5月14日、公明党鶴尚議員より党議員団が送付した「沢田英次議員のアルゼンチン債購入問題などの質問にたいし誹謗、中傷したことに関する公開質問状」についての回答(差出しは10日)が届きました。公開質問を通じ(1)鶴氏は6項目の質問に全く答えられず、事実上の回答不能となっており、沢田議員を誹謗・中傷した論拠がないこと、(2)鶴氏の質問が、高橋区政の擁護、区民の願いを阻む政治的立場が明らかになりました。
公開質問は2つ柱で行われました。
1つは、沢田英次議員がおこなった代表質問や予算委員会でのアルゼンチン債購入問題の追及に関して、です。
沢田議員の質問の「理事会にまるで本当のことを言わない。うそを言っている」「こんなやり方が今回の事態を招いた。処務規定もそうだけれども寄附行為、会社の定款にあたる問題もでたらめばかりやっているというのが私の印象です」などの発言に対し、鶴氏は総括質問で「言葉を極めた不適切な批判」「不穏当な発言や確証のない発言」と沢田議員が事実を捏造、ウソを重ねたかのように断定。また「(区が)少なくてもウソをついているようなことはない」と言い切りました。鶴氏の発言は、この問題の究明のために先頭に立った沢田議員を中傷することにより、高橋区長を全面擁護することにあったことは明らかです。
公開質問では(1)貴殿は「少なくても(区が)ウソをついているようなことはない」とするならその理由をお答えください。(2)沢田議員の発言を「言葉を極めた不適切な批判」「不穏当な発言や確証のない発言は軽軽にすべきではない」の発言は何をさすのか、理由をお聞かせください、と質問したのです。
しかし、鶴氏の回答書では「沢田議員の批判が当たるのか…区民の皆さんにわかりやすい説明を求めた」と経過を述べただけ、となっています。「確証のない発言は軽軽にすべきではない」との根拠を示すことができませんでした。
なお、鶴氏は「『毅然としたけじめが必要だ』と指摘し、『監督責任を求められている理事長も、その職を辞職し適任と思われる民間人を選任するなど、新しい体制のもとで、事業団への信頼回復に努めるべきである』と進言…」とアルゼンチン債購入問題で、厳しい追及をしたかのように主張していますが、これは高橋区長の主張する「相見前副理事長が独断でやったこと。私は知らない」との立場に立ったものであり、事業団の理事長辞任をもって責任をとったとする、区長の主張と同じ内容となっています。
もう1つは、沢田議員がホームレス対策および生活保護申請にかかわる窓口の改善を求めた件に関して、です。
沢田議員は「大不況の中でどんなに職を探しても見つからない人に、一時的に生活保護を適用すべきだ」と提案。その上で生活保護の申請をしたNさんの事例を紹介し、対応した職員から「どうぞホームレスになればいいじやないですか」と言われた事実を紹介し、改善を求めたものです。
公開質問では(1)小沼部長の「職員のほうから『ホームレスになればいいじゃないか』といったことはございません」との答弁が正しい、とする根拠を明らかにして下さい。(2)沢田議員立会いのもとでNさんと会い、事実関係を確認し必要な対応するように求めます、と2点の質問をしました。
鶴氏は「事実か否かの確認を品川区の関係理事者に求めた」と答えるだけでした。しかし、総括質問では「不謹慎な職員がいないということがよくわかりました」と沢田がありもしないことを取り上げた、と断定しました。しかし、Nさんは「私は、窓口でホームレスになればいいじやないですか、と言われたのは事実であり、そのことを証言してもよい」と言っています。
区民の皆さんは生活保護の申請に当たり、思い悩んで窓口に行く方が少なくありません。親身になった窓口での対応が求められているのに、「2回も3回も窓口にくるように言われ、生活保護を受けることをあきらめた」「乱暴な言葉をいわれ2度といきたくない」など、一部の職員による心ない対応が繰り返されてきました。区民にとってやさしい窓口対応への改善は議員の重要な任務の1つです。
鶴氏は議会の中で、これまで根拠もなくわが党の議員を名指しし、行政となれ合い質問を繰り返してきました。こうした立場が区民に何をもたらすのか、1つの事例として3年前、わが党が学校のトイレ、雨漏り改善などに議会で取り上げた問題について述べます。
党議員団は各学校を調査、また関係者の聞き取り調査をおこない、学校の施設、雨漏り問題の改善を求め、本会議、予算委員会などで取り上げました。
鶴氏は、「学校ボロボロキャンペーンは、数々の誤った悪質な、ウソ宣伝が繰り返されていることですね」などと、共産党が取り上げた学校施設改善の取り組みを非難した上で、教育長に質問。教育長は「学校公開に参加した4000名からのアンケートでは『(学校施設の問題で)問題がある』と言う回答は1件もない」と答弁しました。公明新聞は鶴議員の質問を取り上げ「共産党のボロボロ宣伝の大ウソが明らかに、教育長が明言、問題ありは1件もない」と書きました。
しかしその後、区民運動と共同した共産党の取り組みで、学校環境整備費6億8千万円(97年)から10億円(02年)に増額、小学校の男女共用・簡易間仕切りトイレはすべて一掃、当時、雨漏りで論議の的となった冨士見台中学校をはじめ学校での雨漏り対策なども大幅に進んだのです。共産党の質問は、子どもと親の願いに答えたものでした。
鶴氏は、折に触れて住民要求を取り上げるわが党議員にむけて誹謗・中傷を繰り返してきましたが、それは区民の願いに背き、悪政推進に手を貸すものであることを示しています。
鶴氏は「重大な関心を持った案件について、理事者に質すことは、議会人の1人として“当然のことであり…。言論の自由は尊重され言論の暴力は許さない社会をつくることの大切さを、今、私は噛み締めています、などと、“所感”を述べることも、議会制民主主義の観点からも何ら制限を受けるものではありません」と述べています。
言論の自由および議会での公正な論議は、事実に基づいておこなわれることが大前提です。
沢田議員のアルゼンチン債購入問題で区側の不誠実さや虚偽の発言を具体的に列挙、さらには生活保護申請にかかわる「ホームレスになればいい」との窓口での発言はいずれも事実に基づいたものです。これらすべてを捨象し、理事者答弁を絶対化、沢田議員を「うそつき呼ばわり」することが許されるのでしょうか。これこそ言論の暴力と言わなければなりません。
しかも、鶴氏の質問は、CATVの区民チャンネルで放映におこなったこと、物理的に反論不可能な総括質問でおこなったこと、品川新聞とタイアップして「共産党が問題発言」と報ずるなど、沢田議員のイメージダウンを計画的に狙った、アンフェアーな手法と言わなければなりません。
鶴議員は沢田議員を誹謗・中傷したことに対し、発言を撤回し、謝罪すべきです。具体的質問に答えられないまま「議会制民主主義の観点からも何ら制限を受けるものではありません」と居直ることは、鶴議員が言論の自由や民主主義の原則を理解していないこと、住民の立場で行政をチェックする議員として役割を理解してことを示すものであり、議員としてのあり方が問われると言わなければなりません。
日本共産党品川区議団
<参考>
・公明党鶴議員への公開質問状(2002.04.30)
・公明党鶴議員の回答(2002.05.14)
・沢田議員のの代表質問 (2002.02.27)
・沢田議員の予算特別委員会における発言(2002.03.11・アルゼンチン債購入問題)
・沢田議員の予算特別委員会における発言(2002.03.12・生活保護申請者に対する窓口対応問題)
・公明党鶴議員の予算委員会総括質問における発言(2002.03.22)