前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ

第3回定例会―決算委員会総括質問

2003年10月20日
菊地貞二委員

菊地委員

私達は耐震診断の問題、それから公営住宅問題、まちづくりと再開発の問題について、お聞きをしたいと思います。

まず、耐震診断、それから区営住宅の問題についてお聞きしますけれども、決算審議の最中に震度3〜4の地震がありまして、質疑が中断するというハプニングがありましたけれども、これが震度5,6という地震だったらどうなるのかという不安をみなさん抱いたことと思います。

区長は一般質問で、南委員の質問に対して、「耐震診断の助成をもし行うとすれば、マンションよりもまず個々の住宅が先だ」といった答弁をされてますけれども、どちらが先かどうかは別としても、私もきわめて重大な問題だというふうに思います。

そこでお伺いしたいんですが、東京23区全体で耐震診断に助成をしている区がどの程度あるかお知らせ願いたいと思います。

それから、都営住宅、区営住宅の問題ですけれども、毎回大変な倍率ですけれども、年間の平均倍率、それから直近の都営住宅なり区営住宅なりの倍率についてお知らせをいただきたいと思います。

それから、11月に募集が始まりますけれども、西大井の区営住宅の1・2階部分が障害者の施設ということですれけれども、建設費の総額と、それから46戸の住宅建設が行われますけれども、実際に1戸あたりになおしていくといくらぐらいになるのか、この辺をまず聞かせ願いたいと思います。

中谷まちづくり事業部長

まず最初に、耐震診断の助成を23区で実施している区の状況でございますが、私どもが調べたところでは15区というふうに認識をしております。

それから、次に西大井6丁目の区営住宅46個の関係でございますが、これは西大井の建設費総額につきましては、約4億3200万円ということで、46戸で割りますと、大体940万円程度ということになります。ただ、これは1戸あたりの面積が40平方メートルぐらいということで、例えば西五反田の都営住宅で言いますと、一戸あたり1800万円ということになります。

それから、最近の募集状況でございますが、まず都営住宅で言いますと、平成13年度は平均94.5倍でございます。平成14年度は83.2倍。区営住宅では平成13年度が61.3倍、平成14年度が34.1倍、大体そういう状況でございます。

菊地委員

阪神・淡路大震災で亡くなった方が5502名ということで、負傷者が9348名で、1981年以前の建築物が大きな被害を出したということです。こうした大きな原因として挙げられるのが、家具の転倒ですとか、外傷性ショック、いわゆる圧死状態というのが75%を占めているということであります。

区長がおっしゃったように、火災で亡くなったという方も多いかと思いますけれども、ただ見逃せないのが、一定規模の建築物が倒壊して救助活動がなかなか思うようにいかなかったということも、一つの大きな原因だということで挙げられています。

東京23区中15区で何らかの助成制度を持っているということですけれども、私も見た範囲で言いますと、千代田区ですとか中央区といった大規模な建築物が並んでいる地域では、戸建てと言うよりRCA、SRCといったものに対する助成も行われているようですけれども、区長の一般質問でのご答弁がありましたけれども、区でこれからこういうものを持っていくつもりなのかどうか、この辺の考え方についてお聞かせを願いたいと思います。

それから、区営住宅についですけれども、西大井に障害者の住宅ができたということです。不況の中で実際に年収が目減りをする、あるいはリストラにあう、こういう大変な状況の中で倍率は高くなっていってるわけですけれども、平成13年が約88倍だということですけれども、まさに住宅の困窮度を示す数字だと思います。

これまで応募されてきた方の事例を挙げさせていただきます。74歳の女性で、家賃補助を受けて10万円程度の年金で生活をされていますけれども、制度が打ち切られるということで、募集があるたびに応募をするけれども、なかなか入居ができない。なるべく人様に迷惑をかけずに死にたいんだと言っておられましたけれども、こうした方を実際にどうしていけばいいのか。何度応募しても入る事ができないわけですから、こうした方をどうしていけばいいのか、この点についても考えをお聞かせを願いたいと思います。

中谷まちづくり事業部長

まず、第1点の耐震診断の関係で、都心の2区がRCに対しても助成しているということについての考え方でございます。

耐震診断を行う場合、一番重要なのは、どのような形でやると効果・効率的に事業の展開ができるかということでございます。

品川区では、これまで耐震診断の助成というのは、私有財産の形成につながるということで、慎重に検討してきたところでございますが、ご存じの通り昨年東京都におきます地震の総合危険度の発表等によりまして、最近の地震等を見ますとにわかに耐震問題がクローズアップされてきたわけで、そういう意味で品川区で耐震診断を考えておりますのは、建築物の形状あるいは構造、地盤形状、地域の密集度、そういう地域特性を良くつかまえた上で、効果的な対策をやっていかなければいけないということでございます。

したがって、今一番品川区で問題となっておりますのが、やはり老朽の木造建築物ということでございますから、区の方としては一番手当の必要な木造建築物に対してやることが、効果・効率的な事業展開になるだろうということで、それについての助成を検討しているということでございます。

ちなみに、千代田区、中央区がどうしてやったかという実情を存じておりませんが、こちらの方の地域特性といたしましては、古くから耐火建築物が構築されたということで、RCの建物の構築というのが両区では非常に大きな課題となっているというような地域特性から、こういうものを導入してきたのではないかというふうに、私ども考えているところでございます。

それから、二点目の区営住宅の関係でございますが、区ではご存知の通り中堅所得者向けの区営住宅が1000戸超えたわけでございまして、都民住宅とあわせますと1545戸になります。一方、低所得者向けの都営・区営住宅をあわせますと4102戸ということでございます。収入部位を考えますと、0〜25%の所得部位が都営・区民ということになりますし、25〜80%が区民、都民という住宅になります。こういう両方の部位を比較しますと、区として都営・区営住宅については、4000戸あれば充足というふうに考えているところでございますので、住宅対策につきましては、一応今のところは区営住宅を建設する考えはないと、たびたび答弁で申し上げたところでございます。

菊地委員

耐震診断の点ですけれども、木造がまず優先課題だということでありますけれども、先ほど述べたように、私も幾つか調べてみました。お隣の港区ですけれども、木造家屋ですと、15万円という限度額で、非木造ですと限度額が150万円ということで、もちろん部長がおっしゃったように、各区とも対象物件はいろいろありまして、考え方の違いがいろいろあるようですけれども、いずれにしても震災で多くを失ってから援助をするということではなくて、その前に対処しようと思いがあるのかと思います。品川区でも、ぜひ将来的には個々の住宅と集合住宅を区別していくことではなくて、耐震診断を一つの助成制度として創設をしていただきたい。先ほどマンション類については後の話しだということがありましたけれども、ぜひ一つの制度として創設すべきだというふうに思います。併せて、診断の結果、危険だというふうに診断された建物に、国の制度として昨年耐震補助制度ができたそうですけれども、こういうものを活用したり、あるいは区として無利子の制度融資というものが必要かなというふうに思いますけれども、この点でのご答弁をお願いしたいと思います。

それから、住宅問題です。今、部長が述べられましたように、区は従来から都営・区営を合わせて4000戸を持っているので、それを回転させていくんだというふうに言いますけれども、実際には空き住宅は、5月もそうですけれどもたった一軒です。非常に数少ない状況の中で、事例で紹介したような方たちがたくさん応募される。これが今の実態なんです。実際に住宅に実際に困窮している区民の皆さんですとか、不況の時代ですから、収入が低下して困っている区民にどんな手を差し伸べていくのかというのは、自治体の果たす役割の最も重要な部分ではないかという風に思います。

この住宅問題は後ほどまちづくりの問題と関連をしますので、その点で質問をしていきたいなというふうに思います。

開発の問題ですけれども、先の款別審査の中でわが党の宮崎議員が大崎中地区の再開発の問題でお聞きをしました。住宅を中心とした計画に切り替えるということですけれども、昨年の10月にオフィスを中心にした計画に対して、保留床について2社の共同グループが内定したと、10月の後半には組合総会を開いて徹底をする。こういう話しが議会の中でありましたけれども、2社の共同グループは一体その後どういうかたちになっているのか、この辺の経過を含めてお聞かせを願いたいと思います。

それから、東口の第三地区です。いよいよ事業が開始をされるというような新聞報道もありました。102億円の補助金が投入されるということですけれども、改めてここでの計画概要についてお知らせを願いたいと思います。

中谷まちづくり事業部長

まず最初に、耐震診断の助成のことですが、先ほども申し上げましたとおり、まず危険な地域の密集住宅地域の木造住宅ということを、区としては優先して取り組むべきというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

次に、耐震診断が終わった後の改修助成ということでございます。区では、現在『住宅修築資金斡旋制度』というものを持っておりますので、こういうなかで耐震の改修工事につきましても、これの対象としておりますので、ぜひこういう制度を活用していただきたいというふうに考えているところでございます。

それから、耐震補強についての国の補助ということでございますが、『密集住宅市街地整促進事業』の新しいメニューとして、昨年国土交通省が密集地域、これも全部計画地域に入れた地域でございますが、これの補助制度を導入したいというふうに聞いておりますが、これについても非常に避難路沿いであるとか、特定行政庁による勧告が必要だとか、最初から計画エリアに入れなければならないとか、いろいろ特定の制限がございまして、今後の事業展開するなかでの検討課題であるというふうに認識しているところでございます。

岩野まちづくり事業部次長

まず、大崎中地区の状況でございます。2社の共同グループということで、昨年の9月でございますが、都市計画決定の前後に事業協力者として準備組合が内定したというものでございます。

ただ、その際に、その後具体的な細部にあたって、事業協力の内容について準備組合、それからすでにある事業協力者と協議を行いましたが、その結果いろいろな条件等について具体的な合意を得られませんでしたので、本年6月段階で、準備組合が事業協力ではなくて、参加組合員を直接探すといったようなかたちでもって現在にいたっているという状況でございます。

それから、東口第三地区の事業概要ということでございます。現在の組合の資金計画上ですと592億円、補助金につきましては委員ご指摘のように102億円ということでございまして、この地区面積が約2.5ヘクタールございまして、施設の延べ床面積が14700平米。主な用途ですが、業務棟が22階建てで約80000平米。それから住宅ですが分譲棟が27階建てで32100平米で約250戸、賃貸棟が28階建てで32600平米で、約330戸。以上でございます。

菊地委員

耐震診断についてですけれども、品川区の場合、海沿いに埋立地が広がっておりますけれども準工業地帯になっています。東大井、東品川の一帯は集合住宅を建設され出して30年近くなるということですけれども、東京都の防災地図を見ますと液状化現象をおこしていくという地域が点在をしているんです。その上に建設されているのが1981年以前に建設をされたマンション群です。

実は私も住まいは東品川3丁目、区長のマンションの近くでありますけれども、実際にこうした大型マンションが密集する地域、それから個々の住宅が密集する地域でも同様ですけれども、助成もなしに個人に任せていくというかたちでは行政にしても区民にしても重大な犠牲を招いていくということになりますので、ぜひこのことを念頭においた施策の展開をお願いをしたいと思います。

東口の第三地区ですけれども、総事業費が592億円ということで、述べ床面積で考えますと、約44%強が住宅ということになります。先ほど、区営住宅と都営住宅の1戸あたりの建設費述べていただきましたけれども第三地区の場合、住宅1戸あたりの補助金は一体どれくらいになるのかお考え願いたいと思います。

それから、大崎中地区です。条件合意がなかったということですけれども、準備組合が10月8日付けで発行したニュースの中に計画見直し案が出されていまして、款別審査のなかで3通りの案のうちの一つだというお話しでした。

一昨日、準備組合に入っておられる皆さんの意見を聞きにいったんですけれども、開口一番「なんとかこれをやめてもらいたい」と。それから「近所の人と話しても賛成している人はいない」、「あるいは話が出て10年、計画が簡単に変わるし、自分のような小さな権利者の為とは思えない」「ここを離れたくない、誰が決めたんだ」。大変な不安や疑念をもっておられるわけです。

お聞かせ願いたいんですけれども、昨年権利者9割が準備組合に入っているということでしたけれども、現在はどうなっているのか、組合に入っていない権利者はいったい何名くらいいらっしゃるのか。それからもう一点ですけれども、都市再生について昨年の答弁のなかで、「効果的な投資を行って都市の活力を高める事にしたんだ」「大崎駅周辺の開発で言えば、特色をはっきりさせて他の地域と差別化をはかるんだ」というふうに言ってるんです。ところが開発ニュースを見ますと、「計画変更して進めるほうが参加組合員も見つけやすくて、スピードアップになる」と住民の質問にこのように答えているわけですけれども、この考え方というのは、実際に特色がどうとかというような問題ではないような気がしますけれども、この点についてお聞かせを願いたいと思います。

それからもう一点、街づくりの問題でこれは差別の問題になりますけれども、北品川四丁目で三菱商事がマンションを建設するという計画が進められていますけれども、この土地は元ミャンマー大使館があったということですけれども、第一種住居専用地域です。ここに述べ床面積が19000平米と巨大なマンションを建設するという計画がたてられていますけれども、品川区はこのことについて、開発道路の指導を行っているということですけれども、この辺の子細についてお知らせ願えればと思います。

岩野まちづくり事業部次長

まず、住宅1戸あたりの補助金ということでございますが、今、計画概要等について定まっておりませんので、大体住宅1戸あたりにどれくらい補助金が入るかということについては私ども把握はしてございません。

それから周辺の住民の方の状況でございますが、今84名の権利者がいらっしゃいまして、その内の7名が準備組合の非加入ということでございます。

全体の計画についてでございますが、款別審査のときにもお答えいたしましたように、いくつかこうやったら事業化できるのではないかといったかたちでもって、主に住宅をメインにした計画を地元と話しているといったところでございます。

それから都市再生に絡めた話の中には、当然ながら事業的なものとやはり60ヘクタール全体のなかで西地区がどういう役割を占めるかというようなことの検討と、両方からやっているというような状況でございます。

中谷まちづくり事業部長

私の方からは、北品川のミャンマー大使館脇の開発問題の道路の関係につきまして、ご説明申しあげます。

ミャンマー大使館脇の開発については、現在事業主から区のほうに都市計画法に基づきます事前協議がございました。当該地域は中に一指定道路がございまして、これを今回の開発に伴いまして線路際のほうに付け替えて、そして既存の私道と結合しようというものでございます。区としては、この道路を建築基準法の道路として扱うということですので、既存道路と結ぶということは、この地域の安全性の向上の上からも好ましいと判断しておりまして、事業主に対しましても各建築基準法、都市計画法等の諸法に基づきまして、手続をきちんとしていただくように現在指導しているところでございます。

菊地委員

東口第三地区の一戸あたりということは出せないというお話しでしたけれども、私、床面積で勝手に出させていただきました。床面積でいいますと、1戸あたり約770万円の補助金が投入されるということになります。

総事業費は床を売ったお金と補助金を総計した額だというようなことですけれども、補助金そのものは、実際には44億8000万円あまりが住宅に注ぎ込まれているということになります。

補助金の性質についてお聞きをすると、よく道路や公園の整備費で、本来区がやらなければならないことを事業者にやってもらうので、補助金を出すんだと言いますけれども、実質的には開発ビルに呼び込んでいく為の整備ですよね。住宅にしろオフィスにしろ、実際に貸すなり売るなりしていかなければ利益が出てこないわけですから、オーバルコートのように、実際に大手企業がつくったマンションが建ち上がってみると、区民にはなかなか手が出ないような、7000万円〜1億数千万円という高額なマンションが実際に開発地域の中に建設をされていく。私は本当に、区民の生活に軸足を置いて、社会的弱者を援助していく施策を展開すべきだというふうに思います。

ですから、先ほどお聞きした区営住宅の建設をしていくというようなことが重要ではないかというふうに思います。

ちょっと時間がありませんので、最後に北品川のマンション建設の問題ですけれども、私は品川区内で数少なく残された御殿山ですとか池田山、それから旗の台の1部でしょうか、わずかに残った第1種住居専用地域を守っていくべきだというふうに思います。区でも用途地域の見直しの際に、第1種住居専用地域は守っていくんだというふうに言ってきたと聞いていますけれども、この方針を転換してしまうのかどうかということについてだけお聞きかせ願いたいと思います。

中谷まちづくり事業部長

第1種住専の変更についてのお尋ねでございますが、区ではこれまで御殿山地域を第1種住居専用地域ということでおこなってまいりました。現在、用途地域の見直しの手続き書でございますが、ここについては変えるということにはなっておりません。今回、この事業者が予定おりますのは、第1種住居専用地域の中で綜合設計制度という手法を利用して開発を行うという、これは東京都の制度に基づくものでございまして、適応のものであるというふうに認識しております。

菊地委員

開発の問題について言えば、大崎中地区について言いますと、実際に80%の土地を企業が持っているという状況下にあります。そういう中で家屋しか権利を持たない皆さんにとっては、極めて不安な状況下の中での生活だというふうに思います。

ぜひ、こうした住民の皆さんの意見を再度取り上げていっていただきたいというふうに思います。

北品川の件では、地元のみなさんから140名の署名を添えて、開発道路と私道をつなげないようにという要請が出ていると聞いております。先の第1種住居専用地域を守っていくという立場を、ぜひ貫いていただきたいと思います。

以上で、質問を終わります。

沢田英次委員の質問はこちら

前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ