品川区議会は3月2日、第一回定例会の三日目の本会議で「KSD疑惑および外務省機密費流用事件の徹底究明を求める意見書」を全会一致で決定しました。意見書は国に対し「KSD疑惑および外務省機密費流用事件の真相を徹底的に究明と、再発防止のための有効な措置を講じること」を求めています。
決定された意見書は、日本共産党区議団が各党に共同提出を呼びかけ、実現したものです。
日本共産党区議団の提出した、「自民党本部に党費が入った」、機密費が、「国会対策費に使っていた」「国民が納めた税金が党利党略的使われていた」などの記述は各党間の一致が見られず、盛り込まれませんでした。党議員団は一致点を尊重し賛成しました。
財団法人KSD中小企業経営者福祉事業団は、昭和三十九年、中小企業の健全な発展と福祉の増進を目的に設立されました。しかし、昨年の十月に不正経理疑惑が発覚して以来、前理事長の横領事件、そして受託収賄の疑いにより前国会議員二名の逮捕者を出すなど、連日の新聞報道等によると、共済会費として加入者から集めた巨額な資金を傘下の任意団体等を通じて、政界工作などのために不正に流用し、全国九十四万人の加入者の信頼を裏切る行為を重ねてきました。
このことは、中小企業はもとより、長引く不況の中、一日も早い景気の回復を願う国民にとっては許すことのできない行為であり、国会議員の受託収賄事件ともなれば、政治に対する不信はますます募ることから、国としても、国民が納得する対応を早急に図るべきであります。
区内産業の基盤を支える九割以上が中小企業である品川区は、これまで地域産業の活性化を区政の重要課題のひとつとして、積極的に取り組んでまいりました。
こうしたKSDをめぐる一連の事件は、区民との信頼関係を築き、区政発展のために努力を続けてきた品川区議会としても、見過ごすことのできないことであり、一刻も早い真相の徹底的な究明を強く求めるものであります。
また、外務省幹部職員による機密費の流用事件についても「機密費」という名目の多額な公金が長年にわたり組織的なチェックもされないまま、幹部職員により私的に流用されていたことは、信じがたいことであり、国民の常識とはかけ離れていると言わざるを得ないものであります。
外務省は、幹部職員による個人的な事件との見解を示しておりますが、外務省上層部による組織的な関与や流用資金の原資となった内閣官房機密費までも疑惑がもたれていることから、幹部職員による個人的な横領事件として、処理するのではなく、真相をすべて明らかにするとともに、公金の使途についても組織的なチェックを用いて公平性を確保する方策を構築すべきであります。
よって、品川区議会は、国に対し、KSD疑惑および外務省機密費流用事件の真相を徹底的に究明し、再発防止のための有効な措置を講じるよう強く求めるものであります。
以上、地方自治法第九十九条の規定に基づき、意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
品川区議会議長名
資料:「共産党提案の意見書」