3月24日、1回定例議会が閉会しました。今定例会は昨年の一斉地方選挙後初めての予算議会であり、区長および各党の対応が注目されました。
党議員団は不況が深刻化しているもと、
を進めていること、加えて石原都政が福祉切捨てをすすめている下で国政、都政問題とも関連させ、取り組んできました。
2004年度予算および第1回定例会で党議員団の実績は以下のとおりです。
なお、マスコミにも報道された来年1月実施の「小学生の医療無料化」は、党議員団の10年間に8回にわたる乳幼児医療助成制度の対象拡大の議案提案が力となったことはあきらかです。公明党は「小学生医療無料化はわが党の実績」とポスターを張り出していますが、それならなぜ、乳幼児医療助成制度の対象年齢拡大、所得制限撤廃の条例提案を自民、民主とともにことごとく反対、否決してきたのか、区民の前に明らかにすべきです。
運動次第で今後の値上げを止める可能性…区の答弁に変化
高橋区長は「未来を担う子どもや子育て世代を力強く支援」を予算編成の柱のトップに掲げながら、保育園保育料を9%ずつ3年間で連続に値上げし27%にする問題です。これは23区で品川区だけという特異な提案でした。
小泉内閣は「三位一体解決」で公立保育所運営費など国庫補助を一兆円を削減。品川区の影響額は確定していませんが1億1千万円程度の見込みです。所得贈与税で一部補填されるとはいうものの自治体への影響は甚大です。品川区は否定しますが、今回の保育料値上げは国庫補助削減の付けを保育園父母に回したものともいえます。
わが党は「保育料27%値上げで3歳未満時で、平均でも9万4800円の負担増となる。保育料値上げは学童保育クラブの廃止とともに、社会全体が取り組んでいる子育て支援に逆行する。少子化に拍車をかける」と保育料値上げ反対の論陣を張りました。
区は「1人あたり月18万4千円経費がかかるのに保育料は1万7300円でしかない。受益者として27%値上げは当然」と主張。党議員団は、「子育てで利益を受けるのは家族だけでなく社会全体である。その上、共働きの女性は所得税、地方税、社会保険料など平均で70万円負担しているし、生涯にわたって払い続ける」と反論、区はまともに答弁できませんでした。
区は当初、「3年間で27%値上げする」といっていたが「今年度9%値上げをするものであり、その後は社会・経済情勢を見て決める」に態度を変更。これは運動次第では今後の保育料値上げをストップする可能性を示すものです。
なお、保育料値上げと共に、延長夜間保育料についても負担増が行われました。現行の月額と日額を選択する方式から、日額のみにすることにより月極め利用者に大変な負担増となるものです。
年収約300万円のD4階層の3歳児が1時間を超えて平均の16日間利用すると現行2600円から8320円と3倍になり、月5720円、年間6万8640円もの負担増となります。
非常勤職員の通勤費支給など待遇改善を求める
職員を削減し、区の行うべき仕事を営利企業に委託させる問題です。
予算案には、正規職員71名削減を盛り込んでいます。主な内訳は保育園給食調理委託34名、身障会館委託25名、学童保育17名など。
正規職員を減らし区の仕事を民間に委託、非常勤職員への置き換えが急速に広がっています。
図書館の受付事務を委託、幼保一元化のプリスクールを私立幼稚園長でつくるNPO法人に委託、さらに保育園に続き学校給食も改築時に学校給食も民間に委託をする方針です。
党議員団は、民間委託、正規職員から非常勤に置き換える問題は政府と財界が求める自治体の仕事を市場開放する」方針にそって進めるものです。営利企業に公の仕事を任せることは公的責任の放棄であり、サービス低下が心配される、と厳しく批判をしました。
また区には950名、4人に1人が非常勤職員(正規職員2830名)となっています。議員団は非常勤職員の待遇改善を求めました。@通勤費を支給しない(支給しないのは23区で4区のみ)問題、Aサービス残業が常態化、B多くが社会保障未加入、となっている問題を取り上げ、改善を求めました。区はいずれの提案も否定をしましたが、ILOの条約、「均等待遇」の原則に反するものです。民間委託先の労働者の不安定、無権利の状況を改善することと共に、非常勤職員の待遇改善に今後、本格的にとりあげていきます。
一貫校計画の見直しを求める
品川区の進める教育計画「プラン21」の中心をなす能力別教育(競争教育)を徹底批判、平等教育、共生教育への転換を求めた点です。
品川区は「プラン21」に基づき小中一貫校、学力テストの実施と学校ごとの成績公開、習熟度別学習などの能力別教育(競争教育)をすすめています。
わが党は「欧米の大半の国は70年代から80年代に平等教育、共生教育に移行している。2000年に実施したOECD(経済協力開発機構).の国際学力テストでも、スウェーデン、カナダなど上位の国はいずれも平等教育をすすめた国が占めた。能力別教育を中止し『できる子』も『できない子』も共に学ぶ質の高い平等教育に転換すべきである。そのためにも少人数学級の実現を早期に行うべきだ」と指摘をしました。
区教委は能力別学習の一つである習熟度別学習について「世界にはその研究結果はない」と不勉強、事実をゆがめる答弁に終始しました。子どもを実験台にし取り返しのつかない学力の遅れ、学校崩壊に導く危険のある小中一貫校、習熟度別学習は再検討すべきです。
品川区が全国でも突出した大規模再開発を進めてる見直しの問題です。
わが党はゼネコン大企業の儲けを保障する開発でなく、都・区営住宅、特養ホーム建設など、区民の要求の沿った公共事業とするよう転換を求めました。
今年度、動き出した大崎駅東口第三地区開発(推進企業:大成建設、不動建設など)に総額で102億円の補助金(税金)投入します。
「4000人の子どもが通う保育園の年間運営費87億円、大林組、住友不動産など少数の企業が進める第三地区開発に102億円。保育料は受益者負担を理由に大幅値上げしながら、大手ゼネコンに巨額な補助金を提供する…地方自治体は住民のくらし、福祉、教育を守ることが使命であり、ゼネンコン大企業の利益代表ではないはずです。
なお、今年度の予算には、大崎駅西口明電舎、同中地区開発、広町JRアパート開発など都市再生の名で進められる開発に31億円余が盛られています。
高橋区政は長期計画では住民参加を掲げながら「住民の意見を聞かない」「議員にも資料を出さない」一方的な運営を行っています。住民が主人公の開かれた区政運営を求めました。
品川区は保育料値上げ、学童保育のすまいる移行と全廃、小中一貫校など重要施策を進めるに当たり利用者、住民、職員に事前に説明せず意見も聞かず決定。区民はマスコミの報道を通じて事態を知る、こんなことが頻発しています。
区教育委員会は、予算についての審議を「予算の政策過程中」と非公開にしています。23区で予算を非公開にしている教育委員会は品川、新宿、台東、杉並の4区のみです。
また議員に対しても都合の悪い資料は提出しない、「行政情報は一件300円を出して情報公開制度でとれ」このような事例は品川区のみです。
党議員団はこの問題を取り上げ、「地方自治体の主人公は区民」の立場で情報を公開し住民参加を言葉だけでなく文字通り実行するよう求めました。
また、党議員団は以下のとおり、情報公開、乳幼児医療条例改正提案を行いました。
いずれも賛成少数で否決されました。
自民、公明、区民連合(民主)、無所属の会はすべて反対、生活者ネットは、情報公開・個人情報保護条例の改正案には賛成、乳幼児医療制度の条例改正案、予算修正案には反対しました。
本定例会では「自衛隊のイラク派兵に反対し、国連中心の人道支援を求める請願」「自衛隊のイラク派兵に反対する意見書の提出を求める請願」の2つの請願が区議会に提出されました。日本共産党区議団は、自衛隊のイラク派兵反対の態度を表明し「品川区議会として政府に対し派兵反対の意見書を挙げるべき」と主張し、請願採択に向け奮闘しました。
各党の発言は次のとおりです。
自民、公明、民主党は請願の不採択を主張。日本共産党(宮崎議員)、無所属の川西絹子議員は請願採択を主張、採決の結果、不採択となりました。
党議員団は第1回定例会を総括し、大不況の中でこそ、区民のくらし福祉を大事にした自治体本来の役割を発揮する品川区となるよう全力をつくすものです。