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品川区議会第1回定例会予算委員会民生費審査

沢田英次区議会議員(日本共産党)の生活保護窓口対応問題、ホームレス対策についての質疑

2002年03月12日

沢田委員

生活保護費との関連で、ホームレスの問題についてお尋ねしたいと思います。

冬がやっと春に向かって乗り越えたといいますか、そういう段階になったわけですけれども、改めて、ホームレスが、現時点で、品川区でどのぐらい確認されているのか。

それから、この冬の事故はあったのか、なかったのか。あったとすれば、どんなものなのかを教えていただきたいと思います。

黒田生活福祉課長

毎年、2月と8月に目視の調査を行ってございますが、今年の2月に土木課のほうで調査をしました数では、区内では51人と聞いてございます。ただ、それは、国道、都道とかの数字がまだ入ってございませんので、一応、区道と区の公園ということで、50名ちょっとということでございます。

この冬の事故ということでございますが、路上で倒れたとか、駅のホームで倒れたとか、そういうことで緊急に入院ということはいつもと変わってございません。ですから、特別な事故というのは、今のところ、報告はございません。

沢田委員

ホームレスの数が、8月の時点でも50人ぐらいで、ほとんど変わっていないと言うのですけど、私の実感からすると、今、課長がおっしゃったように、地下鉄の中だとか、都道関係だとか、これは日中の目視ですよね。ホームレスもかなりの方が働きに出ていますから、公園だとかに必ずしもいない。そういうことを考え合わせてみますと、とても50人では収まらないのじゃないかと、私、実感いたします。

そこで、次の問題ですけれども、自立支援センターだとか、今度、大田寮ができましたけど、緊急一時保護センターの紹介はどんな状況だったのか。

それから、前に飯沼委員への区長の答弁で、「保護課と土木課のほうで組んで街頭相談を積極的にやっています」という答弁をいただているのですけれども、街頭相談はどんなケースというか、そこから何件ぐらい相談が出たのか、概略を教えていただければと思います。

黒田生活福祉課長

自立支援センターへの紹介ということですが、昨年12月から、緊急一時保護センターということで、大田寮が始まってございます。今のところ、台東寮でございますが、品川区が自立支援センターを利用しているのが16名、大田寮のほうが、同じような数字ということで、着実な利用かと、私のほうは認識してございます。

街頭相談ですが、路上生活者が多い上野とか新宿や何かには、医療相談なり、生活相談ということで、テントを張って相談ということがございますが、品川区の場合は、それほどのたまり場所がございませんので、昨年の11月からは、水神公園のほうに出かけまして、まちづくりの関係の所管の職員と一緒に声かけをしてまいりました。そのときには、地域の町会の方もご一緒ということで、公園を清掃するということで、ダンボールや何かを一緒に片づけながら、そこにいる方の望んでいることや何かをお聞きしながら、施設のほうにつなげたということでございます。

沢田委員

ご苦労さまでございます。先ほど、自立支援センターへ16名というのは、前に私どもが調査に行ったときのゼロから比べると、かなり増えていると思うのです。ただ、増えすぎてはいないかと。たしか、全体の定数が70人ぐらいだったのではないかと思うんですけど、今、入っている数なんですか。これは累計か何かということはないのでしょうか。ちょっとそこを聞きたい。

それから、これまでの台東寮の累計の数と、実際にそこから自立された方は何名ぐらいいるのか。

それから、大田寮の一時保護センターのほうも16名前後だと言うんですけれども、ここはたしか2カ月だったと思うのですが、2カ月経って出た方は、その後どうなっているのか、わかる範囲で教えていただきたいんですが。

黒田生活福祉課長

自立支援センターのほうは、3月5日現在で16名の方が利用されております。実際に、今、入所している方は6名。就労等が7名でございます。1名が居宅で、1名が厚生施設に入っているということですので、累計で16名。

緊急一時保護センターの大田寮のほうは、今のところ18名が利用してございます。自立支援センターにつながらない方が1カ月で、可能性がある方が2カ月まで利用できるということになっていますので、今のところ18名で、そのうち1名は就労してございます。あとは台東寮とか、サクラ寮等、あと入院等ということで、いろいろと分かれてございます。実際に、今、入所中は9名でございます。

沢田委員

そうしますと、自立支援センターの16名のうち、7名が自立して就労したということで、よろしいんですか。

はい、わかりました。では、それはそれで結構です。

大体、状況がわかったのですが、ここで私に相談があった2つの事例を紹介したいと思うんです。1つは、私の娘の同級生の親で、業界のある雑誌社を経営していたんですけれども、いいときには所得が3,000万円ぐらいあったのですが、弟の会社が倒産をして、妻に相談なしに弟の保証人になっために離婚となりまして、マンションを売りに出して、その方が私のところに、「ちょっとお金を貸してくれないか」と、そんなに私は金持ちではないんですけれども、そういう相談が来ました。

私の娘の同級生の親だけに、ほんとうに人ごとに思えませんでした。「仕事はどうなのですか」と言ったら、私より2、3歳若い方でして、「50歳を超えてハローワークに行っても、まずありません」ということでした。それが1つ。

もう1つは、去年の12月29日に、たまたま私と知り合っているホームレスの方から、友人が3日間、食事がのどを通らない。吐血と下血、足は水膨れのように水が出ちゃって大変なのだ、というので、どこかというので行ったら、五反田駅の地下鉄の構内といいますか、そこに行って驚きました。顔は黄疸でまっ黄色で、いかにも重症ということがわかって、駅前の交番から救急車を手配し、緊急保護をかけて入院したのです。そのときに私が思ったのは、そこに12、3名の路上生活している方がいたのですけれども、その人たちは、大体50歳代ぐらいで、みんな若いんですよ。すごく面倒を見ていたあるホームレスの方に、私は聞いたんです。「あなたは、何でホームレスになったのですか」と聞いたら「いや、5年前にリストラにあって、もがけばもがくほど悪いほうに行って、仕事がついになくなって、ついにこのざまです」という、2つの相談がありました。

ホームレスは、怠惰で、好き好んでやっているという、一部にはそういう声もありますけれども、この長引く不況の中で、倒産、失業、病気というのもあるかもしれませんけれども、社会的な現象としてどんどん生み出されているこの問題に対して、個人の問題ということではなくて、やっぱり政治、行政の側が取り組んでいくことが、今、ものすごく大事で、東京都と23区の間でもスクラムを組んで進み始めた、これは貴重な前進をしているんだと思います。

ちょっとここで具体的なことを聞きたいのですが、私は、東京都と23区のこの施策の中で欠落しているのは、やっぱり住宅問題だと思うんです。アメリカもそうですし、イギリスでも、フランスでも、ドイツでも、世界の先進国のホームレス対策は、まず住宅をいかに確保するのかということなのです。

緊急保護の形で1カ月だか何かのこれはありますけれども、ホームレスの人が地域で自立をしていこうとすれば、まず住まいがなければ100%就職できないと、異口同音にホームレスの方は言っております。

そういう点からすると、例えば簡易宿泊所を用意するとか、そんなにいいものでなくても、アパート代の一定額を貸し付ける、あるいは提供する、あるいは、公営住宅の空きだとか、待機寮がなじむかどうかわかりませんけれども、何らかの形で住宅を提供すれば、そこから立ち直っていくと、すごく思うのです。

ホームレスが、3カ月、6カ月経つと、ますます心身ともに衰えて、自立しようとする意欲も衰えていく。その結果、医療費もかさむかもしれないし、場合によると生活保護、緊急保護をかけなきゃならない。本人の生存権という問題もあるのですけれども、結果的にどんどん公的なお金も出ていく。そういう点で、早い段階で住居を提供して、自立のための支援をするというのはすごく大事だと思うのですけれども、その辺のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

黒田生活福祉課長

住宅を、というお尋ねでございますが、今回、東京都と23区が共同事業としてかかわったのは、やはりホームレスの対策は、住宅と雇傭と、医療、福祉だけでは済まないということで、東京都が23区が共同事業として行ったものでございます。

ですから、緊急一時保護センターに入って、自立支援センターに入った段階で、入所しながら就労をしていただいて、それで得た金額で住宅を確保していただくというような流れになってございます。ですから、即、いろいろを住宅をということでお話がありましたが、ホームレスの方は長くなりますと、生活習慣等、いろいろな社会常識等がちょっとなじまなくなっているということもございますので、そういうところで、自立支援センター、平成14年度に東京都と23区でグループホームというものを実施する予定でございますので、それについて生活習慣、日常生活の常識的なものを身につけていただくことを考えてございますので、即、住宅というのはつながらないのではないかと考えてございます。

沢田委員

私は、そこに問題があるのだと思うんです。路上生活をしなければならないというのは、住宅がないから路上生活、ホームレスとなるわけですよ。

では、例えば示しますけれども、中島明子さんという和洋女子大学の教授が言っているのですけど、「欧米では、ホームレス問題解決の重要なかぎの1つは住居保証であるという認識がある」。イギリスの例を出しているのですけれども、「ブレア新労働党政権の登場で、大口ンドン庁の住宅審議会委員長には、イギリス最大のホームレス支援組織であるシェルターの代表がこれに収まっている」。国民に住宅をいかに提供するかということが中心に座っている事例だと思うのですよ。

ところが、日本は、ホームレスの問題だけじゃなくて、住宅は自分で持てと。私は、この予算委員会で、初日に言いましたけれども、ホームレスの問題でも、住宅が後回しになっているということが言えるのじゃないかなと思います。

次の問題ですが、生活保護の適用の問題で、昨年の決算委員会で、稼働能力があっても、どんなに探しても仕事が見つからない人には、緊急の保護をかけるべきではないかということを言ったのですけれども、改めて、生活保護を必要な人にかけて、一時、路上生活の救済をするというのは急務だと思うんですが、その辺の考え方はいかがでしょうか。

黒田生活福祉課長

昨年も申し上げましたけれども、ホームレスの状況を十分に把握することが重要ということで、前に会議資料ということで、委員、示されたと思いますが、稼働能力があるとか、そういうことだけで保護の対象にならないのはおかしいということをおっしゃいましたが、これについては、やはりホームレスであることをもって当然に保護の対象になるものではないということを、会議資料の中に書いてございます。

居住地がないことや、稼働能力があることのみをもって保護の要件にかけるものではないということが書いてありますので、生活の実態調査をこちらがするに当たって、どういう生活をされているか。やはり元気な方は結構いらっしゃいますので、そういうところから、今回の東京都と23区がやってきたこの事業を回転させていくことが、ホームレス対策の大きな一因になると思ってございます。

ですから、支援センターとか、緊急一時保護センターに入れた方でも、3日で、こういう施設に入るのは嫌だから出てきたとか、1カ月で限界だ、自分は自由な公園に戻りたいということで出られた方がおられます。いくらこちらが努力をしても、ご自分は……、だからそういうところで、ホームレス、即生活保護の適用とは考えてございません。

沢田委員

先日、74歳の、昔、水道屋をやっていた人が、視力が衰えて仕事に就けないというので、生活福祉課のほうに行ったのですよね。そうしたら、「あなたはまだ働けるはずだ」と言われて、「いや、とても働けないのです。眼鏡をかけて0.1ですから視力障害のところに入っているわけです。今、生活保護をかけてもらえなければ、私はホームレスになるしかありません」と言ったら、「どうぞ、ホームレスになればいいじゃないですか」と言われたのです。(「そんなこと言うはずがない」と呼ぶ者あり)いや、本当だから、私は心配なのですね。売り言葉に買い言葉の点があるかどうか、私はその現場にいませんけど、ホームレスになるならなりなさいと言われたそうです。

みんながそんなことはない、と言うほどのことが、現実に起こっているということを、私は強調したいと思います。

先ほど、生活保護関係全国係長会議を3月2日にやられたと課長が言って、最初は、「単にホームレスであることをもって当然に保護の対象となるものではなく」と、これは当然だし、私も要求していませんよ。必死にやっても仕事が見つからずに、食べるものにも困った場合に、その後が大事、「居住がないことや稼働能力があることのみをもって保護の案件に欠けるものではない」と。やっぱり相手をよく見て、生活実態を見て、考えなさいということは、これは重要だと思います。

時間があと1分しかないので、これは質問できなくなりましたけれども、支援センターに入った方からこんな話を聞きました。「なぜ施設に入らないのか」と言ったら、「人間扱いされないから嫌なんだ」と。食べものは、ほんとうに犬、猫に等しいようなものだと。そこで売っているズボンは、まちで買えば2,000円ぐらいのものが6,000円もする」という話を、いろいろ聞かされました。

私は、支援センターに入らないのが悪いというよりも、みんなが支援センターに入れるように、利用して自立できるように改善をすることも、やっぱり本格的に自立支援を行うなら、今後、やっていくべきではないかなと思います。

時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。

<参考>
公明党鶴議員の予算委員会総括質問における発言(2002.03.22)
公明党鶴議員への公開質問状(2002.04.30)
公明党鶴議員の回答(2002.05.14)
問われる、区民の願い阻む鶴尚議員の政治姿勢 公開質問状への回答について(2002.05.21)

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