由について桜井議員からすでに提案時に説明されていますので省略します。ここで2日前に、私に届いた43才、3歳と0歳の子育て最中の方からのメールを紹介します。

「私は普通の会社員ですが高齢で子供を授かったため所得制限に該当しています。港や世田谷区の知人は数千万円の年収があるにもかかわらず乳幼児医療費が無料になっている。なんでこんなに区により差があるのか理解できません。一日でも早く所得制限を取り払って欲しい。私は2年前に住居を品川に購入したが、こんなことなら品川に住まないほうが良かった」とかかれていました。

この方は子育て中の中堅ファミリー層ですが、所得制限を廃止する要望の強さを示す事例だと思います。

今年10月からの本制度の所得制限は扶養親族ゼロで614万円であります。この所得を超える方たちは、近所に気兼ねなく子育てできる住まいを求めれば家賃は15万円以上かかる。生活費に加え、幼稚園や保育園さらに医療費の負担を考えると614万円の所得設定は決して高額ではないと思います。

品川区は中堅ファミリー層の支援に力をいれ区民住宅の建設と家賃助成など支援を行っていますが、本助成制度の対象から中堅ファミリー層を所得制限で除外することは、政策の一貫性からも問題ありといえないでしょうか。

さて、残念ながら本案は7月2日の厚生委員会で否決となりましたが、そこで出された中心的論点2点について、私の見解を述べさせていただきます。

第1は、品川区の財政状況では所得制限撤廃は困難との見解です。ある委員は「実現できないことを公約に掲げるというのを凧揚げというのですよ」と予算上実現不可能だ、とのべました。

わが党の提案では本案の施行は来年1月。今年度、3月末までにかかわる財源は1,000万円弱でできるものであり、補正を組まなくても運用で可能なものであります。一体これのどこが実現不可能なのでしょうか。

10月1日から予定している就学前まで対象拡大、所得制限の緩和は都からの補助金が9,000万円程度の増額が見込まれており、ほぼ持ち出しなしでできるのであります。本案の実施は所得制限で対象外となっている15%、2,036人を新たな対象に加えるため必要な財源は平年度ベースでみてみても年間約1億円であります。

現在、23区では、17区が就学前まで所得制限を一切しておりません。全年齢を通じて所得制限をおこなっているのは品川区だけとなっているのであります。

区長は、品川区の財政の健全性を繰り返し強調してきました。この点に照らしてもやる気になれば直ちにできる問題ではないでしょうか。

第2は、「条例案を出しながらなぜ予算措置を取らないのか」の問題です。

私どもは条例案提出にあたり、条例と合わせ予算提案を提出することが一般的には好ましい、と思っています。しかし、地方自治法97条によって「普通地方公共団体の長の歳入歳出予算の提出する権限を犯すことはできない」としており、議会は予算修正案は出せても予算の提出権はありません。今定例会は、補正予算が提出されておりませんので予算修正提案をすること自体ができないのであります。

もしこの提案が可決されるならば、わが党はできるだけ直近の補正予算で修正案の提出も考えております。

もう1つ「執行機関と財源の確認ができないのに提案するのは無責任だ」との主張です。

区長との調整で意見が一致することが好ましいことはいうまでもありませんが、行政が動こうとしないから議案提案権を行使するのが通例であります。「執行機関との了解が得られないままに提案するのは無責任」との主張は「区長の理解を得たものについてのみ議案を提出すべきだ」というもの。これは議会を長の下請け機関化する主張であり、立法機関としての本務を忘れた立場といわなければなりません。

本案のように23区の大半が所得制限撤廃を実施しているのに、区長はノーを言っている、わが党は、こんな時こそ議会が住民の立場にたって議案提案を行使して区民要求に応えるべきと考えます。

なお、厚生委員会の審議で「議案提出に先がけて執行機関との相談はあったか」との質問に小沼福祉事業部長は区長への申入れに対し「予算がどうのという話は、私が承知している限りなかった」と同じ内容を2度答弁。これを受け、質問者は党議員団の申し入れは「通告見たいなものですね」「議会ルール無視」とまでエスカレートしました。

しかし、6月12日の申し入れの冒頭、桜井幹事長から、条例提案の趣旨、予想される必要財源などを述べ懇談に入ったのであります。「通告みたいなもの」どころか、30分の予定がおよそ、1時間に延長して話し合いが行われたのであります。

当日は地方自治法222条、予算を伴う条例、規則などについての制限にもとずきおこなったもので、予算に触れないことなどありえないのであります。公式の場で理事者が、事実を偽り、わが党に対しルール破りをするかのように導くことは不誠実の極みといわなければなりません。

最後になりますが、医療費助成制度の所得制限撤廃は区民の強い願いであり、23区でも大きな大きな流れとなっています。ぜひ、本案を決定くださいますようお願いを申し上げまして賛成討論といたします。

沢田英次

<参考>
「品川区乳幼児の医療費の助成に関する条例案」―区長に説明、高橋区長―「区独自では所得制限を撤廃する気はない」
乳幼児医療助成制度所「条例改正案」、自民、公明、民主、合同が反対、否決!引き続き所得制限撤廃にがんばります。

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